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たまに、後ろを振りかえる。


人は「節目」になると、旅に出る。

卒業旅行をはじめ、結婚◎年目のアニバーサリー旅行、父親の定年退職を祝う旅行、さらに言えば、失恋旅行っていうのもある。それらの旅に共通しているのは「追懐」だ。節目の旅には、それまで歩んできた日々を思い出して懐かしむ時間が必ずある。

列車の車窓から流れていく景色を眺めながら。異国の大きな空を見上げながら。温泉に浸かりながら。旅という非日常空間の中で、過ぎ去った日々を思って感慨にふけったりする。

ほとんどの人が、わざわざ過去を思い出そうと思って旅に出るわけではない。何となく節目だからという理由で旅を計画し、旅先で無意識に追懐している。これは、何を表しているのだろう。

私が思うに、人生とは「瞬間瞬間を精一杯に生きて、たまに後ろを振り返って自分のいる場所を確認すること」なのだと思う。

そのたまに後ろを振り返る瞬間に、「旅」という場があるのかもしれない。


#旅する日本語 #追懐


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