一流たちの修行時代

今年11冊め。「一流たちの修行時代

各分野の第一人者(何人かについては、その人たちがいまどうなっているのか分からない)らに対して行われたインタビュー集。あなたの修行時代はいつで、いつそれが終わったと感じたのか、という問いを中心としている。

皆それぞれに大変な時代があり、そういう時期があったからこそ自分が成長したと後に述懐している。だからこそ、多くの回答者らが、「自分はまだ修行中である」と答えるのが印象的だった。志が高ければ高いほど、現状は挫折に他ならないので、修行は終わらないのだろう。

仲の良い友人出ないかぎり、僕たちは人々がスポットライトに当たっているところしか見ていない。だから勘違いをしてしまいがちなのだけど、どんな人も壁にぶつかって苦労している時代はあり、その日々を乗り越えてきたからこそ今のその人たちがある、ということを思い出させてくれる一冊。

インタビューそのものは10ページ程度なので、その人について深掘りがされているわけではない。本書を読んで個人的に興味を抱いた人についての本を読んでみるのが良いのだろう。

エルメスの齋藤さんと千住博さんについては読んでみたいと思った。齋藤さんは、ご本人というよりも、エルメスという「マーケットに合わせて物を売るのではなくて、デザイナーと職人が話しあって作った作品を売る」企業について知りたいから。千住博さんからは、本質的な作家というより、アンディー・ウォーホル的な人の雰囲気を感じていて、そういう人が何を見ているのかを知りたいから(だから自伝は多分読まない)。


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