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自己紹介④V・ファーレン長崎編〜愛と平和と一生懸命な日本一温かいクラブとサポーターと頭の大きなマスコット〜

私の好きなサッカークラブについて書いていく自己紹介シリーズ、今回はV・ファーレン長崎編です。

縁もゆかりもない長崎なのになぜ?

気になったきっかけは、サッカーじゃなかった

以前にも書かせていただいた通り、私は第一に、静岡県浜松市生まれ、神奈川県相模原市育ちのジュビロ磐田サポーターである。

なのになぜ?縁もゆかりもない長崎が気になりだしたのか?
お世辞にも、華麗なサッカーをしているわけではない。
長年応援していた選手がいたわけではないし、選手のことはほぼ知らなかった。
だけど、ひと目で目に留まったものがあった。

はじめて生で実物を見た、2018年2月のJ1初戦
差し入れを誇らしげに掲げる、食べ物大好き

なんだこのキャラクターは。
めちゃくちゃかわいいな。
そして頭大きいな。

私が率直に一番最初にインターネットで見つけた時の感想である。
彼こそオシドリとシカを合体させたのがモチーフの「ヴィヴィくん」。今や長崎の顔である。

確かに、このクラブはJリーグ昇格初年度のJ2で6位に入り、1年目にして昇格プレーオフにまで駒を進め、「最強の新参者」とも言われた。その知識ぐらいはある。
だけど、完全に気になる一番最初のきっかけはヴィヴィくんなのは間違いない。そして、各クラブのマスコットにももっと興味もとうとなり、今や我が家にたくさんのぬいぐるみがあるぐらい、沼にハマるきっかけになったのもヴィヴィくんである。

もちろん、マスコットだけではない。
2017年、前社長の不祥事が発覚し、もともとスポンサーではあった有名な「ジャパネットたかた」の高田明社長が長崎をジャパネットグループの傘下にして、負債まみれの崖っぷちの長崎を救って始まった激動のシーズン。
長崎はあれよあれよと快進撃。地元出身の「アジアの大砲」こと高木琢也監督5年目、高田社長が就任して1年目のシーズンで、J2で2位に入り初のJ1自動昇格を決めた。
その翌年から、私がもっと真剣に長崎を見続けることになっていくのである。

「ちょっと興味ある」から完全なるサポーターへ
2018年J1開幕戦の「人生で一番ポジティブな敗戦」がくれたもの

迎えたJ1ファーストゲーム。対戦相手は湘南。前年は長崎以上にぶっちぎりでJ2を制覇し、長崎とともに昇格した。J1リーグでどれだけ戦えるのか?という力試しには昨年まで同じカテゴリーで戦ってた相手か…とちょっと拍子抜けはしたものの、歴史的な一戦かつ関東での開催ということで、足を運んだ。ちゃんと事前にFC東京から、地元長崎へ帰還した徳永悠平のユニフォームを購入して。

開始8分、サイドを崩されて先制点を許す、昇格組に割とありがちなずるずる行ってしまいそうな展開になったが、それから8分後、FKの流れから田上大地がクラブ初のJ1ゴールとなる歴史的なゴールを押し込み同点。これはひょっとして行けるんじゃないか?という風な空気と、決まった瞬間のゴール裏のサポーターのキラキラした顔は忘れない。
後半に入ると一進一退の攻防になるが、80分。ゴール前の嫌な位置でFKを与えると、そのFKがポストに当たった跳ね返りを押し込まれて万事休す。初のJ1は黒星スタートとなった。

それでも…試合終了後のゴール裏のサポーターの様子は、負け試合とは思えぬ大きな拍手と暖かく、悔しさはあれど希望に満ち溢れた空気感にあふれていた。お世辞にもスターがいるチームではないが、選手は皆90分間ハードワークしていた。初めての試合でこれらの瞬間を目撃できたことによって、このクラブを本気で応援していこうと決めた1日となった。後にも先にも、負け試合で悔しさよりもポジティブがここまで上回った試合には、贔屓のどのクラブでも出会っていない。

開幕戦からアウェー参戦のヴィヴィくんと湘南のキングベルI世。この年はJ1の18クラブ中14クラブのアウェースタジアムに参戦するという驚異的な数字を叩き出し、J1に大きなマスコット沼と存在感を作り出した
開幕戦から高田社長の周りには多くの取材陣が。まだまだ選手より社長のほうが目立っていた時代
記念すべきJ1リーグ初戦のスタメン。ほとんどがJ1未経験者で、キャプテン高杉亮太④は歴代最年長のJ1初出場記録となった。
粘るも悔しい敗戦
まだ肌寒さの残る2018年2月。
それでも長崎サポーターは最後まで諦めず戦った
試合後の様子。鳴り止まぬ拍手とボジティブな声援。このクラブをもっと追いかけたいと思わされた瞬間

2018年
初のJ1は最下位降格、それでも残した大きなピッチ内外での爪跡

黒星スタートとなった開幕戦から足踏みすること7試合目。アウェー清水戦で初勝利を掴み取ると、そこから4連勝。J1でも戦えるチームになっていった。
私は開幕戦の湘南戦の次に見に行ったのは、アウェー最高峰の埼玉スタジアムでの浦和戦。前年に見に行ったジュビロの試合以上に、サポーターが決して多くはない長崎での参戦はよりアウェーを感じた。それでも、初のJ1でついにたどり着いた埼スタの地を、サポーターはまるで修学旅行生のように写真を撮ったりしていたのが微笑ましかった。
試合は押し込まれながらも古巣相手の対決でファインセーブを連発したGK徳重健太を中心に耐え、なんとかスコアレスドローで勝ち点1をもぎ取った。

埼スタの次は柏戦。前半に幸先よく先制するも、完全に目を覚ました柏の攻撃陣を止められず、そこから5失点。苦い試合となった。

結局、9月に連勝をしたが、その連勝が止まってからは勝利を上げることはできず、2節を残しての最下位での降格が決まった。それでも、4月の連勝などが後押しし、最下位クラブとしては史上最高(当時)の勝ち点30を積み上げた。開幕前、圧倒的に最下位予想が多かったチーム。順位こそ当たっているが、ここまでの健闘を予想した人は多くなかったと思う。
そして、前述のヴィヴィくん効果や、高田社長、ホームスタジアムのトランスコスモススタジアム長崎までの道を彩った地元のおもてなしなど、これらの働きが評価され、決して「ネガティブな最下位」ではなく、人々の記憶に残る働きをもたらせたことは、もっと評価されるべきであったと付け加えておく。

埼スタのゴール裏にも現れ、サポーターを鼓舞する高田社長。社長が現れるとジャパネットたかたのテーマを歌い始めるのがお約束。
完全アウェーで耐えて掴んだ勝ち点1。試合内容から見ても十分すぎる勝ち点1だった。
暑い中でのナイターの柏戦。苦しい大敗となった。あのオルンガがJ1リーグ初ゴールをあげた試合でもあった。

2018年10月
アウェーチームとして、初の長崎参戦
温かい人と街にもてなされる忘れられない遠征

そんなシーズンの10月、初のJ1に挑んだ長崎にぜひ行きたい!と、ジュビロのサポーターとして長崎へ友人と飛行機で飛んだ。試合前日は平和記念公園や稲佐山の展望台、ちゃんぽん、五島うどんなど名所から食までを満喫し、翌日の試合へ。

まず驚かされたのは、おもてなしの精神。
最寄り駅の諫早駅からトランスコスモススタジアム長崎まで、普通に歩いても20分以上はかかる。言葉は悪いが、ほぼ何もないような静かな景色の道である。
ところが、ここに高田社長になってから改革が起こった。地元の商店街、不動産屋さんなどが協力してカステラ、おこし、みかん、甘酒などなど、無料で振る舞ってくれる通称「V・ファーレンロード」が始まったのである。まるで近所で料理を作りすぎて分けてくれるご近所さんのように(笑)、人がいい方ばかり。十分すぎるほどのおもてなしを受けてスタジアムに向かった。


スタジアムまでの最寄り駅、諫早
今は改修されてもっと華やかになっているはず
選手ボードがランダムに並べられ、その横でもてなされる
仮装して迎えてくれる方も。試合日がハロウィンが近い日だったので
また会えた。サポーターの方の犬を抱えて
ホームのバス待ち。ジュビロのバスが来たときもブーイングではなく温かい拍手で迎えてくれた
当時互いに残留争いのため、サポーターも多め

試合は一進一退の攻防で点が入りそうで入らない試合に。結局スコアレスに終わったが、内容の濃い90分間を堪能した。

そして、日が落ち、試合後の帰り道でのこと…
私と友人が夕食を求めてふらっと下調べもせず立ち寄った諫早駅近くの居酒屋。そこには偶然、行きでおもてなしをしてくださったサポーターの方々が。

私達を見つけるやいなや、仲間に入れてくれた。私達がジュビロのユニフォームを着ているのにも関わらず、だ。

そこからは2時間ほどサッカーの話と長崎県のことなど、たくさん語り合い、2時間ほどだったはずだがあっという間の時間だった。当時はまだ最下位だった長崎だが、はじめてのJ1どうですか?と聞いたら苦しみ以上に楽しいと答えてくれたときの顔は忘れられない。湘南との開幕戦に駆けつけていたサポーターの皆さんの反応と同じでキラキラしていた。
そんな素敵な出会いがあり、とても温かい気持ちで諫早をあとにした。
翌日もグラバー園、軍艦島周辺の船旅を満喫し帰京。あの時以来未だコロナで行けていない長崎にまた行きたい。

試合後に立ち寄った居酒屋
長崎サポーターもたくさん。試合が終われば皆仲間
試合翌日に船で周った軍艦島。中には台風の影響で入れずも、B'zのPVで使われていたこともありファンの私も大興奮


2019年
地方の初参戦都市で2勝

2018年は現地で一度も勝ち点3はあげることはできなかったが、2019年4月、ついに初勝利を掴みとる。
場所は初参戦の栃木県にある栃木県グリーンスタジアム。宇都宮清原工業団地の一角にあるこのスタジアムは、スタジアムの周りはとても静かで、道路よりも若干低い凹地のような場所に建設されている、不思議な空間だった。
長崎は前半だけで3ゴールと攻撃陣が爆発。後半に一点を返されるものの、きっちりと勝利を手に入れた。

アウェー待機列。前年にJ1で戦ったこともあり、関東でのサポーターも増えつつあった
栃木県グリーンスタジアム。場外の静かさとピッチ内での熱さが個人的にはとても好き
この日もヴィヴィくん参戦。「ヴィヴィ沼」という言葉も定着し始めた時。人だかりでもうどこにいるかわかる
ピッチとの距離も近く、円陣もこんな間近で
前半はセットプレー2発、流れから1発。実に効率よく点を重ねた
掴んだ初勝利。勝利の一体感も長崎ならでは

そして2勝目も初参戦・金沢。5月とは思えない暑さの中での試合だった。
この年、レンタルでやってきて覚醒し、年間22ゴールをあげてJ2日本人得点王になる呉屋大翔のゴールで先制するも、守護神・徳重健太が負傷交代するアクシデント。代わりにリーグ戦初出場となった富澤雅也が投入された。
突然の出番にも関わらず、加入4年目にしてはじめて巡ってきたチャンスを生かし、ファインセーブを連発。キックでも鋭いパントキックでカウンターの起点となり、そのまま1-0での逃げ切りに大きく貢献した。その後、長崎の守護神として一気に定着することになる。

行きのバス待ち。さすが観光都市・金沢といったところ。おもてなし十分
アウェー入場口はちょっと料亭のよう
真っ赤に染まったホーム側。金沢の応援は好き
苦しい時間をなんとか耐え、猛暑で掴んだ大きな勝ち点3
試合後の様子。高田社長が花束を渡されているのは全広連日本宣伝賞において、「正力賞」を受賞したため。勝利と2つの喜びを分かち合う
金沢はマスコットたくさん。メインのゲンゾー
ナンシーちゃん。サービス精神旺盛
ゲンゾイヤー。見た目のヒーロー感すごい
悪?の化身ヤサガラス
アウェーサポーターの味方。ステージ芸は素晴らしい

2020〜2021年
あと一歩までは来た、今年こそ!

降格1年目の2019年は12位と低調なものになってしまったが、天皇杯でベスト4に入り、翌年への希望を見せる。

天皇杯準決勝の舞台はカシマスタジアム。常勝軍団・鹿島の高い壁に挑んだ
序盤に押し込まれるもしっかり立て直した後半の戦いは大きな希望と感動を呼んだ。本当にあと一歩まで追い詰めた悔しさが翌年に生きることに
クラブ初の天皇杯4強。2018年の開幕戦に次ぎ、この試合の負けもポジティブな負け。でも悔しかったな


2020年は開幕戦に勝利すると、コロナでの中断明けも勝利を積み重ね、開幕9戦負け無しで上位をひた走った。しかし、9月に1勝もできなかったのが響き、自動昇格圏から脱落すると、その後の反撃も虚しく同じ勝点で昇格した徳島と福岡から勝ち点差4で3位。悔しさの残るシーズンとなった。

なかなかコロナ禍でアウェー席が取れなかったが、千葉戦で復活。前年も4発快勝の相性の良いフクアリで粘り勝ち
シーズン終盤は接戦の連続だったがしぶとく食らいついた
12月の東京V戦は多くの長崎サポーターがハリセンを叩き後押し
選手の集合写真で誰よりも速く膝を立てて待っているヴィヴィくん、遅れながらこのシーズンアウェー初参戦
角田の執念のヘディングとFC東京時代に躍動したかつてのホームスタジアムで決まった大竹のゴラッソ炸裂で勝利
ヴェルディのマスコットたちと舞台のカーテンコールのような状況。右端はこの年にデビューしたリヴェルン。ヴィヴィくんと濃い関係を築くようになり長崎サポーターからも愛される

その悔しさをバネに迎えた2021年は、監督が前年の手倉森誠→吉田孝行へと交代。昇格最有力との声も上がる中、開幕戦は勝利したもののそこから勝点を思うように伸ばせず、失点が増えていく。そして11節終了後に監督が松田浩に交代と、スタートで躓いてしまった。
しかし松田監督は守備の立て直しに定評があるとの評判通り見事なV字回復を見せ、就任後はリーグ7戦負けなし。そのうち6戦が無失点勝利と、一時期降格圏にまで沈んだチームを浮上させた。さらには、植中朝日、江川湧清、鍬先祐弥といった若手を躍動させた功績も見逃せない。結局終盤まで昇格争いには絡み、昇格した京都へシーズンダブルを達成したが、この年も昇格へは届かず4位。2年続けての「あと一歩」となった。

3月の大宮戦は0-4の大敗。前年の良さがまるで出せない苦しい試合
6月の相模原戦。アウェー初芝生席となったギオンスタジアム。近めのガミティはマスコットを大切にする長崎サポーターに囲まれていた
この試合の前に監督が交代となった相模原。後任はこのタイミングでまさかのかつての指揮官、高木琢也という衝撃の展開
相手のミスをついて先制してからはひたすら守る展開。守護神富澤が立ちはだかり、壁もあらゆる手を使って作る
なんとか勝利。かつての指揮官が作ったチームは手ごわかった。
必死に耐え抜いた選手たち
11月の東京V戦。この年は来られなかったヴィヴィくんの代わりに、リヴェルンがヴィヴィくんグッズを身にまとう
負ければ昇格の可能性が消える一戦。前年もこの年も終盤の味スタアウェーは気合が入る
前半は苦戦したが、後半に相手に退場者が出て数的優位に立つと流れが一変。終わってみれば快勝
この年加入、この試合先制点を決めた都倉賢。熱き男はその身体のようにピッチ内外で大きな存在感を示した
ジュビロの応援ではあったが、ヤマハでの長崎戦の長崎サポーター。J2昇格が決まった磐田相手に一進一退の攻防を繰り広げるもドロー。この試合で昇格の望みが消えた

そして迎える2022年シーズン。ルーキー時代からSBで躍動し続けた毎熊晟矢がセレッソ大阪に移籍する戦力ダウンはあったものの、柏レイソルで王様のように君臨し、2018年のJ1、2019年のJ2と敵として苦しめられたクリスティアーノがまさかの電撃加入。ここ数年はエジガル・ジュニオ、カイオセザールなど他クラブからの外国人選手の躍動も目立つ長崎に、大きな昇格へのラストピースが加わり、今年こそ昇格を目指す。

〜愛と平和と一生懸命〜
他クラブとは違った「平和都市」の発信

最後に、このクラブが毎年行っている取り組みを紹介しておきたい。
皆さんも知っている通り、長崎は広島と並んで原爆を投下された都市である。そのため、「愛と平和と一生懸命」のスローガンのもと、選手たちは毎年夏の時期にそれらを知る世代の方々の講話を聞いたり、試合前に「平和祈念宣言」のようなスピーチを行ったりといった試みを行う。
そして、私が一番いいと思っている取り組みは、「平和祈念ユニフォーム」の発売である。選手たちは夏の試合でこのユニフォームを身にまとい戦う。2018年には、同じく原爆投下都市の広島との対戦が「ピースマッチ」と銘打ち、アウェー広島戦でもこのユニフォームで戦った。

左上から2017→2018→2019(左下)→2021(2020年はコロナもあり発売されず)の平和祈念ユニフォーム


サッカークラブで、これだけ平和に関する取り組みを行っているクラブは世界的に見てもあまりないかもしれないが、そこにとても大きな価値があると思っている。実際私も当然その頃には生まれていないし、知らないことだらけだが、長崎を応援するようになってから、歴史に触れるようにもなった。

これから、新スタジアムも出来上がる。ジャパネットの傘下に入ってから、補強も含めてこのクラブを取り巻く環境は劇的に変わった。もうJ2に留まる規模ではなく、普通に超えていっていると個人的には思う。あとは実績だけ。これからももっともっと大きな影響力を持つV・ファーレン長崎に注目していってほしい。

→次回、自己紹介⑤松本山雅FC編に続く

※最後まで読んでいただきありがとうございます
長崎サポーターの方、もしくはヴィヴィくん好きな方の感想大歓迎です!

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