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Jリーグマッチレビュー⑥J1第5節 浦和vs磐田【ボールを動かせ!久々の完全アウェー埼スタ】

さあ、今回は埼玉スタジアム2002で行われたJ1リーグ第5節、浦和レッズvsジュビロ磐田のマッチレビューを書いていきます。
磐田のアウェーとして埼スタに参戦するのは4年ぶり。このスタジアムでは何と言っても2017年6月の雨中の激闘で2-4で逆転勝利を収めたことが印象深い。清水や長崎でも来ているけど、勝ったのはこの一度だけ。あの完全アウェーで掴んだ勝利をもう一度味わいたくて、今日も埼スタに向かいました。
浦和はロドリゲス監督が徳島時代から行うパスサッカーがメイン。磐田は昨年J2を制覇したときの鈴木政一監督が築いた人とボールが連動するサッカーに、今季就任した伊藤彰監督がポジショナルプレーを融合させたスタイル。どちらも「ボールを動かす」ことに長けているチーム。攻める時間帯、耐える時間帯が当然どちらにもあると思いますが、いかに攻めきれるかを楽しみに見たいところ。

久々に立ちはだかる埼スタ。ここに来るとやったるぞ!って強い気持ちに改めてなる
やはり日本屈指のアウェーを感じる場所、埼スタ。
旗がびっしりの浦和サポーター、さすがです

今日の私の観戦ユニフォーム


2019年 リミテッドユニフォーム(⑪ロドリゲス)

今日は着ていくユニフォームをすごく悩みました。というのも、磐田は意外と埼スタの相性が良くて、名波さんのときのJ1にいた時期(2016年〜2019年)には4戦で3勝(2018年のみ敗戦)しているんです。ユニフォーム選びには相性を大切にしたいので、思い出深い2017年(昨シーズンの大宮の劇的勝利のときは2017年の中村俊輔1stユニ)にするか、2019年にするかとすごく悩みましたが、今回はちょっと攻めた柄の2019年のリミテッドユニフォームにしました。というのも、2019年はこのロドリゲスのゴールで埼スタで勝利したこともあり、実際、あんまり観戦で着てったことないな、とも思ったので、ちゃんと使い回そうっていう意味もあり(笑)。

このユニフォームのテーマはホームタウン磐田市を流れる天竜川など静岡を流れる大河をモチーフに1990年代をコンセプトにした大胆なパターンのデザインで、チームが目指す流動的なサッカーを表現したもの。2019年当時のユニフォームカラーと過去のカラーをミックスしクラブの歴史を表した。ちなみにこのユニフォーム着用当時は1試合も勝てませんでした…さらに言うと、このロドリゲスのユニを注文したあと、ロドリゲスがディナモ・キエフ(ウクライナ)に引き抜かれいなくなるという(笑)
なので、ロドリゲスはこのユニフォームを着て戦っていないという極めてレアなユニではあります。オークションやメルカリなら高く売れるのかな?

スターティングメンバー&見どころ

浦和レッズ

予想フォーメーションは4-2-3-1。
前節からの変更点は最終ラインが岩波拓也に替えて今季鹿島から加入の犬飼智也。ショルツとは初の組み合わせとなる。そして鳥栖戦では1トップの位置にいた江坂任がトップ下に入り、明本考浩に替えて1トップにはキャスパー・ユンカーが今季初先発。ようやくコンディションが上がってきた男が今季も救世主になれるのか注目。
リザーブには松崎快が外れ、今季新加入のダヴィド・モーベルグがついに初登場となった。
「3カ年計画」の3年目、優勝が至上命題ながらここまでACLの兼ね合いで早めの試合消化もあり、1勝1分4敗の13位と苦しみ早くも正念場。鳥栖戦でも相手の堅守を崩せなかったが、この先発変更がどう出るか?
注目選手はモーベルグ。ついにベールを脱ぐ新10番のプレーが昨シーズンのユンカー、ショルツ同様浦和に違いをもたらすのか期待がかかる。

ジュビロ磐田

予想フォーメーションは3-4-2-1。
前節からの変更点は浦和からのレンタル中のため契約上出場できない杉本健勇に替えて、ジャーメイン良が1トップの位置で今季初先発。
リザーブには山田大記が外れ、黒川淳史が2節以来のベンチ入りとなった。
3年ぶりのJ1で1勝2分1敗と最低限の勝ち点5はクリアし、前節は惜しい引き分けと徐々にJ1に慣れてきた磐田。相性は決して悪くないアウェー埼スタで前節の引き分けを生かし勝利へつなげたい。
注目選手はジャーメイン良。途中出場の少ない時間では2ゴールと結果を残している。今日も持ち味のスピードと難しいところからも決めている左足で代役に留まらない働きを見せられるか。

前半

ゲームは早い時間帯からオープンな展開となり、浦和が攻め込む。ピッチをワイドに使い、ひたすら磐田の3バックの裏を狙っていく。すると前半6分、右サイドからのクロスにエリア内で関根貴大が合わせるも磐田GK三浦龍輝がファインセーブ。しかしそれで逃れたCKで、岩尾憲がニアサイドに蹴ったボールを犬飼智也が角度のないところから頭で合わせてゴール。幸先よく浦和が先制する。
さらにそれからわずか3分後、エリア近くで浦和の江坂任が磐田の大井健太郎からボールをカットすると、ユンカーへクロス。合わせたボールは一度は三浦にセーブされるものの、そのこぼれ球をうまくコントロールしゴールへ叩き込み追加点。早い時間帯で効率よく2点を奪う

しかし磐田の反撃も早い。浦和の追加点から3分後、敵陣のPA内右横でFKを獲得すると、遠藤保仁の蹴ったボールはファーサイドで一人待ち構えていた鈴木雄斗の頭へピタリ。右サイドの選手ながら得点ランク単独トップの今季4点目で1点を返す。

浦和はワイドなピッチの使い方と良い選手の距離感でゴールに迫る。特にユンカーのスピードは磐田の3バックに重くのしかかり、何度も裏を取ったが三浦のファインセーブに阻まれ続け、追加点には繋がらない。
磐田はなんとか耐え続け、前線からのプレスと遠藤保仁を軸にパスを回す磐田といった構図になった。それでもなかなか決定機を流れから作るには至らなかった。
すると35分。エリア内に侵入したユンカーがヒールで伊藤敦樹へ渡すと、スライディングで止めようとした大井の手に当たってしまい、浦和がPKを獲得。これをショルツが左上へ沈めて浦和が3点目。1点差に磐田が迫ってからの次のゴールが大事となると思っていたが、浦和が獲得することとなった。
前半は3-1で浦和がリードして折り返す。

後半


後半はピッチの雨足が強くなってきた。

交代は頭から両チーム互いに動く。浦和はゴールこそ決めたものの追加点の決定機を決めきれなかったユンカーと関根貴大を下げ、明本考浩とダヴィド・モーベルグを投入。磐田はミスと裏を取られ続けていた大井健太郎を下げ、ファビアン・ゴンザレスを投入しフォーメーションも4バックへチェンジ。

この交代が当たったのは浦和だった。開始3分、ついにデビューとなったモーベルグが敵陣でボールを奪うと、独特のボールタッチからDF3人を真ん中からドリブルで華麗にぶち抜き左足で決めた。圧巻の新10番のゴラッソで浦和が4点目。ユンカー、ショルツと並び「北欧三銃士」の得点揃い踏みとなった。

 4点目が決まってからは、どちらかというと磐田がボールを回す展開に。サイド攻撃やショートカウンターからゴールを襲うも、シュートを枠に飛ばすことができず。13分には磐田は3枚替えを敢行するもなかなか流れを変えるには至らない。
浦和は反撃を狙う磐田のボールロストからのショートカウンターに活路を見い出す。モーベルグはゴールを決めたあとも右サイドからのカットインからシュートを度々放つも、三浦も再三のファインセーブで得点を許さなかった。この攻防はかなり見ごたえがあった。
結局試合はそのまま浦和がクローズさせ、4-1で勝利。復調へ大きな1勝となった。

ざっくり感想

浦和レッズ

前半の項目にも書いたとおり「ワイドなピッチの使い方」と「選手のいい距離感」が生み出した圧勝だった。序盤は磐田のDFライン(特に大井)のスピードと裏が取られがちなところを見るとそこを岩尾や小泉といったところがロングパス、スルーパスで背後をつき、ユンカーや江坂を走らせるプレーをしつこく繰り返したことがミスを誘い、ゴールへ繋がった。相当対策をしてきたのだなと思った。
選手起用としても、犬飼、ユンカーといった先発起用の選手がゴールし、デビューとなったモーベルグを後半頭から投入し結果を残したのはロドリゲス監督の思い切りが見事だった。
ここまでのクラブの不振を救うには十分な快勝かつ、本来ならこれぐらいできて当然という出来の試合だったが、勢いかつ優勝の灯を消さないことを証明するためにも連勝がほしい。

ジュビロ磐田

J1の強豪の壁にブチ当たった。対策されたスペースを突かれてミスを繰り返した序盤の入りがまずかったことで後手に回り、力の差を痛感する結果になった。後半は4点目を取られてからはシステム変更でボールを回す時間帯もあったがゴールには繋げられず、攻撃陣の決定力不足も露呈した。
幸運なのはここで代表ウィークで空きができること。4月初戦の柏戦までにいかに修正できるかが鍵となる。
プラスの面は、やはり守護神三浦龍輝の働きだろう。4失点は喫してしまったが、失点以上に止めた枠内シュートは多く(この日の浦和はシュート17本のうち枠内は13本)、影のMOMと言ってもいいかもしれない。浦和サポーターも彼の能力に驚いた人も多いはずだ。
そして鈴木雄斗。右WBながら得点ランク単独トップに立つ4点目。京都戦同様、なぜそこに!?というゴール前での落ち着きは見事。

MOM

アレクサンダー・ショルツ(浦和DF)

犬飼智也と迷ったが。安定感のある対人プレーで磐田に流れの中から反撃を許さず、大量点でリードを保ったあとも集中力を保ち続けたアレクサンダー・ショルツをMOMに。前半はジャーメイン良、後半はファビアン・ゴンザレスと異なるタイプのFWを相手にしても動じず、仕事をさせなかった。前半には意外だったPKキッカーも務め、短い助走からGKの逆をつき左高めに来日初ゴールも決めた。

〜いつかはやってくるターニングポイント〜
次戦どうする?

正念場の試合で圧勝した浦和と、J1の壁にブチ当たった磐田。対象的な結果となった両チームだが、こういう試合はシーズンに良くも悪くも1度はつきものである。だから必要以上に悲観にしろ歓喜にしろ、しすぎないことが大切だと考える。
浦和に関しては今後ACLも控える中で、モーベルグという救世主が現れた。昨シーズンもユンカー、ショルツをシーズン途中に獲得して、来日して間もなくして起用し早めにフィットさせたのは素晴らしいと思うし、もともと層が厚いチームにさらなるオプションや競争が生まれたことはプラスでしかない。ACLとリーグの浮上において、今後も結果が出れば「この試合が大きかったな」と言えるだろう。

磐田に関してはいずれくる壁に早いうちに当たったこと、先述した通り中断期間で修正に入れることは悪くない。あれだけ圧倒したJ2でもここまでの力負けはなかったので、この感覚は久々に味わう。
サポーターにも選手にも言いたいのは、いい意味での開き直りと切り替えを求めたい。まだ川崎や横浜FMと言った浦和以上の強豪との戦いも待っている。後半にキャプテンでもある大井を思い切って下げ、フォーメーションを替えて修正した伊藤彰監督の勇気、私は素晴らしかったと思うしこの修正力があれば4月からも大丈夫だなと信じていると強く言いたい。

雨に打たれながらも戦った選手とサポーター。とにかく下を向かずに切り替えて変わらないサポートを。拍手・手拍子が選手が去るまで止むことはなかったし、ビッグセーブを連発した三浦を褒めてくれた浦和サポーターも多かったことは救われた思いだ

試合結果

浦和4-1磐田
得点
【浦和】犬飼智也(前半8分)、キャスパー・ユンカー(前半11分)、アレクサンダー・ショルツ(前半37分)、ダヴィド・モーベルグ(後半3分)
【磐田】鈴木雄斗(前半14分)
🟨
【磐田】黒川淳史(後半29分)

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