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映画『ナポレオン』を観る

★ストーリー
ナポレオンの半生を描く。『首』が北野武の本能寺なら、こちらはリドリースコットの〝ナポレオン〟。

★女優
ヴァネッサカービー35歳。
『ミッションインポッシブル』で突如現れた謎の女優だ。美しいのか、セクシーなのか、その全てが〝謎〟でかき消されてしまう不思議な雰囲気。妖艶というのが、ドンピシャとは思えないが、1番近い表現ではないか。
この役ジョセフィーヌも、そんなカービーの適役といえる。とても官能的な女だけど、その本性はSなのかMなのかも分からない。その時々によって、顔を変え姿を変える。まるで笑い飯の漫才のように変幻自在に本性が入れ替わる。やっぱり、謎多き女優だ。
ナポレオンが惚れた、というより虜(捕虜)にされてしまった、その魅力は、やはり美しさやセクシーさではなく、その底なし沼のように、どこまでも人の心を深みに引き摺り込む妖艶さだろう。

★長澤まさみ
長澤まさみが一つ上。
カービーは杏と似た感じがある。絶対的な個性というか、身体能力的な部分では、他を寄せつけないものがある。
とはいっても、長澤まさみの30歳は、映画『散歩する侵略者』の年だが、まだ、ミッションのホワイトウィドゥのカービーほどの謎をまとえなかったかもしれない。ただ、それは身体能力的な部分であって、今ならジョセフィーヌを演技で、妖艶さを滲ませながら、もう少しキュートさも加えた上で、ナポレオンを沼らせていただろう。このキュートさが、いかなる役にも生かされるのが、長澤まさみの絶対的身体能力であり、そこをどんな役でも隠さないのが、女優としての育ちの良さだ。

★パンフレット
普通のパンフレットだけど、表紙のホアキンフェニックスのナポレオンは、リアリティがある。カリスマらしさがないところに真実味がある。
読み応えはそこそこあるし、やっぱり外国映画のスケールを知るには、パンフレットは必読やね。

★まとめ
決して戦場で派手なアクションを見せるわけでもなければ、兵隊を鼓舞する粋な台詞を発するわけでもない。そんな英雄らしくないところに、逆にリアリティがある。強いときは強いし、弱いときは弱い、こんなに人間臭い英雄伝も珍しい。
それよりも、馬だ。
とんでもない数の馬が登場する。もちろん実馬での撮影が基本的だが、危ない場面などは機械馬がスタントしているらしい。詳しくはパンフレットに記されていた。

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