45歳からの外資転職ノート 第13話 プロフェッショナルとしての自分

第13話 プロフェッショナルとしての自分

外資系企業に転職してよかったことは、仕事に対して「プロフェッショナルとしての自分」を強く実感できたことである。外資系企業の場合、会社と個人の契約、それも年俸契約という考え方がベースにあり、色々な場面でプロを意識させられることが多い。

会社との間には雇用契約以外にも多くの契約があり、署名を求められることが多い。署名するということは、個人として責任を持つということだ。たとえばコンプライアンス(倫理基準や法令順守)の研修を受けても最後には署名が必要だ。成果に対する考え方も目標設定から年末の評価まで上司との1対1の面談で議論し、合意の署名をするという具合だ。

一方、私の経験した限り、日本企業ではそのあたりがあいまいだ。だから結果がよい時も悪い時も、その責任の所在は個人ではなく、ぼやっとしてしまう。アカウンタビリティという言葉があり、日本語では結果責任などと言われるが、プロフェッショナルはこのアカウンタビリティを強く求められる。

一般的に、契約を取り交わすということは当事者双方に権利と責任がある。会社と個人の関係も同じだ。将来大きな困難があった時に「会社は社員のために動いているのではなく、組織の発展、利益の追求のために動いている」ことを痛感させられるかもしれない。そこで踏ん張れるかどうかは、会社と自分はフィフティフィフティで契約しているという考え方、つまり「プロフェッショナルとしての自分」が築けているかどうかだと思う。

プロフェッショナルとしての自分は「自責」の考え方を持つ。「自責」とはどんなことでも人のせい「他責」にしないということだ。これによって「自分の人生は自分で決める」という考え方も受け入れられる。60歳になった今、会社員を卒業しようとする中、人生の転換を前向きに迎えられるのは、この身上があるからだと思っている。


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