ハロウィンは東京在住の地方出身者の祭り(なのかもしれない)

最近論考系は基本英語しか書かなくなったのだけど、英語でこんなことを書いてもどうしようもないので日本語で。

モルガン・スタンレーで働いていた時代(2006〜2010)からハロウィンはあったけど、2006年とかはアメリカ人の同僚たちが盛り上がって六本木に魔女の格好をしたりして繰り出したりする程度だった。一部のノリのいい日本人もそれに参加するという感じ。(さすがに2008年はそういうノリも消えていたけど)

そんなハロウィンが毎年エスカレートしている。ハロウィンだけでなくて、東京でイベントにかこつけたお祭り騒ぎはとても増えている気がする。ワールドカップを渋谷で見た後、スクランブル交差点をフーリガンみたいなファンが占拠したり。

個人的には、これは東京に住み、昔ながらのコミュニティから疎遠になっていった人が本能的にこういう場を求めているからなんだろうなと感じている。

お祭りというのは、コミュニティの構成員が踊ったりして狂いながら、みなで神に近づくための行為だ。人間は平常時は普通に振舞っているけれど、狂う機会を多分本能的に必要としている。たぶん、そういう狂う場のおかげで、平常時に正気を保っているという側面もあると思う。

しかしながら、従来の祭りは地域コミュニティに根付いているので、東京でいえば浅草に3代住み続けた人とかならさておき、大学入学とか就職とかをきっかけに東京にやってきた人には、こういった地元の祭りに深く入り込むことは難しい。

こういう人たちにとってのコミュニティは、SNS上にできた地縁とは違う輪である訳だけど、そういうコミュニティも狂う場を必要としているのだろう。飲み会の乱痴気騒ぎとかでなく。そのニーズにハロウィンがピッタリとはまったんじゃないんだろうかと思う。

統計も何も取ってないけど、ハロウィンで六本木で騒ぎまくる人と、浅草で神輿を担いでいる人とが同じ人物であることは随分と少ない気がする。少なくとも、自分の身の周りでハロウィンで悪乗りする人々は、東京出身者でないor東京出身者であっても地元に大きな祭りがない地域出身者であることが多い(そもそも東京が地方出身者の街であることを加味しても)。

祭りを持たない新興コミュニティが、海外の祭りを輸入することで、コミュニティとして必要不可欠な狂う場を得た。それがハロウィンであり、サッカーなどでの乱痴気騒ぎなんじゃなかろうか。


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