研修医へのメモ〜カルテ〜

注意!これは私の個人的な書き方なので、この書き方が正しいわけではありません。
書くのに困ったとき、こんな書き方もあるんだな、と思い出す程度でお願いします。
実際の臨床は指導医に従ってください。

カルテは「伝言板」です。
主には主治医たる自分への伝言ですが、ほかの先生やコメディカルも供覧・参考にするものです。
けして独りよがりなカルテにせず、あくまで診療上に有用な情報を記載するものとして扱ってください。

また、カルテは公的文章です。
患者さんのほか、警察にも開示し証拠となり得るものと自覚してください。
診ていないものを書くのは公文書偽造になります。

テンプレートは慣れないうちに使用する、あるいは慣れきったときに使用するのはいいと思いますが、下記に留意してください。

・テンプレートにこだわるあまり記載すべきテンプレート外の情報を漏らさないようにしてください。
・デフォルトをそのまま登録するのもやめてください。たとえデフォルトのままだとしても、記載された時点でカルテ上の事実として残ります。
例えば「聞こえない」とされていた心雑音がある時を境に「聞こえる」と記載されていたら何を疑いますか?
・テンプレートを使用したカルテは一見「過不足ない、きれい」に見えますが、一方で「長く、要点がわからない」側面もあります。
ケースバイケースで使い分けてください。


S
患者が話したことを書く。
主観的なことはすべてS。患者家族の訴えもあれば。
可能であれば、どんな仕草・表情であったか、なども書くとよい。
(厳密にはOかもしれないが、Sに付随するということでSのほうが便利)

闇雲に全て書けばいいというものではなく、あくまで鑑別の材料となりそうなもの・患者背景の参考になるもの・患者とのラポール形成に役立つ情報をまとめること。
ここでふざける先生もいますが、カルテは他人に見せるための物なのでおすすめはしません。

O
客観的な所見をすべて書きます。
片っ端から書けばいいわけではなく、あくまで鑑別や併存問題をあぶり出すのに有用な所見を書いてください。
ただし、鑑別がついていない・問題がたくさんある場合は片っ端から書き尽くして思考を整理するのも有用です。

測っている場合、最低限バイタルは記載してくださいね。
体液貯留傾向・DMなど体重管理が必要な人は体重も。また、薬物投与にかんしても体重は知っていたほうがいいです。
食事は食べていますか?排便はありますか?
などなど…温度板情報からまずは書きましょう。
検査をした場合はその所見も忘れずに。

何を見て書けばいいかわからない場合は、とりあえず頭の先からつま先まで、どんな情報が欲しいかを考えましょう。
診察についてはその手の本を参照のこと。

A
まずはプロブレムリストをあげましょう。
#は 「シャープ」でなく「ナンバー」なので、数字が付いてないと怒る先生もいますが、個人的には並び替えたいので数字なしで書きます。
病名だけでなく、症状や社会的背景など具体的に困っていること(そして、治療・問題解決につながるもの)を書き出します。

略語は使うと怒る人もいますが、カルテが汚くなるなら適宜使ってもいいと個人的には思います。
但し上記の通り、カルテは他人へのメッセージなので、わからない略語は避けましょう。
また、同じ略語でも異なる意味を持つものもあるので注意(DM,PD,ASD...きりがないですが)

#HFrEF (EF20%)wet-cold
#Af
#OMI postPCI#9(2020.2.2 当院)
#CKD G3 due to DM
#T2DM 腎症3期,網膜症合併なし,神経合併あり(10年前より)
#両側TKA
#服薬コンプライアンス不良
#独居

例えばこんな感じ。

一通りあげたら、それぞれのアセスメントを書きます。
プロブレムの下に、それに対し行った主な行為(処置及びその日付、投与中の薬など)を書くと良いです。

その先はアセスメントです。
最初は自分の頭の中で考えていることを書いてください。
どういう理由でどんな思考過程のもと、どういう結論を出してどんな治療方針にするか。
今後は何に気をつけてどうなったらどうするか。
自分の頭の中は自分にしかわかりません。それを、他の人に(あるいはあすの自分に)伝える場です。
要するにここが「患者さんに対して行うこと」の肝となります。
もしわからないことがあったら調べたり聞いたりしてください。

#HFrEF (EF20%)
-med メインテート(0.125)2T,スピロノラクトン(25)2T,レニベース(5)1T,ラシックス(20)1T

OMIによる心機能低下が背景にあり、Afによる頻脈によって心不全が増悪した。
メインテートにより現在頻脈は改善している。
ラシックスは内服に切り替えたがその後も尿流出は良好。このまま心不全管理を続ける。
DMに対しSGLT2阻害薬を使用し心不全管理を合わせてもいいかもしれないがコンプライアンス悪く、脱水やUTIのリスクが高いと思われる。

P
アセスメントで考えたことをもとに今後行うことを書きます。
スケジュール帳やTodoリストのように、日付とともに羅列すると翌日以降のやり残しがなくて便利です。

4/1 採血,Xp
心エコー結果待ち
MSW相談
4/4 IC予定

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