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お空へ行くんじゃないかと思った2日間。

2月14日。
昼の3時頃から お父さんが眠り始めた。
隣へ行って 横になった。

「手ぇ、揉んでくれ」
「 足の裏、揉んでくれ」
「 ふくらはぎ、揉んでくれ」

お父さんは猫の親分 みたいな顔をして 私に甘えた。
私が揉むたびに、

「 あはは、 最高だ!! 極楽だ!! すんげー気持ちがいい!!」

そう言ってくつろいだ。

首や肩や背中も揉んだ。

ウトウトするお父さんの隣に 潜り込み、 頭の匂いを嗅いだ。
夜の10時頃まで そうやっていた。

夜の10時頃 お父さんが起きて、 お粥を作り、 メインディッシュの 野沢菜の 漬物と 梅干しや弁当を、 お父さんは少し食べた。
そして走って布団へ 行って 眠ってしまった。

酸素飽和度は92、 脈拍が 89 と高かった。
その状態が続き、 なんだか心配になった。
今日はもしかして、 お父さんとお別れの日なんだろうか。
だんだんにそんなことを思った。

お父さんの手を握っていた。
もう一つの お父さんの手に パルスオキシメーターをつけた。
脈拍は 70台。
酸素飽和度は 91から90。
いつものお父さんである。
脈拍がどんどん下がってきて、 64から 54を行き来した。

朝の4時 頃から、 お父さんと酸素 飽和度は ぐんと下がった。
84から88。
呼吸も、 しばらく息をしないで、 時々ぷはーっと 息を吐いて吸う。
脈拍も 64から54。
50を切れば 徐脈である。

「 父さん 気持ちいいか?」
「 ん、ん、」

お父さんが仰向けに寝た。
涙が 目の端っこから 流れていた。
ぷはーっ、ぷはーっと、 唇から薄く 息をしていた。
思わず 思いっきりぶっちゅうをした。

どれだけの時間 そうしていただろう。
2月15日。
朝の 9時になり 11時になり、 父さんの手を握ったまま 父さんの頭の横に 自分の頭を置いて、 私は眠ってしまった。

目を開けたら、 真っ白 になって パンパンにむくんだ顔をした お父さんが動画を見て笑っていた。

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