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ラ・リーガ第22節 エイバル VS ベティス(02.Feb.20)

エイバルは直近のリーグ戦5試合でわずか失点1。怪我人はまだ多い状況で得点力不足は解消されていないが、それでも勝ち点1を積み重ねていくのは降格争いから抜け出す為には大事な事。

出場停止明けから戻ってきたディフェンスの司令塔P・オリベイラをベンチに追いやり活躍しているのが、フェイスガードもすっかり取れたE・ブルゴス。

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良い時はあまりメンバーを変えたくないとサッカーの定説に従い、このまましばらくは使われる様子。個の力は劣っても、チームの結束で降格を乗り切る腹づもりのメンディリバル監督。

http://www.sdeibar.com/ja/notice/mendilibar-esperamos-poder-hacer-bueno-el-empate-de-vigo

マーケットが閉まる前に新たにラファ・ソアレスというポルトガルSBを獲得した。

http://www.sdeibar.com/ja/notice/rafa-soares-venir-a-laliga-es-un-paso-importante-que-necesitaba-dar

ポルトガルのヴィトーリアからやってきた攻撃的左SBでフルハムにもローン経験がある。リーガでブレイクできるか。そのせいか今回のSBアンヘルの動きは、ポジションを譲らないという意気込みの伝わるものだった。

一方のベティスは11月から12月にかけて3連勝したが、その後の5試合は1勝2分2敗と、ヨーロッパリーグ出場を目指すチームとしては、勝ち点を伸ばせずに苦しんでいる。昨季エスパニョールをヨーロッパリーグに導いた、ルビ監督のエイバルに対する作戦はいかに。

スタメン

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やはり前節にふくらはぎを痛めた様子で、交代したアルバレスはベンチ入りせず。替わりにディオプがスタメン入り。この人も行ったり来たりで心配。その他変更は無し。乾が左サイドを切り裂くか、それともP・レオンが正確なパスを出すか。アルビージャが久々のベンチ入り。

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さて、何故かスタメン発表がいつもビデオテープのベティス。このプチレトロ感が好きな僕ではありますが、不親切な事には変わりないのでサッカーフォーメーションさんから画像をお借りします。

https://formation-y.com/ja/

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僕の大好きホアキン様は、38歳ながらもハットトリックを達成しリーガ最年長記録を打ち立てた、良い意味のバケモノウインガー。以前のスピードは無いものの、バリバリでスタメンを張っているベティスのイケメンアイドルである。4-3-3だがボジショナルな攻撃の時はE・ゴンザレスが降りてきて3バック化する。守備時4-1-4-1。

他にもバルサに在籍してドルトムントで香川ともチームメイトだったバルトラや、バルサが共同保有権を持つ21歳の新星エメルソンなど、本当にラ・リーガのプリメーラともなると、毎試合良い選手が見られて嬉しい限り。というか共同保有ってどんなシステムなんだろう。ちなみに8番のフェキルは私が細々と続けているモバイル版「サカつく」でとても重宝しているストライカーである。

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メンタル低い(笑)ちゃんと育てなきゃ。

試合開始、ゲーマーあるある

早速スピードスターのエメルソンを封じ込めようと、乾がオレジャーナとのパス交換で左サイドを突破しようとする。1分経つか経たないかのうちに2度も。調子が良さそうだがスタミナが心配。

しかし得点力不足のエイバルにとって、乾の突破はファールやコーナーキックに繋がりやすい大事なチャンスのきっかけとなる為、メンディリバル監督の信頼をガッチリつかんでいる様子。

試合が少し落ち着いたかと思った開始7分、ベティスが左サイドからコーナーキック。右サイドにいてマークから少し離れていた私の「サカつく」で大活躍のフェキルが、PA外にダッシュし戻りながら左足を振り抜くミドルシュート。

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これがゴールネットに突き刺さりアウェーでベティスが先制。フェキルに反応しマークに付こうとしたエクスポシトだったが、ベティスFWイグレシアスに進路を塞がれていた。

応援しているチームが先制されたが、ゲームで使っている選手が得点するというゲーマーあるあるを久しぶりに味わうのであった。


7’ Assist:  Sergio Canales Goal: Nabil Fekir   0 - 1 

180cm越えの選手がゴール前に並ぶ中、173cmのフェキルになかなか目がいかないというベティスの練習が報われたプレー。得点力不足のエイバルは幾らホームでも痛い失点だった。

ベティスの攻撃、キケ・セティエンの遺産

その後もインテンシティ高く前線から強いプレッシャーをかける両者。

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噛み合わせとしてはこうなるのだが、エイバルは不用意に前からプレッシャーをかけに行っても、GKのロブレスも入れると5対4の数的不利でボールを奪えないし、中盤のゴンサレス・アレナ・カナレスで逆三角形を作ってパスを回せ、そこでも数的優位を作り出す。エイバルが前にプレッシャーに出る事でホアキンやフェキルが下がってボールを受けるスペースが出来、イグレシアスがボールサイドに流れてまた数的優位を作る。

ちなみに右ききのホアキンを左サイドに、左ききのフェキルを右サイドで使っているという事は、ゴールに向かう身体の向きに関係する。例えばホアキンがボールを持ってゴールを向いた時に、左腕でテヘロを抑えつけながら、ボールはテヘロより遠い右足に持っているのだから、ボールを奪われにくいという事。クロスを上げる時は利き足と逆になってしまうので、正確性は失われるがベティスに関しては、SBのモレノやエメルソンがオーバーラップしてくる為その心配は無い。

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少しでもプレスを緩めると、最終ラインから矢のようなパスが放たれ13分頃には決定的な形を作られヒャッとする場面も。

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なんか12位に甘んじてるチームじゃないほど良く整備された攻撃。現バルサ監督キケ・セティエンの置き土産か。

乾貴士が重宝される理由

このままベティスペースで進むと思ったすぐ後に、ベティスのゴールキックでCBから前にボールを運ぼうとしたところ、エイバルの前からのプレッシャーが成功しベティスのアンカーE・ゴンザレスへのパスを乾がカット。ゴンザレスが膝を出してしまいPKを得る。こういう仕掛けを何度も繰り返し、ファールを貰えるところが乾が信頼されているプレー。

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一発レッドでも良さそうだったがイエローカード。PKをオレジャーナが決めて同点に。

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15' 1 - 1 Goal:Fabián Orellana

PKに背を向ける監督

全くの余談ですが、メンディリバル監督はPKの際に背を向けていました。

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オシム元日本代表監督もPKを見ない事で有名でしたが、メンディリバル監督にも、なにかトラウマのようなものがあるのでしょうか?少し気になります。

エイバルの少しの変化

そこからエイバルは少しシフトチェンジ。下の図のようにしてロングボールを出すしかない状況にして、競り合いしボールを回収。

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ベティスはカナレスやイグレシアスが、オフサイドギリギリで飛び出すという展開。ボールはベティスの保持が長いがペースはどちらとも言い難かった。

しかし前半終了間際になると、ホアキンやフェキルがボールサイドに移動し突破を試みたり、クロスを上げたり、要するにオーバーロード(負荷のかかり過ぎた状態)を作り出し、ファーサイドにエメルソンやイグレシアスなどが待ち構える。(アイソレーション)

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耐え忍ぶ訳でもなく、乾やオレジャーナが起点となりテヘロやアンヘルがオーバーラップしてチャンスを作っていたが、やや押され気味になってきたエイバル。

前半終了・スタッツ

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お互い点の入る匂いはしていたが、攻撃のバリエーションが多かったベティス。エイバルは、ドリブルで仕掛けてファールを貰うというのが狙いの一つだが、あまり多くファールを取ってもらえていなかった。

後半開始

後半もお互いの狙いは変わらず。エイバルは、よりボールホルダーに前を向かせないように激しくプレス。ベティスは左右のサイドでオーバーロードを作りチャンスを伺う。むしろベティスに攻めさせておいてカウンターを狙っていた感のあるエイバル。

エンリクが、アレニャやカナレスのボールをチェイシングして奪い、P・レオンやオレジャーナが全速力で前へ走る。それをまた全力で追いかけるエイバルイレブン。正にハードワークでチーム一丸となっていたが、何度もそれをしているとさすがに疲労が見えてくる。

蟻地獄にハマるエイバル

ベティスはジリジリとエイバルにトドメを刺すかのように蟻地獄のような誘い方でやってきた。

ここでホアキンがボールを持って、中に入ろうとしてディオプの気を引く。

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フェキルにボールを渡してギリギリオフサイドの位置まで上がりディオプをおびき寄せる。エイバルは3対2になって、追い詰めた気になっている。しかし空いた場所にイグレシアスが。

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難なくボールをもらい逆サイドへ

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お手本のようなサッカーで、エイバルを翻弄しながら攻めていくベティス。

そして63分フェキルのシュートのこぼれ球をイグレシアスが押し込んで逆転、と思われたがわずかにオフサイドでノーゴール。

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乾、あともう一歩

その後エイバルにも最大のチャンスが。上手くエンリクが空けてくれたスペースに、乾が突っ込むがボールが足に合わず得点には至らない。しかし、良いスペースの使い方をする両軍。多分戦術を知りたいという初心者の方には、見ていて勉強になるいい試合。

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76分にも、ゴール前に走り込んだ乾に絶妙なボールが入るがシュートはキーパー真正面。この時間になっても鋭さを増す、乾の動きはさすがだ。

モレノ、我が軍(金沢)に欲しい(笑)

しかし、恥ずかしながら知らないプレーヤーだったが、ベティスの左SBのモレノが後半、オーバーラップを果敢に仕掛け、そのタイミングもイイが、ホアキンがモレノを呼び込むように上がる相性の良さ、クロスの速さと正確さが目に付いた。もしかしたら近いうちにステップアップするかも知れないプレーヤーだ。

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それからはどちらも勝ちにいき、誰もがハラハラ出来る、攻守が目まぐるしく入れ替わり、どちらが勝ってもおかしくなかった。P・レオンに替わったデ・ブラシスと、テヘロに替わったアルビージャの右サイドが活性化し、エイバルにも勢いが戻った。乾はフル出場でPKのきっかけを作り、見せ場も数多く作った。今回は強敵エメルソンとの対決には「勝った」と言えるのでは。


Out: Borja Iglesias Cristian Tello 88'
84' Sebastián Cristóforo Out: Papakouli Diop
Out: Edgar Gonzalez Guido Rodríguez 82'
75' Pablo De Blasis Out: Pedro León
Out: Joaquín Loren Moron 70'
68' Anaitz Arbilla Out: Álvaro Tejero

試合終了 2つの面が見られNice Game!

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http://www.sdeibar.com/ja/notice/el-eibar-empata-ante-el-real-betis-en-un-partido-lleno-de-emocion-1-1

前半は緻密、後半は勝ちたいという意地、2つの面が見られて、結果を知っていても十分楽しめました。乾に決めて欲しかったですが、楽しみは次にとっておきましょう。ベティスは良いチームでした。ホアキンが下がってからは、少し安定感が無くなったかな。次節はすぐ上の順位のアラベス戦。勝って降格圏を抜け出そう。フェキルはゲームで育てます(笑)最後に試合開始早々に乾貴士が見せつけた神業をご覧ください。


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