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鳥濱トメさんの命日に想う

戦艦大和の最期に触れた事を機に太平洋戦争に興味を持ち始めた私に、伯父が1本のビデオをくれました。
内容は鳥濱トメさんと知覧から飛び立った特攻隊員達を取り上げた番組

特攻、神風特別攻撃隊、ワードと内容は何となく把握はしていましたがトメさんの話を通じて触れた特攻隊員達の様子は当時の私にとって戦艦大和の最期と同じくらい衝撃を受けたのです。

「皆、良か衆やった。皆極楽に行く人だからとっても優しいのね」
番組内で晩年のトメさんのインタビュー映像が流れる、全編を流しているわけではないが冒頭のこの言葉の通り、トメさんが語る隊員の皆様は本当に優しい人たちばかり
どうしてこんなに素晴らしい人達が死ぬために出撃せねばならないのか、戦争の無情さが突き刺さる話ばかり

国のために戦って死ぬことが美学だった時代とは言え、隊員の皆様が口々に言っていた「日本を勝たせなければいけない、その為に自分が行かねばならない」
今思うに、我々現代日本人以上に"戦争に負ける事の意味"を理解していたからではないかと思います。
米英軍が本格的に上陸すれば、国民を巻き込んだ一億総特攻を実行される。そうなれば故郷も大切な人も日本と言う国丸ごと死んでしまう。それを食い止める為に皆様急ぐように行ってしまった。

そんな極限の状況で母の様なトメさんがいる富屋食堂での時間は短くも自分らしく、少しでもリラックスした時間だった事でしょう。

悲しい事に戦後は「お国の為に若い命を散らす生き神様」だった特攻隊は戦争犯罪人扱い、生き残った人達にも良い視線を送りません
飛行機も焼かれてしまいすべてが消されようとする中、トメさんが飛行場の近くに建てた木の棒「今日からここがあの人達のお墓だよ」
今では知覧特攻平和会館、観音堂になり多くの人々が訪れて、歴史を知ることができますが、トメさんの様な方がいてくれて、活動してきたからこそである事は忘れてはいけません。

私自身も大学生時代、一人旅で知覧へ行かせてもらい、富屋旅館へ宿泊
北海道からあまり出た事がない私にとって富屋旅館や知覧は「となりのトトロ」でしか見たことがない日本の原風景で感動した事を今でも記憶しています。
隣には映画「俺は君のためにこそ死ににいく」で使用された当時の富屋食堂を再現した建物が記念館として残されており、展示されている遺品を前に早くも号泣
翌日は女将さんからトメさんと特攻隊員達のお話を拝聴
印象深いのは使用済み割り箸をテープで束ねた杖。これはトメさんが「国を動かす血液である税金が払われず滞ってはいけない」とトメさん自ら節約し、悪い足で歩き回って納税を促していたと。生き残った者として、我が子の様な特攻隊員達が命懸けで守った国を想う気持ちが詰まったしっかりした杖でした。
現在納税者として、全て納得していないし、支払うものが多くつらいですが、だからと言って払いたくないと思わないのはトメさんの想いが詰まった杖に触れたからかもしれません。

トメさんのことはこれまでmixiやアメブロなどで記事を作っていましたがいずれも途中のまま
でも、ありがたい事にSNSを通じてトメさんの次女礼子さんの息子さんである赤羽潤さんと交流させてもらっています。
まだ潤さんの投稿をシェアする事くらいしかできていませんが、話を聞いて知る者として
戦艦大和の最期と同じく後世に伝える一助、また発信者の1人になる為の模索が続きます。

4月22日鳥濱トメさんの命日
あの日富屋旅館から特攻平和会館へ歩いた風景を思い出し
またトメさんと隊員の皆様に会いにいく時に報告できる様な活動をすると心に誓って。

2024年4月22日執筆

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