見出し画像

好きな作品や美術展について勝手に語ろう【メトロポリタン美術館展を振り返る】

新型コロナが発生する前の2017~2019年は美術鑑賞にはまっていました。美術館遠征と銘打ち関西、関東へ出掛けては日に2~3館はしごすることもありました。

コロナ自粛で遠征に行けなくなった当初は落ち込みましたが、今では入場待ちの列に並んだり人混みを掻き分けて観覧したりすることがなく、マイペースで好きな作品を観ることができるようになり、却って良かったと思っています。(そもそもコロナ禍前の美術展ブームが異常だったのかも・・)

そんな私が今まで観た作品や好きな作品、美術展について、勝手に語ることを思いつきました。

全くの素人の感想として、気軽にお付き合いいただけると嬉しいです。

第1回は、メトロポリタン美術館展の感想


画像10

現在、東京の国立新美術館にて開催中のメトロポリタン美術館展。

目玉作品はフェルメールのようですが、以前フェルメール観たさに出掛けた某〇ー〇〇美術館展が、目玉作品以外はあまり見るべきものがなかったこともあり、コロナ禍もあって行かないつもりで大阪展も見送りました。

ところが、次の作品が出品されていることを知り、俄然行く気に・・幸いというか、会期中にどうしても上京する用事ができ、約3年ぶりにお上りさんとなりました。

観たかったのはこちら。

ジャン=レオン・ジェローム「ピュグマリオンとガラテア」
(パブリックドメインになかったので、「東京美術館巡り【公式】」のツイートを貼付しました。)

ピュグマリオンとはギリシア神話に登場するキプロス島の王様で、自らが彫った理想の女性、ガラテアに恋焦がれ、女神のアフロディーテに祈ったところ彫刻が生身の女性となり、驚喜したピュグマリオンは彼女を妻に迎えた、という神話を題材にした作品です。

ジェローム(1824年~1904年)はフランスのバリバリのアカデミズムの画家。印象派が台頭し始めた頃に古典的写実的な絵を描いた画家で、印象派好きの私としては正直「きれいなだけで面白くない」とすら思っていたのです。

ところが何かの画集でこの「ピュグマリオンとガラテア」を見て、その身体表現の美しさ、彫刻が人間に変わる瞬間を描いた様・・肌の色の変化、血の通いを想像させるしなやかな動き・・の見事さに惹かました。

今回、初めて実見しましたが、意外に小さい作品で、予想以上に彫刻から肌の色への変化が表現されていて素晴らしく、何度も往復して観てしまいました。

これを観るだけでも大満足!の美術展でしたが、全体的にみてもルネサンス期~印象派まで偏りなく名画がそろっていて、冒頭のフラ・アンジェリコの「キリストの磔刑」(日本初公開/画像なし)から頭をガンと殴られるような衝撃!その色鮮やかな煌めく世界に圧倒されました。

他にもラファエロ、クラーナハ、エル・グレコ、ルーベンス、カラヴァッジョなどのオールド・マスターやフラゴナール、クールベ、ルノワール、セザンヌ、モネ・・など。フェルメールがかすむ位の豪華な、出し惜しみのない美術展でした。

以下、メトロポリタン美術館のパブリックドメインから画像を拝借し、印象に残った作品をいくつか紹介します。


画像1

ルカス・クラーナハ(父)「パリスの審判」
クラーナハは2017年の「クラーナハ展」で何点も観ましたが、一目でクラーナハだとわかります。当時のキャッチコピーが確か「貧乳ヌード」だったかと(笑)

画像2

ヘラルト・ダーフィット「エジプトへの逃避途上の休息」
青い服のマリアが印象的な美しい絵。

画像3

バルトロメ・エステパン・ムリーリョ「聖母子」
美しい若いマリアと幼子イエス。あまりに美しい絵でしばし立ち止まって眺めておりました。美しかった・・。


画像4

エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン「ル・シャトル伯爵夫人」
ル・ブランはマリー・アントワネットの肖像画を描いたことで知られる女性の肖像画家。やっぱり上手い!


画像5

ジャン・シメオン・シャルダン「シャボン玉」
ロココの時代のフランスのアカデミーの画家で、静物画家としても有名です。上手いです。これは、膨らんだシャボン玉の表現が素晴らしいと思いました。余談ですが、某社の芳香剤の商品名はこの画家の名からとったと聞いたことがあります。


画像6

フランソワ・ブーシュ「ヴィーナスの化粧」
フランスのロココを代表する画家。まさに「ザ・ロココ」って感じの作品です。印象派ばかりに注目していた以前はロココは馴染めませんでしたが、こういう”キラキラこってこて”の作品も悪くないな、と思えるようになりました。


画像7

ジョルジョ・ド・ラ・トゥール「女占い師」
フランスの画家、ラ・トゥールによる色鮮やかな風俗画。東京展のメインビジュアルはなぜかこの作品でした。


画像8

オーギュスト・ルノワール「海辺にて」
ブルーのドレスを着たバラ色の頬のふっくらとした女性が、優しく微笑みかけています。ルノワールの人物画は幸福感に満ち溢れていて好きですね。


画像9

カラヴァッジョ「音楽家たち」
カラヴァッジョのきれいな作品。個人的にはもっと「光と影」を強調するようなドラマティックな作品が好みなんですが、迫力はありました。

フェルメールも霞んでしまうような豪華なオールド・マスターの競演。
メトロポリタン美術館展東京展は国立新美術館で5月30日㈰まで開催。

入場は事前予約制ですのでご注意願います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?