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#11 ネットフリックスの加入者激減、音楽ストリーミングへの影響は?

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今回のポッドキャストでは、Netflixの世界加入者数が前四半期に比べて減少したニュースについてと、Spotifyのような音楽ストリーミングサービスへの影響について解説していきたいと思います!それでは、Let’s get started!


Netflixの加入者数が激減

Netflixは第1四半期に20万人の加入者を失ったと発表しました。

加入者数の減少は、約10年ぶりで、次の第二四半期では最大200万人を失う可能性もあると予測しています。

その結果、4月20日、Netflixの株価は36%以上下落して、Spotifyもその影響で株価は10%下落しました。

Netflixの株主宛の書簡では、収益の伸びがかなり鈍化していることと、解約率が上がったことを伝えています。     

コロナの影響でステイホームの風潮が、こうした動画サブスクや音楽ストリーミングのの成長を大幅に増やしましたが、コロナだけでなくウクライナ情勢や物価高騰などに対する不安から、節約志向がさらにましたことも大きな原因の一つです。実際、Netflixはロシアでのサービスを停止したことで、約70万人もの加入者を失いました。

では、こうした背景の中、音楽業界にはどのような影響があるのでしょうか?


音楽業界への影響とは?

米国の大手音楽会社は、2020年のレコード音楽事業の年間成長率について、非常に良い結果を予測をしていたのに、2ケタ成長という予測は、大きく外れました。

大手音楽会社は、何百万人ものリスナーが世界情勢に備え、節約志向がさらに高まっていると考えています。それが真っ先に、音楽ストリーミングの解約につながると大変な状況と予測していました。

しかし現段階では、大手音楽会社は1、2四半期は低迷したものの、予測したほどの破滅的な事態は、まだ起こっていません。

RIAAのデータによれば、米国では2020年に音楽産業の収益が9.2%増加し、昨年2021年には23%増加した。

昨年4月、Goldman SachsのMusic In The Airレポートでは、2021年末までに音楽ストリーミングサービスの有料会員数が世界で5億2,700万人になると予測しました。結果、その予測はほぼ正解でした。

しかし、Goldman Sachsは、2023年末までにさらに1億7000万人の新規加入者が増え、2030年までには、音楽配信の加入者は、2倍以上の10億人を超える、と予測していたんですね。

ところが今、そんな楽観的な予測とはかけ離れた現状が待っていました。

4月19日、Netflixは、2022年第1四半期の最新の全世界加入者数が、前四半期比で20万人の加入者減と発表しました。

つまり、1月から3月までの3ヶ月間で、ネットフリックスの解約率が、加入者数を上回ったのです。

Netflixは、株主宛の驚くほど率直な書簡の中で、これまで自社の成長がどの程度鈍化するかを過小評価していたことを認めている。

Goldman Sachsのレポート"Music In The Air" 2021

この決算発表と同時に発表した株主宛ての書簡の中で、Netflixは、同社のビジネスの足を引っ張っているとする3つの原因を明確にしました。

その3つの原因は、

・Disney+、Amazon Prime、Huluなどとの競争激化

・同じアカウントの使い回し

・経済成長の鈍化、インフレの進行、ロシアのウクライナ侵攻などの地政学的事象、COVIDによる多少のマクロ要因

3つの原因の中で2つは、音楽業界にも確実に影響する事なので、音楽関係者の方は、要チェックですよー!


1. 競争激化

現在、動画サブスクの市場競争が激化していて、サブスクのユーザーを繋ぎ止めておくことが、とても難しいのが現状です。

シンプルに、動画サブスクの新規加入者数を増やすためには、新作ドラマ・映画、そしてヒット作の配信が必要不可欠になります。しかし、現状では、多くのユーザーは新作公開時に加入し、数ヶ月後には解約してしまうのです。

例えば、Disney+では、2020年7月にbroadway musical“ハミルトン”を配信し、加入者を一気に増やしました。

また、アップルT V+も、俳優トムハンクスが脚本と主演を勤めた映画“グレイハウンド”を配信し、加入者数を大幅に増やしました。

しかし、これら新作配信開始後の数日間に加入した人のほぼ半数は、その後半年以内に解約しました。つまり、大規模作品のリリースや大型イベントの開催に合わせて加入する人は、平均的なユーザーよりも早くサービスを離れる傾向にあります。ほとんどのサービスは月額サブスクなので、特定の番組や映画を一気見した後に、キャンセルすることができます。例えば、ネットフリックスで愛の不時着を一気見した後、解約するといったことができちゃうんですよね。こうした仕組みが、今後課題になってくるかもしれませんね。

2. 同じアカウントの使い回し

Netflixの株主宛の書簡にも説明されていたのですが、Netflixのユーザー1人が有料アカウント代を支払い、その友人や家族がアカウントを共有していることが、課題となっています。

家族であれば、ファミリープランとしてサブスクではよくあるケースなのですが、友達とアカウントを共有されてしまうと、会員数を増やすのが難しいですよね。

Netflixも、これのことに対して「多くの市場で会員数を増やすのが難しく、この問題を取り締まることが必要」と話しています。今のところ、Netflixの解決策で、一部の国でで「paying to share」機能を開始し、料金にほんの少し追加料金を支払うだけで、家族や友人とアカウントを共有することができます。

このアカウント共有の問題は、音楽業界にも通じるものがありますよね。

でも、SpotifyやApple Musicのような企業は、有料のマルチユーザー向けサブスクリプションプラン、特にファミリープランでは、間違いなくNetflixよりも良い戦略で進めていると思います。

しかし、音楽ストリーミングサービスや大手レコード会社にとって、より大きな問題であるのが、Netflixの3つ目の問題だ。

3. ウクライナ情勢やコロナ、円安などの“マクロ要因”

Netflixはこの3つ目の問題を、「経済成長の鈍化、インフレ、ウクライナ情勢、コロナの影響」などの「マクロ要因」の集合体と呼んでいます。

Netflixは、こうした「マクロ要因」より、自分たちでコントロールできる課題にもっと時間を割きたいと考えているようで、

Netflixは、今回の業績不振について、「経済成長の鈍化」と「インフレの進行」だけが、本当に重要な課題である、と説明しています。

米国の消費者物価指数によると、3月のインフレ率は8.5%と非常に高い水準に達していて、40年ぶりの最も高いアメリカのインフレ率でした。40年ぶりですよ!やばくないですか!

なので、消費者がコロナ初期以上に節約志向になっているのは間違いないですし、サブスクの解約は、なくても生きていけるような商品やサービスから離れる選択肢に入っているんだと思います。

また、この間ニュースにもなっていましたが、イギリスでは今年第1四半期に約150万件の動画サブスクの解約があったと発表されました。

150万件の動画サブスクの解約は、前四半期の約100万から、さらに増加したものです。

しかし、重要なポイントは、この150万件の解約数のうち約3分の1、つまり50万件以上が、お金の節約を動機としています。

このことは、Netflixだけでなく、音楽ストリーミングの今後の成長にも大きな影響を及ぼす可能性が高いです。どの時点で、消費者はSpotifyやApple Musicから一斉に解約し始めるのでしょうか?


■動画サブスクより音楽サブスクの方が、解約率は低い?


消費者は、音楽サブスクよりも、動画サブスクから解約する傾向にある。

大きな理由として、動画サブスクの世界では、それぞれのプラットフォームでコンテンツの独占性がはるかに高いからです。

ファンは満足のいくコンテンツを得るために、複数のサービスに料金を支払っていたため、節約するために、最も必要ないと思うプラットフォームから解約し始めている可能性があります。

音楽サブスクでは、動画サブスクと違って、コンテンツの違いが少ないので独占性はほとんどないです。

つまり、消費者は、Netflixの契約よりもSpotifyの契約の方が、自分たちの生活にとってずっと重要だと考えるかもしれない。Spotifyは、録音された今までの世界中の音楽のほとんど全てにアクセスできると考えると、動画サブスクとは大きな違いがありますよね。

また、Spotifyのようなサービスは、長い間、主要な音楽権利者から、月額9.99ドルという価格設定から値上げをしないようにと口止めされてきたという議論もある。

一方、Netflixは、何度も値上げをしたことで有名で、米国でのNetflixの標準的な契約は、現在、月額15.99ドルである。

サブスクからの解約という観点では、消費者が1年前よりもはるかに価格に敏感になっていることは明らかで、主要なストリーミングサービスが価格を低く抑えていることは、音楽にとって有利に働く可能性があります。先ほども話したように、今猛烈なインフレ率なため、今年の年末までに月額9.99ドルという価値は1月よりも大幅に下がることになるので、今後どんな変化が訪れるか要注意です。

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