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【インディペンデント スター】メジャーの冠は本物に継承される

メジャーとブランドの時代は終わった。インディペンデントの中で実力を発揮した本物が“スター”になる。このトピックでは、「実力派スターの時代」を、知ることができる。、アーティストの、ために書く。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 “地盤×看板×鞄”状況激変 』

業界はメジャーが率いて、マーケットを包括し、個々のアーティストは派閥型企業に属することで、参加を承認されてきた。一方で、既存のインフラやネットワークにリンクしない“インディペンデント”という層は着実に実力を高めついに、SNSとプラットフォームを駆使することで、マニアから一般までをも支持者層を拡大させた。

メジャーを凌駕した知名度はブランドとなり、前代未聞の資金力を有していま、「スター」を生み続けている。個人の実力派スター、そして「企業」もまた。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:英国インディーのコミック出版社ShortBoxが、メジャーアーティストら48名の新作を期間限定リリースと発表

イギリスのインディーコミック出版社ShortBoxは、今年の10月、48人のアーティストが新作を制作する1ヶ月間のデジタルコミックフェア開催を宣言した。創設者のZainab Akhtar氏は声明の中で、「多くの人がまだ家に閉じこもっている中で、私がコミックフェスティバルに求めるものを反映したイベントです。このフェスティバルに参加するすべてのクリエイターは、10月1日から31日までの間に、新作コミックブックをデジタルで独占的にリリースします。」とした。

ShortBox Comics Fairは初週末、すべてのコミックを特別価格で販売する。

イベントに参加するアーティストには、「ハーレイ クイン」の代表作をはじめメインストリームのクリエイターからインディーズのスターまでが含まれている。

ShortBoxは、ジャーナリスト兼編集者のAkhtarが2016年に設立した、ボックス型のフォーマットでコミックをリリースしている。インディペンデントな現代コミックを扱う代表的な出版社の一つであり、これまでにローズマリー・バレロ・オコンネル、リッサ・トレイマン、ジェームズ・ストコー、エミリー・キャロル、アミンダー・ダリワルなど、多彩な才能のコミックを出版してきた。アイズナー賞にも複数回、ノミネートされている。 - AUGUST 16, 2021 THE Hollywood REPORTER -

『 ニュースのよみかた: 』

英国の独立系弱小コミック出版社がメジャーなアーティストと“インディペンデント スター”のアーティストの描き下ろし新作を“まとめ売りデジタル販売”する、しかも期間限定で、という記事。

本企画には実に多才な、近未来への鍵が含まれている。観逃すのは惜しい。

「ShortBox」という出版社は、オンラインで活動する英国の弱小ベンチャーだ。しかし、そのチャレンジは多彩にして多才。まず、販売は年4回だけ。しかも期間限定。“デジタル出版”を主としていながら要望の多いごく一部のタイトルのみを紙面出版、ときには“ピンバッジや“お菓子”、唐突に“限定プリント原画”を含めたりする。すべては、“ボックス売り”という、福袋形式だ。作品すべてが読み切り短編な点で連載誌や既存出版とは異なる。マーケティングはオフィシャルのTwitter、Instagram、Facebookのみ。本来の書籍であるアナログを“特典”として価値化できている点も、実に見事だ。

同社は、出版界におけるキュレーターとしての地位を獲得したと言える。

インディペンデントがメジャーと組むサプライズを過ぎていま、インディペンデントの中から誕生した「本物」が、メジャーをキュレーションする時代が始まっている。企業同様もう、“大きさ”にはなんの実証価値も無い。

『 メジャーはメディアが生むが、本物のスターとは 』

メジャーやブランドの価値は、“評価される”ことで確立されてきた。評価するのは賞レースの果ての、“メディア”である。メディアに認められることこそが、メジャーというブランド価値であったわけだ。

時代は、進化した。変わったのは、人々の“価値観”だ。

メジャーやブランドの冠は剥奪され、再評価への審査対象になった。さらに、テレビに代表されるメディアは“観客”によって再評価対象となり現在、過去の栄華は名残もない。同メディアを支えてきた“紙面メディア”は、無いものとして、審査対象からも除外された。

人々の価値観が「本質」を求めている。もう、看板や箱、宣伝や特典にはなびかない。明確な本質は“存在する”ものであり、承認を必要としない。その本質を見抜く実力を、人々が手に入れたのだから。

『 インディペンデント スター 』

多くはフリーランス出身のアーティストである。それは、企業に属することからは得られない唯一にして最大の「企画実行力」があるためだ。

企業の各部に従属する“労働者”たちに、アーティストと表現できるスキルは育たない。専業としての“スペシャリスト”の地位が与えられるだけだ。“下請けの受注仕事”を得て生活しているスペシャリストも残念ながら、同様。スキルは“機能”であり、実力ではない。

アーティストに必須の“ゼロから1”を生む実力は企業内の企画部や第一制作室でも可能だと想いたい気持ちは判るだが、アーティストに必須なのは、「ゼロから1を生んだ先で作品を生みそれをマーケティングする」すべてなのだ。どれかひとつでもプロセスに不具合があれば、“趣味人”に墜ちる。

メジャーに属さずその実力を備え、ゼロからマーケティングまでに精通しかつ、最先端にアクセス自在でありながら活動のすべてに金銭的な責任を負いつづけた者の中から、突出した才能が誕生する。その活動が“ファン”を獲得した瞬間が、「インディペンデント スター」の誕生である。

『 編集後記:』

信頼する若き天才チームから、YouTubeでの動画配信を迫られて動揺している。カメラが、怖い。根っからの裏方体質である。レンズを向けられるくらいならいっそのこと、銃口を向けられた方がマシだ。

まだネットもスマホも無かった二十代の頃、フリーウェイを外れた深夜の住宅街で完全に方角を見失ったわたしはパトカーのサイレンに安堵して地図を手に、車を、降りた。「FREEZE!!!!!」静寂に轟く怒声。闇になれた視界の先で開け放ったパトカーのドアを盾に、二人のポリスがわたしに銃口を向けていた。

それからも取材中に2度、銃口を向けられたことがあるのだがそこには諦めの想いが発動し、不思議と恐怖は無い。だが、カメラのレンズは、怖い。次作からわたしはきっと格段に、俳優と女優に優しくなる。彼らは、凄い。

逃げ場の無い今に感謝して、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。


■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記