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漆の街黒江へ。JR天王寺駅発、特急くろしお9号白浜行き。

コーヒーを片手に、乾きかけのタオルを気にしながらこの文章を書いている。少し蒸し暑い。

これから和歌山県海南市へ。会津漆器、輪島塗・山中漆器などとともに全国三大産地の一つと言われる紀州漆器の町、黒江へ。

ここに向かう前に最近漆の会社を立ち上げた方のお話を聞くことができた。
縁は本当に不思議なもので、同行していたイタリア人の友人デザイナーの知人と、また別の共通の知人とがまた知り合いで、滋賀県の琵琶湖のほとりでお会いした。
良い時間を過ごす。

「京都は小さな日本だと思ってくれはったらええです。」

お邪魔した岩倉にある陶磁器の窯元のご主人がゆっくりとした口調でおっしゃっていた。

資源が少ない土地で、どうやって価値を高めて協力して生きていくか。その積み重ねが歴史となって、そこから風土にあったものが生まれる。

他のあらゆる産地に比べ、資源がない京都は意匠と工夫で歴史を紡いできた。今は他の産地も高いレベルのデザインでモノをつくり始め、ふと気づくと京都の強みが希少価値ではなくなっていた。

もう一度それを見つめ直さないといけない。

と。

1年ぶりに訪れた京都にはやはり人と人が深く結びつきやすい環境や、世界から人を呼びこめる魅力が沢山つまっている。

京都に住むプリティな友人に連れていってもらったしみったれた居酒屋(褒め言葉)には、なんとも暖かい距離感の会話や時間が流れて居たし、踏み込んではいけないような、でもワクワクするような陰の魅力はいつでも僕を惹きつける。

もうすぐ海南駅に到着。

漆器=黒江、

と呼ばれていたこの町ではどんな出会いがあるのかな。


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