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【メジャーの頂点】インディペンデントもそれほど変わらない

メジャーに対する大きすぎる期待や嫉妬はともすれば、我々インディペンデントの空気を濁す。ただしメジャーを知ることで誤解がとければ、自身の立ち位置に気付く。このトピックでは、「大小業界構造の仕組み」を、知ることができる。現状に満足することも羨むことも放棄できずしかし目指す先が観えていないアーティストの、ために書く。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 分散型業界における個人価値の拡張 』

などと、表題に対して各項が突如難解な記述になる書籍のように卑怯な手は使わないので、安心して欲しい。ここ「アーティスト情報局」はいつまでも、“アーティストびいき”のアーティスト目線だ。

世界一時停止が証明したものの一端が、“業界”の脆弱性と、業界を管理運営している“企業”への不信任だと言われる。だがアーティストなら、そこに不平不満を並べるのは滑稽だそもそもに我々はそれほど、社会にも業界にも企業にも、順応などしていない。

だが、一般観客の価値認識は激変した。
我々アーティストは作品を創るだけではなく、観客の求めに応じて自らの手で作品を提供するべき立場に押し出されてしまっているのだ。気付いていないかも知れないがもう、気付いているふりで学んだ方がいい。

業界とは、たとえるなら塀に囲われた敷地である。
企業とは、その中にそびえる幾つもの塔である。
そのどちらのも機能不全を起こしており、住人の流出と異人の流入が止まらない状況が、現在だ。

気付いたアーティストは今までの創作活動を「分散」させて正常化を維持し、誰に頼ることもない自立したアーティストへと自身の価値を「拡張」する。それが、新たなアーティストの姿。

その者たちが集い、コミュニティを形成し、連携しあう構造こそが、アーティストのこれからを形づくる、「分散型業界」である。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:「ダークナイト」のクリストファー ノーラン監督、ドゥニ ヴィルヌーヴ監督の「Dune」のVFXを絶賛

「ダークナイト」や「テネット」の監督であるクリストファー ノーランは、ヴィルヌーヴとのポッドキャストでのディスカッションの中で、「Dune」はこれまで見た中で最も素晴らしいVFXと映画撮影の融合であると述べた。

ドゥニ ヴィルヌーヴ監督の『Dune』は、世界中の映画愛好家やSFファンの共通認識となっている。それは、スタジオが所有するIPを利用した作品ではなく、作家の純粋な情熱が込められたメガバジェットの大作であるということにある。

クリストファー ノーランが語る。「この作品は、私がこれまで見てきた中で、実写の写真とコンピュータによる視覚効果が最もシームレスに融合した作品の一つです。あらゆる場面で非常に説得力があります。この作品の作り方は、まさに大画面のためのものだと思います」

「Dune」は現在好調に推移しており、製作費1億6,500万ドルのこの映画は、日曜日の終わりまでに2億2,020万ドルを稼ぎ出した。

しかし、Villeneuve監督は、フランク ハーバートの著書の前半部分のみを扱った作品であり、慎重に計画された大規模な続編で物語を完結させたいという野望を公言している。しかし、成功がより明確になるのを待たれており、まだ続編の製作を許可されていない。ノーラン監督は、本作を2つの映画に分けたことについて、ヴィルヌーヴ監督に質問した。

「あの巨大なストーリーを1本の映画に収めようとするのは間違いだと感じていたので、すぐにスタジオに提案しました」ヴィルヌーヴ監督は、当初、「Dune」の両編を背中合わせ、あるいは同時進行で撮影したいと考えていたが、スタジオ側がそのアイデアの費用負担に難色を示したと付け加えた。「わたしの前作、“ブレードランナー2049”は大ヒットしなかったので。」

ノーラン監督は、ヴィルヌーヴ監督が自分自身に厳しくなりすぎている、と言う。「あれはスタジオ側の交渉戦術だったと思います。ブレードランナー2049は非常に成功した映画であり、素晴らしい作品だった」

ノーラン監督は、完成度の高い映画の撮影技術の中にCGIショットがシームレスに組み込まれていることに興味を持った。

ヴィルヌーブ監督が答える。「あなたがやっているのと同じ方法です。可能な限り実際の場所で撮影し、現実を受け入れようとする。純粋なCGIのショットもありますが、私はそれをできるだけ避けようとしました」 - OCTOBER 26, 2021 THE Hollywood REPORTER -

『 ニュースのよみかた: 』

クリストファー ノーラン監督が控えめなドゥニ ヴィルヌーヴ監督を激励しつつ、超大作映画界の交渉事情を露呈、という記事。

彼らはもう、企業や業界、いやハリウッドという実質的な“一国”にすら遠慮無く、自身の意思で活動している。彼らは図らずも、分散型業界を形成し、かつてならば“ライバル”と位置づけられたはずの両者が情報を共有しながら連携し、新たなコミュニティを形成している。

時代はもう、他が良い競い合う場合ではないという証明である。

『 時代に遅れるマウンティング 』

独自のシェアを堅持ずるために未だ、マウンティングに尽力する無能がいる。言葉は悪いが、信者を率いて被害を拡大させている点で、妥当だと判断して使用した。

一部のアーティスト気取りに多いこのマウンティングの本質は当然に虚勢であり、原材料としての価値以上の作品は生めず、人間的な価値にも疑いが向けられる。ともすれば無意識下でマウントしてしまう我らジジイ世代は、注意が必要だ。ただ心地良く言葉に感情をのせただけでそれは、“圧高い”マウンティングとして機能してしまう。若者たちは引き下がり結果、“ジジイ マウント”は成立してしまう。意識的に感情発信の言葉を押さえることが重要になる。

『 大小業界構造の仕組み 』

信じさせて、信じ、集めて、集まり、創らせて、創り、売られて、買われるのが、業界である。歯切れ悪く、叱責を恐れて言葉を伏せているわけではなく、業界構造の本質には、“構造”が存在しないことはあまり知られていない。

業界の形を維持しているのは“マーケット”であり、構造の骨子ではない。では業界の本質とは。

「哲学」である。
多くの業界は創始者わずかに数名によって組成され、幾度の変革を経て尚、“哲学”を核として機能している。

だがもう、通用しない。時代は「分散型」へと移行し、最適化された機能美がマシンスペックを凌ぐ価値を生み出す。もう、“本社ビルの中のピラミッド型人事”に依存するのは気付かない時代遅れか、意図ある天才のみ。

それ、コングロマリットを形成する巨大業界も、インディペンデントのローカル コミュニティも、違わないのだ。

あなたが直面している日常図式は、世界の頂点でも構造に違いは無い。

『 編集後記:』

腹が立って眠れない。
本当はそもそもにこの歳までの夜型人間が昼間に活動するプロデュース生活に生活リズムが前衛的に乱れているだけなのだが、腹は立っている。

連日、若者たちが情熱をほとばしらせている日々に、客を装った嘘つきが紛れ込む。その人物はマウンティングに必死な挙げ句に情報の底は丸観えで、リサーチャーなジジイ アーティストを騙せるはずも無い。にも拘わらず、若い情熱を手玉にとり。

悪事は己へ返る、とは誰の言葉であったか。
ちょっと時間がかかり過ぎなのでわたしが返してあげたいのだがこの場合、自己主張ジジイのマウンティングになってしまうのだろうか。調べても出てこない。困って眠れない。

“正直の時代”を生きる情熱たちに正々堂々応えるべく、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記