セカンドハーフ通信 第79話 老人のチャレンジ

老人のチャレンジ

義理の母親が初期の認知症と診断され、家人はその対応でばたばたしている。認知症はとてもわかりにくい病気だ。少しずつ進行するし、症状にも波がある。

家族としてはやらなくてはいけないことがたくさんある。

まずは自動車の運転を辞めさせ、免許を返納させることだ。注意力が落ちていく中で事故の確率が数段アップするからだ。

次にお金関係を整理し、必要なものとそうでないものの管理者を分けること。また、支払いを自動引き落としにするなど手続きを簡略化することなどだ。お金にまつわるトラブルに巻き込まれないようにしなくていけない。

更には家事を軽減すること。調理器は電気に変えたり、宅配弁当を手配したりすること。事故などのトラブルを防止するとともに、本人のストレスも軽減する必要がある。

そのなかで、実は一番厄介なことは本人たちの心の整理である。

義理の母親は、自分が認知症であることは理解している。しかし、自分はまだなんでもやれると思っている。家事も運転も若い頃から続けてきた様々な活動もだ。

介護認定を受けるとか、デイサービスを受けるとかいうことになると、かなりハードルは高くなる。「私そんなところは絶対いかない。」の一点張りだ。

一方、父親の方もこの状況を理解してどう自分が動けばいいかわからない。「お母さんがこんなことを言っている。さっき話したばかりなのに忘れている。」「これじゃ、お父さんが参っちゃうよ。」などと文句を言う。

「病気なんだからしょうがないよね。」といっても、また同じことで怒ったりする。こうなってくると老老介護というのはよっぽどでないとうまくいかない。

老人になるといろいろなことが衰えてくる。それはやむをえないことだ。しかし、一番のチャレンジは、現実を受け入れて、それらの変化にどう対応していくか?ということなのだ。


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