セカンドハーフ通信 第123話 本場のタイ料理

本場のタイ料理

軽井沢のとなり、小諸に大好きなタイ料理の店がある。正確にいうと、タイの食料品屋さんがあって、その一部が食堂になっている。この辺りにはタイから日本にやってきた女性が多く住んでおり、タイ料理の店も多い。

その店の料理を私は本場のタイ料理だと考えている。いままで東京で食べてきたタイ料理とは明らかに違うものなのだ。

どこが違うかというと、例えば市販のカレールーで作ったカレーとインド料理店のカレーの違いのようなものだ。ここの料理にはたくさんのフレッシュな香辛料が使われている。例えばブラックペッパーは生のまま大量に入っているし、よくわからない木の葉や木片などが混ざっている。

日本の料理だと、甘い、辛い、酸っぱい、しょっぱい、苦い、がわかりやすいが、この店の料理は渾然一体とした複雑な味だ。例えば、甘くて辛く、酸っぱくて苦い。その上、スパイスがジーンとあとから効いてくる。でも全体としてすごくバランスが取れている。「あぁ、これが本物のタイ料理なんだろうな」と思わず納得してしまう。

この店の特徴は、50種類以上あるメニューがほとんど1皿1500円であるということと、ソフトドリンクがカウンターに無造作に置いてあって無料というところだ。アルコールはビールだけなのだが「なにかほかにないの?」と聞くと、ウイスキーのハイボールを出してくれた。不思議な値づけなのだが、ここらへんもなんか本場のタイぽくて妙に納得してしまう。

お休みも不定期で、時々、料理担当のお母さんがタイに帰ってしまってお休みになる。いつも本物のタイ料理を食べさせてもらえるのはリアルなタイとつながっているからなのだと思っている。


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