無題

R01.08.17 ツエーゲン金沢 VS FC岐阜 白山ダービー赤に染めろ&黒にしやがれ

最下位の相手というのはかなり厄介である。まず監督が替わった。J2というカテゴリーの難しさ、地方クラブの酸いも甘いも良く知る北野監督に。夏のマーケットでも4人の新戦力を加え、就任以来2勝2分4敗と下位グループとの勝ち点差を少し縮めるところまで来ている。基本的に北野監督と我が将軍のコンセプトは変わらない。「ハードワークするにはタスクを簡素化すること」と就任時に北野監督が言った言葉通り。その2チームがぶつかり合うダービーマッチ。長良川では勝つには勝ったが前田遼一くんが途中から入ってその後の流れがガラッと替わってしまった。金沢は天皇杯を戦っていて中2日。岐阜はリーグ戦に照準を合わせられました。

かなり辛辣な雑感になりますが、私の意見としましては上記のリンクに示した通り、天皇杯を負けるべくして負けてリーグ戦にベストな布陣で臨む事を選んだ我が軍。今シーズン一番負けてはいけない試合。

スタメン

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我が軍の前節町田戦からの変更は無し。天皇杯のメンバーを見た時点でわかる今節のスタメン。完全必勝。

対する岐阜は柳澤→阿部。川西→前田の2枚変更。2名とも京都戦以来のスタメン復帰。また前回対戦で「ジョーカーとはこういう役割だよ」という事を嫌という程見せつけてくれた前田くんがスタメンで金沢にプレッシャーを掛ける。

試合開始

岐阜は最初から金沢に圧力をかけてボールを奪う姿勢を見せる。ボランチの宮本・塚川が前線を追い越してゴールに向かう。前半様子を見る事が多いスロースターターの金沢の出鼻を挫く作戦か。ディフェンスラインが前がかりになったところをしっかりと見て飛び込んでいく。

9:30あたりのシーン。ライアンさんから宮本くんへのパスを後ろからスッと足を出してカットする垣田くん。

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ボールを持たせるという事はこうやって一瞬で狩るという意識が必要だという事である。ボールを持つ方も簡単に奪われるところにパスを出さないようにしなければいけない。そこからの速攻。金沢の形が良く出ているパターンである。

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永遠くんが阿部くんをかわしシュート。枠を惜しくも外れてしまうが、阿部くんをかわした時点で竹田くんに近づいてしまった事でシュートコースを限定してしまった。しかし、シュートを打つ前に一瞬、竹田くんとジーバースさんを見て狙っているのはさすが。惜しい。

11:20くらいのシーン。フアッと岐阜前線に出たボールを前田くんと沼田くんが争い沼田くんから鼻血が。毛利くんが居なくなってからスタメン復帰している沼田くん。それからというものこういう身体を張ったプレーというのが多くみられるようになった。勝つか負けるかは別であるが、こういうプレーは見る者を熱くさせる。気迫で負けないのは大切。

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この首に絡む腕が降りる際に肘が鼻にHITしてしまった。計6分の治療時間を10人で踏ん張る我が軍。その間に1枚減った最終ラインの脇を狙おうと深い位置にボールを運ぶ岐阜。しっかり右にバホスさん、左に前田くんが幅を取り隙を伺っていた。そこに2列目の選手が絡んでショートパスで繋いでいく形。宮本くんのシュートは神の腕の中に落ち着いたが、狙いは良かった。

金沢の得意パターン①

永遠くんがPKを貰うまでのシーンも良かった。垣田くんが馬場くんをサイコパス藤村くんと囲んでボールを奪い前線へ駆け上がっていく。後ろでボールを回しながら垣田くんがボールを貰えるように準備が整うのを待って大橋くんがロビングのパス。垣田くんがボールをキープし永遠くんにパス。永遠くんがドリブルで揺さぶって相手DF2人の間に割って入りPA内へ。倒されPK。一見お得意のプレーをおのおのが見せたという形であるが、意外と相手の準備が出来ていない中で次のプレーに移ってしまったり、待ち構える側の意識が間に合っていない事が多いのでお決まりの形が雑なクオリティになっていることがある。こういう質の高い再現性のあるプレーをしていけば引き分けを減らせるのではないだろうか。

PKは大石くんがきっちりとジーバースさんとの駆け引きに勝って右隅へ。喜ぶ前に寄ってきた沼田くんの心配をするあたりはルーキーとは思えぬ存在感。思い切りの良さ。PKの落ち着き。思いやりの心。かわいい系からガテン系へのイメチェン。やはりルーキー離れしている。

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23分得点:大石 金沢1-0岐阜

岐阜の狙い

給水タイムを挟んでからも岐阜はショートパスとポジションチェンジを繰り返しながら金沢ゴールに迫ろうとする。例としてはこうだ。

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見にくい図になってしまって申し訳ないが、甲斐くんが馬場くんにボールを預けてスイッチON。甲斐くんが中に入っていくと前田くんがサイドの深い位置に入り込み甲斐くんからパスが出る。前田くんが二人を引き付けているところへ馬場くん、バホスさん、ライアンさんがPA内へ。バホスさんも前田くんもキープ力は高い。決定力も買われていると思うのだが、金沢のDF陣を引き付けるという役割で2トップになっていたと思われる。さらにはあまり岐阜の右サイドからのビルドアップがスムーズで無いので左からの展開が多く見られた。馬場くんが中寄りの位置を取る事でフィルター役になっていた。そして典型的なブラジリアンFWのバホスさんの調子も悪くない。

金沢の得意パターン②

そんな左中心の岐阜と相手のミスを捕獲して速攻に繋げる金沢の攻防が続いて前半が終わろうとしていた。岐阜から奪ったボールをカウンターで前線に1人残った永遠くんへパス。岐阜ゴール前までドリブルするがシュートを阻まれ組み立て直す。そして生まれた金沢の2点目。

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少し前には逆サイドから長谷川くんが同じようなアーリークロスを放っていたが垣田くんの足がわずかに届かず。長谷川くんのクロスはパスを貰う前から狙っている感じがプンプンしていた。この左サイドの崩しが良かった点は、簡単ではあるがサイドのパス回しからアーリークロスという局面をガラッと替えさせて針の一刺しのようにゴールを決めてしまえた所である。ちなみにあまりボールを持たされていない岐阜右サイドから攻めたのも良かったのかも。

45分得点:垣田 金沢2-0岐阜

1点目はPKになってしまったが金沢としては得意としているパターンで2得点出来た。しかし、このまま終わるとは考えられなかった。良い時でも交代させてしまえばバランスは崩れる。いくら万全で臨んでもいつのまにかやられるのがサッカーだ。だが、岐阜が後半早々2枚カードを切ってくれたことで我が大将はある程度余裕で戦術を変更出来たのではないか。

後半開始

46分岐阜:交代 阿部→川西

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岐阜は交代によって攻撃時は川西くんまたは宮本くんがサリーダ・ラボルピアーナ(サリー)を決行。要するに竹田・塚川の間に降りて3バック化する戦術。そしてどちらかが縦関係となり前に出て馬場・ライアンはより中に絞る。さらに甲斐・藤谷が前に位置を取る3-5-2のような形。守備時は上記のようになった。(比較的、川西くんが下がる形だったのでこう表記した)

後半開始すぐ金沢のコーナーキック。藤村くん→ニアの義道くん→ファーの廣井くんという綺麗な流れ。

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というかボールに揺さぶられすぎている岐阜守備陣。廣井くんとしては決めてチーム得点王に並びたかった。これを決めておけばかなり楽になったが・・・

50分頃にも久しぶりに金沢の得意パターン。ショートパスで大橋→永遠→垣田とつないで垣田くんとがワンツーパスをした大橋くんがPAに侵入。岐阜の竹田・宮本を引き連れて長谷川くんへパス。長谷川くんのシュートはなんとか宮本くんがブロックする。金沢の形が後半早々に2度訪れ、追加点も時間の問題かと思われた。しかし、岐阜の投入した川西くんが仕事をする。

岐阜の執念の矢印

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図を作っていて思うがゴールに向かう矢印が多いと執念みたいなモノを強く感じる。まさに岐阜の執念。馬場くんが突っ込み竹田くんが突っ込む。

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竹田くんのオーバーラップに藤村くんが途中まで対応していたがまさかここまでゴールに迫ってくるとは思わなかっただろう。怖れることなくここぞという時に詰めていた竹田くん、あっぱれである。

56分得点:竹田 金沢2-1岐阜

57分岐阜:交代 馬場→ミシャエル

前半フィルター役をこなしていた馬場くん。川西くんがその役目を後半に担いより決定力の高いミシャエルさんと交代。直接交代させるわけでもなく、時間差で役割を変更させるあたりはさすが北野さん。

動きで攪乱させるライアン・バホス・ミシャエルの外国人トリオ。ポストプレーの前田くん、ビルドアップに関与せず右からえぐる藤谷くん。状況によりスイッチを入れるパスを出す川西くんというシンプルなタスクになり攻められるようになった岐阜。そこで我が大将は表立ってタクトを振い出した川西くんを封じる作戦に出た。

戦術、バチ(爆弾発言含む)

61分金沢:交代 山根→梅鉢

永遠くんはやはりディフェンス面ではあまり期待は出来ない。疲労も見え後半に入りあまり仕事を出来ていなかった。そういう意味では決してディフェンシブな交代ではなく岐阜の攻撃の芽を摘んで追加点を奪いたい意図があったのだろう。

試合後の将軍コメントをご覧いただきたい

--川西 翔太選手が入ってきたときに梅鉢 貴秀選手を入れることは想定していたのか。またその狙いは?
「想定はしていないけど、川西が向こうのリズムを作っていたので、そこをまず塞ごうと。前でボールを取れればビッグチャンスを作れると思って入れたが、入れた瞬間バチ(梅鉢)が分かっていなくて、変なことをしてましたけど(笑)。そのあとは非常にバチらしいプレーで、向こうにはボールを持たれていたけど落ち着いて見ることができた。」

どういう言葉をかけてバチくんを投入したのか分からないが、入ってすぐに川西くんに付くわけでもなくホントに永遠くんの替わりのように最終ラインに果敢にプレッシャーを掛けにいくバチくんの姿に思わず噴いてしまった(笑)

日曜のトークイベントで「金沢のロバート・デニーロです」と自己紹介をしたらしいバチくん。ネタを提供したつもりだろうが全然似ていないのであえて俗称認定はいたしません。(苦笑)

いや、わかるぞ。途中交代で我が軍には珍しいFWとボランチとの交代。特別な仕事が与えられた感じで気合い入ったんだろうなー。一気にバチくんの好き度が増しました。(ただ、デニーロは認めない)ちなみに画面で確認すると、将軍の意図を理解するのにかかった時間は約3分。意外だったのは、ボール保持時にイキイキしていた事。ボランチに入る事でバランスをとる事を気にしなければならないという面を今回は考えなくて良かった。奪ってパス。位置取りは相手に就いて行くから考えなくて良し。まさにバチくんの天職。適正はボランチではないよ、この人。

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おお!沼田くん。この時間になってもまだ鼻血押さえてたのね!呼吸つらかったろうに・・・

76分金沢:交代 垣田→クルーニー

76分岐阜:交代 ライアン→市丸

岐阜の好きな選手①

ガンバ期待の市丸くん。U-20W杯に出て以降なんだか身を潜めてしまい岐阜にレンタルされたが本領発揮はまだ出来ていない。岐阜を残留させてガンバに戻りたいところ。市丸くんが入った事で川西くんが前の位置に。市丸くんにはバチくん、川西くんには大橋くんがマークについた。なんだか、市丸くんがあそこに入った時点でロングパスは正確に出せるようになったが、パスの受け手がごちゃごちゃし始めた。ある程度スペースを空けたほうが市丸くんにとってはいいと思ったのだが(どっちの味方なんだ)

後半最後のほうを無理やり図にしました(笑)

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結果的にバチくんがトップ下になりましたが、タスクとしてはトップ下ではなくビルドアップの起点、市丸くん封じ。川西くんには大橋くんでその分、大橋くんが前に出ていくことはなくなりましたが、加藤くんが2トップの一角のような状態になり前の三人で攻撃を。たまに隙を突いて大石くんが上がる。なぜか出ずっぱりの加藤くんが前線の運動量の要に。(言いたい事わかります?汗)

北野監督の誤算

しかし、金沢としてはビルドアップの出所を防いだことで岐阜の前線が多少分厚くなっても落ち着いてプレー出来ていたように思います。岐阜の北野監督は「先に失点をしてしまって、取られると、あのように引かれてスペースを埋められてしまう。それでも、前節よりはゴールチャンスを多く作れましたが、結局それはゴールチャンスであって、得点は1つしか決められていません。」と言っていたが、岐阜が前線に人を集めた結果ああなったのだと思います。どうせなら中盤を厚くして前田くんのポストプレーを利用して2列目から複数が飛び込むとかされたほうが怖かったが・・・。

岐阜の好きな選手②

岐阜の選手で気になったのが左SBをしていた甲斐くん。上の方の「岐阜の狙い」でも現れていたが、パスセンスもなかなかだし位置取りもいい。本職はCBなのに最近SBに起用され戦術理解度も高そう。86分のシュートシーンも大石くんをかわしてすぐシュートを打ったが最後の危ないシーンを作り出し我が軍の神を慌てさせた。

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うーん、欲しい(笑)

終了間際のPAのすぐ外からのフリーキックも「金沢の壁」廣井くんが弾き返し試合終了。

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金沢2-1岐阜 

最後に

なんとも濃密な1週間だった。野津田で町田からセットプレー3連発逆転勝利し、台風の吹き荒れる広島に負けるべくして負け、必勝で臨んだホームの岐阜戦を辛くも勝利。最下位とはいえ侮れない相手だった。順位は変わらなかったが8位で勝ち点43。7位甲府と並んだ。6位山形との勝ち点差4。新たな補強もなく夏のマーケットは終わってしまったが現有勢力でやっていく覚悟は永遠くんを入れた時点で決まっていたのだろう。上澄みは期待できないが伸びしろはあると信じている。ハードワークの末にたどり着いた連勝の手ごたえを確かなものにするのは、必ずや帰ってきてくれるだろうメンバー外の選手達だ。引き分けを勝ちにするためのカードはもうすぐ帰ってくるのだろうか。もう少し様子を見るしかない。とりあえず連勝!良かった!



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