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WOWOWで『TAR』を見た

★ストーリー
芸は身を助ける、という天才音楽家の物語。

★女優
ケイトブランシェット54歳。
2013『ブルージャスミン』でアカデミー賞受賞。そのほかにも数多の賞を得ているのだから、上手いに決まってる。
天才指揮者ターの過信なまでの自己愛、才能へ対する愛、冷徹すぎる無機質さ、己を見失うときの狂気…ま、もっとすごい演技を見せているのだけど、語彙のない僕でも書き連ねることができるほど芝居だった。

★長澤まさみ研究
長澤まさみの54歳まで、18年もある。 どんな女優になっているのか楽しみだ。
ケイトブランシェットの36歳は2005年。この年に目立った作品はないが、前年2004『アビエイター』でアカデミー助演女優賞を受賞した。マーティンスコセッシ監督、レオ様主演の超大作だった。
アビエイターを見ていないので比較は出来ないが、ケイトブランシェットは、TARを見ても、役作りの段階から自分にないものを築いていく王道の演技派に見える。そこには役者自身の苦悩が見える。そこはマリオンコティヤールもそうした雰囲気がある。
真逆にあるのはジョディフォスターだ。「涙を流すのは演技じゃない」と言う異質の名女優だが、アカデミーを取った『告発の行方』『羊たちの沈黙』も苦悩を感じなかった。特に『告発の行方』はレイプ被害者という苦しい役なのに、役の苦悩はもちろん演じているが、役者の苦悩は感じなかった。
ここに長澤まさみとの共通点があるように思う。

ケイトブランシェットは、24歳でオーストラリアの舞台での演技が評価されて、映画は25歳デビュー。
ジョディは10歳で映画デビュー、12歳であの『タクシードライバー』に出演した。天才子役であった。

長澤まさみの経歴は、13歳で東宝シンデレラのグランプリに輝き、17歳『ロボコン』で映画主演デビューをした。明らかにジョディフォスターに近いキャリアであり、演技に対して純粋なのではないだろうか。本当の苦労は分からないが、ふたりとも役の苦悩は見えるが、役者の苦悩は見せない。

★まとめ
劇場で観たかった映画。
昨夜は映画『ナポレオン』を観に行く予定だったが、体調もイマイチだったので、部屋でTARを見ることにした。
観て良かった。
内容も良かったし、最後のオチは解説がないと分からなかったけど、単純に芸は身を助け、背に腹はかえられん、という人生訓の映画でもある。
ま、それ以上に僕にとっては、講談師として、とても良いタイミングでで会えた映画だった。劇場公開時では、心に刺さらなかったかも…

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