働く意義の見つけ方

働く意義の見つけ方―――仕事を「志事」にする流儀 単行本(ソフトカバー) – 2016/9/2 小沼 大地 (著)

33冊目の書評。小沼大地との出会いは随分前で、本書でも出て来る「クロスポイント」で講演をしたのがきっかけだったと思う。その後もいろんな場で会うことが続き、現在にいたる。

それでも、ある人がどういった思いで仕事をしているのかは、実は意外と分からないものだ。海外青年協力隊での経験、会社で働くようになって冷めきってしまった同期たちの様子、パートタイムでNPOをしているが故の葛藤といった話はこの本を読んで初めて知った。そして、本書を読んで初めて、なぜ彼が留職という仕事にここまでこだわるのかが、とてもよく納得できた。

彼がクロスフィールズで始めた留職はいまや市民権を得た言葉になってきた。いまGoogle日本語入力で「りゅうしょく」と入れたらちゃんと変換候補に出てくる。こうやって新しいコンセプトを作って、それを人口に膾炙させるのはすごいことだと思う。きちんと事業が回っているNPOは本当に少ないが、クロスフィールズはすでにきちんと事業が回り、従業員にきちんと給料が払える状態になっている。

本書からは著者の熱さがとてもよく伝わってくる。編集者が狙ってやったことなのだろうか、本の余白が少ないことが、さらに本書の暑苦しさを増大させている感じがする。会社勤めを始めて3年くらい経って、会社色に染まりつつありながら「人生こんなもんだ」とかすかしている20代の人たちにぜひ読んでほしい。



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