45歳からの外資転職ノート 第4話 外資系企業の2つのタイプ

第4話 外資系企業の2つのタイプ

私が日本企業を辞めて外資系企業に転職したとき、前職の同僚から「血迷うなよ」と言われた。彼としてはありえない話だったのだろう。また、つきあったヘッドハンターの中にも、外資系企業の世界についてとても厳しいことをいう人もいた。ただ、外資系企業に勤めるようになってわかったのは、外資系企業にもいろいろあるということだ。私は外資系企業を考えるにあたって、2種類のタイプに分けられると思っている。

1つ目は、一般によくいわれているもので、厳しく、ドライで、都会的な会社だ。例えばアメリカ系のITカンパニーやコンサルティングカンパニーはこのグループに属すると思われる。彼らは、自己主張が強く、内部でがりがり競争しながら働き、英語で議論し、高給取りで、都心のオフィスにいて、欧米人とまみえて働いているというのがよくあるパターンだ。このような会社にはちょっと気取ったMBAホールダーがいたりする。

もう1つのグループは、外資系というものの、意外に日本的な性格をもった会社だ。例えば製造業や医療、物流、資源系の会社でローカルビジネスに深く根ざしているところだ。扱う製品分野がニッチで専門性が高い場合が多い。私の入社した会社もこのグループに属する。

後者の実態は日本企業的な性格と外資系企業の性格のミックスだ。10年、20年と意外に長く勤めている人も多いし、皆が英語を話すかと思うと実態はほんの一部の人間しか話さない。オフィスも都心の近代的なビルというわけではなく、普通の日本企業と同じような場所にある。

そうはいっても、後者でも外資的ならではな部分もある。直属の上司に裁量権、人事権が集中しているため、上司との人間関係がうまくいかないとやっていけない。社員は会社に雇われるのではなく、上司に雇われるのだ。また日本の多くの会社ほど社内の人間関係もウエットではない。会社主催の懇親会、会社行事はあまり多くない。仕事で結果を出すことが会社に対する最大の貢献であるという考えが徹底している。

また、外資系企業において、新人がオン・ザ・ジョブ・トレーニングでゼロから仕事を覚えていくという風土はない。だから新卒採用はあまりなく、中途採用が主流だ。会社はプロの集団であり、専門家を雇うという考え方だからだ。社員教育に関して言えば日本企業の方が断然手厚い仕組みになっている。

外資系企業といえども、そのカルチャーの違いは大きい。だから会社を選ぶにしても、自分の性格と会社のカルチャーのマッチングを考えて選択しないとミスマッチが起き、長く勤めることができない。まして日本企業から外資系企業への転職をする場合は、自分の適応能力をしっかり見極めておく必要があると思う。


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