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【連載映画】対立している場合ではないアーティスト界、創作事情

受賞もキャリアも、観客には無関係です。スピードとプロセスが価値化される現代に、業界内対立は意味がありません。このトピックでは、「現代流企画開発傾向」を、知ることができる。過去の学びに支配されて未だアップデートできていないアーティストの、ために書きます。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 競った先にあるのは、勝利未満 』

コンテンツ産業界での勝利は時に“ひとり勝ち”を指しますがそれは一方で、横並ぶレベルのヒット作が生まれない、業界の衰退である場合も多い。つまりに、企業のみならずアーティストもつい“競う”ことに注力しますがその先にはそもそも、勝利が存在していないわけです。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせします。

■ 最新国際ニュース:2021年の韓国映画界、10年ぶりに外国映画に興行成績の王座を奪われる

昨年の韓国映画2021年の主な興行成績は、通常支配的な地元映画部門ではなく、外国映画が獲得した。

COVID以前の時代、韓国は韓国人の一人当たりの映画館入場率が高く、北米、中国、日本に次ぐ世界第4位の興行市場であった。しかし、韓国は他の多くの主要市場で見られるような劇場回復の強さを享受することができず、数字はいずれも以前より大幅に低くなっている。韓国映画界の国内での苦境は、韓国の音楽やテレビドラマの海外での成功が拡大していることとも対照的である。

2021年の興行総額は、韓国で過去最も忙しい年であった2019年に比べて70%減となった。興行収入上位10本のうち8本を外国映画が占め、内訳はハリウッド映画7本、日本のアニメ1本「鬼滅の刃」であった。外国映画(『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』)が年間最高位を記録した。トップ10に入った韓国映画は2本だけだった。 - JANUARY 05, 2022 THE Hollywood REPORTER -

『 ニュースのよみかた: 』

韓国映画界のローカル収益が70%減の急下落で、世界興業第四位から転落。音楽と放送ストリーミングドラマの好調と真逆、という記事です。

自国内マーケットが小さい韓国は他国での収益化に長けており、国外作品の影響を受けやすい。一方の日本はローカル収益で維持できてしまうことからガラパゴス化を引き起こして、国外での収益化に弱いです。

もしも両国の密なるタッグが実現していけば、北米収益の好調を後押ししつつ、映画マーケットの拡大が適います。なお、中国や北米との対立構造を記事化しているニュースは、コンテンツ産業の本質を見抜けていないので、参考にされないことをおすすめします。映画はすでに“産業サイズ”に無く、各国各部が対立している場合ではありません。

『 ”連載映画”を創る意味 』

大型の国際映画のプリ プロダクション(撮影前準備)を進行中の国際映画スタジオNOMAの中に、もう一つの映画プロジェクトが誕生しました。それは驚くほどに小さく一方で、未知なる成長域を内包している最新鋭のモンスターです。

ここ「アーティスト情報局」では、「連載映画」という映画企画開発を、明かしていきます。企業が管理運営してきた業界に変わる、“コミュニティ運営型業界”が創出する世界初のケースだからです。

『 コミュニティ運営型業界×映画 』

映画企画には、傾向があります。当然にテーマもスケールもクオリティも異なる映画ですがその実、ドキュメンタリー作品以外に一貫している、傾向があります。

映画は企画開発段階から完成までに、妥協を重ねて痩せていく、ということ。

世に出るプロダクトとプランという積み上げたビジョンの塔は、現実という神に崩されて結果、凡庸を受け入れてきました。観客がクリエイターの意識レベルを凌駕したいま映画界も、変わる必要に迫られています。

『 映画の企画開発、順序を“逆”にする』

積み上げたビジョンが現実に負けながら痩せるのが、これまでの劇場映画企画です。一方、NOMAが生み出したのは、最小値の発足時点でローンチされて、成長し続けながら最大化を獲得する映画企画が、「連載映画」です。

ローンチから完成へのプロセスが、完全に逆なわけです。観客が求めているのはサンプル数名による企画開発ではなく、リアルタイムの反映なのですから。

『 “8ヶ月前の古新聞”問題 』

映画の企画開発から完成までには最短で半年、マーケティングを踏まえれば当然に8ヶ月を要します。時代に提言しようとするアーティストのメッセージを“映画”から届けようとするためには必ず、“8ヶ月後を予測”することが必須になります。当然に、不可能なわけです。社会経済金融技術に不勉強な映画人たちが、進化した観客のリテラシーを先行することはできません。

これからの映画製作に必須なのは、「リアルタイムの反映」です。

さらにプロセスをエコノミー化できる連載映画は、近未来型映画の原型だと考えられます。時代に即したコラボレーションも自在、時代を実装したストーリーを瞬間、公開することすらも可能なわけです。

次回以降いよいよ、「近未来の映画企画開発」を深掘りしてみましょう。

『 編集後記:』

家具を、レゴブロックとして考えています。
現在のわたしは、最適化と機能美にしか価値を見いだせずにいます。Fellowes社の段ボール製Bankers Boxをレゴブロックのように積み上げて、家具を創ります。移転への梱包も一切無用。プロの梱包よりも早く、荷解きすら無用。この合理化以上の価値はなかなかみつかりません。

それが、非合理的な無駄を濃縮する偏愛の果てに芸術性を求める毎日です、

非合理のための最適化を徹底し、映画製作の現場へ帰るとしましょう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記