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2022 J2リーグ第1節 徳島ヴォルティス VS ツエーゲン金沢 

唐突ですが、今年はあまりレビューできないかも知れません。その代わりと言っては何ですが、私が代表を務めますRED TAG のYOUTUBEでは毎節、試合の振り返りをしていく予定です。チャンネル登録がまだの方はこちらからぽちっとお願いします。↓↓↓

さて、いよいよ2022シーズンがスタート。今年はルーキー・完全移籍・期限付き移籍を合わせて12名の新顔が入り、さらに柳下監督の右腕として元教え子の久藤ヘッドコーチ、そしてユースのコーチだった辻田コーチも昇格させ心機一転の6年目を迎えた。しかも、とうとう5年後のクラブ創設20周年にJ1昇格を目指すという「Road to J1」を掲げた元年である。

5年後に向けて着実に成長をしていく為には、18位や17位で満足して良い訳が無い。そう考えるとハードルは決して低いものではない。

だが、昨年のJ1チームとなる徳島との戦いは課題はあるものの期待を抱かせるには十分な内容となった。サッカーの醍醐味であるゴールこそ生まれなかったが、スコアレスドローの試合にはしっかりと相手のストロングポイントを殺し、自分達のサッカーを表現しようとした金沢の姿があった。

スタメン

金沢


GKは昨年、守護神だった後藤くんが山形へ移籍。開幕スタメンは三浦くんとの争いに勝った白井くんが務める。手術明けで心配はあったが、出るからには万全であると全ツエサポが信じるのみ。

CBはレンタルから完全移籍になった庄司くんと、MDこと松本大輔くん。疑う余地の無いディフェンスリーダーと、大学の先輩・加藤陸次樹くんに金沢へ行く事を相談したというMD。なんとも頼もしいコンビ。

右SBは昨年同様、松田くん。左SBは約2年半ぶりのカムバック、勝手知ったる毛利くん。

ボランチは5年在籍した大橋くんが大宮へ旅立ち、藤村くんとコンビを組んだのは大宮からやってきた松本大弥くん。背番号も大橋くんが付けていた6番を背負う。何かと大橋くんと比較される事が多そうな運命を背負っている。

SHは左が平松くんで右が嶋田くんと昨年後半と継続路線。しかしこのポジションはベンチの大石・力安、ベンチ外の塚元・須藤、さらには大谷・杉浦恭も使われる競争の激しい場所。継続してスタメンを確保するには高いパフォーマンスを見せなければならない。僕的には志願して10番を背負い、レンタルからの完全移籍を果たし「金沢の顔」となった嶋田慎太郎の覚悟に期待。

そしてFW。2トップは伸びシロしか感じない林くんと、長年サポーターが待ち焦がれた豊田くん。昨年、監督から全幅の信頼を寄せられていた世界三大シオンの1人、丹羽くんは噂によるとキャンプでは別メニュー?だったらしい。近々姿を見られるのか。楽しみはまたあとにとっておこう。

徳島

相手チームだからササっといこう。GKはバルサのカンテラ出身・スアレスさんが加入も、発表が1/30だった事から調整が間に合わなかった様子で、12シーズンの在籍を誇る長谷川徹くんがゴールを守る。

CBはカカさんが鉄板かと思いきや内田・安部のコンビ。ここは層が厚いポジション。元・金沢の石尾くんは競争相手が多い。今はベンチ入りも出来ず。SBは新潟の印象が強かった新井くんが右に、ベテラン藤田くんが左に入る。

アンカー櫻井くんはノーマークだったが、得てしてこういう抜擢が選手を育てるもの。右に白井くん、左に渡井くんと心強さが半端ない。

WGの西谷・浜下とは一昨年も対戦しているがJ1を経験し、より個の力を伸ばしている厄介な相手。1トップは昨年水戸に在籍し金沢戦で後半ロスタイムに決勝点を叩き込まれた藤尾くんだ。

圧巻のプレッシャー・豊田陽平

この試合の方向性を決めたのは豊田くんと林くんの位置取り。

超攻撃的にプレッシングする事なく相手アンカーへのパスコースを消し、中央を使わせない。さらには後方で4-4ブロックを敷く事でサイドに開いた徳島WGへのロングボールに攻撃を限定する。

確かに西谷・浜下は金沢にとって厄介ではあったし、序盤にファールでFKを与える事もあったが、中央を使われてから外に展開され再び中央、という忙しい展開になるよりも、外から中に入ってくる事に警戒していれば良い事を考えるほうが守り易い。

以上のような攻撃をされるのが金沢としては嫌
豊田・林のゲートを通させない事で西谷・浜下へのロングボールへ限定させる

そして秀逸だったのが豊田くんのプレッシャーのかけ方である。

藤田くんが平松くんと対峙、林くんが櫻井くんのコースを切っていると見ると、すかさず安部くん側から内田くんにプレスをかける豊田くん。後ろがしっかり図のように配置され守っているとすると、時間的余裕の無い内田くんは幅を取っている反対側のWG、要するに西谷くんにロングボールを出すしかない。

このような圧のかけ方は何度となく行っていて、豊田くんの動きを見て後方の守備のカタチが決まっていると言っても過言では無かった。そのくらい守備の連動が大事であり、プレスのタイミングやコーチング等、点取り屋だけに収まらない一流のFWを手に入れたという実感の得られた開幕戦だった。

限定していたにも関わらず、何度も仕掛けてきた西谷くんはやはり脅威だったし前半、唯一中央を使われた場面で藤尾・浜下のたたみ掛けるシュートがゴールネットを揺らさなかったのは、金沢の白井くんの反応の良さの賜物だった。

プレス回避のワンタッチパス

下の写真は松本大弥くんが5人に囲まれていて、ボールが松田くんから大弥くんに渡れば奪われる場面。しかし松田くんは身体を大弥くんに向けながら左にいる大輔くんにパスをする。

大輔くんにパスが渡ると渡井・藤尾が大輔くんにプレスをかけるが、すぐにワンタッチで大弥くんにパスが出る。

すると前を向いて時間的に余裕が生まれた大弥くんは、平松くんにパス出来た。

5人に囲まれていた状況から2回のワンタッチパスで状況を打開する。わずか1歩か2歩くらいの違いかも知れないが、その違いで出来る事が大きく違う。徳島の強烈なプレスに全て上記のようなワンタッチパスで対応出来た訳ではないが、最悪GKまで戻してロングボールを豊田くん目がけて蹴ってしまえば良い。

豊田くんがボールキープできるとは限らないが、普通のFWより徳島のディフェンスは豊田くんに手を焼いたはず。強いフィジカルと駆け引きで勝負できるFWだから。

サイドからの攻撃

予想していた試合展開は、ボール支配率は6:4か7:3で徳島が握るだろうから、金沢がそれを跳ね返して前半をしのぎ切る。というものだった。支配率は大体予想した通りだったし、お互い点は入らなかったが、懸念したワンサイドゲームにはならなかった。それは徳島のコンパクトな守備の脇を突いた金沢の攻撃によるものだった。

試合時間15分40秒。藤村くんが左サイドに走る毛利くんにノールック気味にパスを出し、中央の豊田くんへクロス。

19分13秒 相手ブロック2列目の手前でボールをキープした嶋田くんが徳島右SB藤田くんの脇を取った平松くんに鋭いパス。

フワッとしたクロスを上げ林くんがヘディングするも枠を捉えず。

右サイドは29分30秒。後方からのロングボールを豊田くんが徳島PA脇でキープ。そこへ後ろから松田くんが電光石火の走り込み。豊田くんからのパスを受けPA内へ。走り込んできた平松くんに合わせようとするが惜しくもクリアされる。

後半になってもサイドからの攻撃は何度となく見られたが、クロスの精度や相手にタイミングを合わせられ跳ね返されるなど、今後に向けての課題が浮き彫りとなったが、クロスのこぼれ球に反応し松本大弥くんがミドルシュートを狙ったり、松本大輔くんがオーバーラップし右サイドからクロスを打つなど、隙あらば前へと向かう姿勢を見る事が出来た。

後半の徳島はパスをはたいていた中央の藤村・松本大弥くんへのプレッシャーの強度を高めボールを奪う。また、守備時4-1-4-1のアンカーの脇を使わせないように距離を詰める。金沢はおびき寄せるように後方からボールを繋ぎ、なるべく徳島の陣形を広げさせて隙を作ろうとするが、なかなかゴール前までたどりつけない。

最後にオープンな展開となる事が僕の一番の懸念だったが、それも何とかしのぎ切り、昨季J1の徳島相手に0-0のドロー。アウェーで勝ち点1をもぎ取った。

試合スタッツ

ダイジェスト

感想

真新しいものは無かったのかも知れない。しかし、ボールを保持する相手に、しかも開幕戦で対等に渡り合えた事は素直に驚いた。今までなら昨シーズンの事はリセットされ、白いキャンパスに色を塗り始めるのが開幕戦だった。

また、相手がファイナルサードから攻撃を始める時はブロックを敷いて守った。それが徳島に対しての策だったのか、今後も続くのか興味深い。

僕の想像以上に今年はやってくれるかも知れない。今回の試合だけでは断言出来ないが、個々のポテンシャルの高さは垣間見れた。今後、例年見られる「いつまで経っても問題が解決しない」病が出なければいいのだが。


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