花火大会は僕の恋のアーカイブ
「このあと、花火大会の一番の目玉の二尺玉があがるよ。」
そういう彼女の笑顔を、この時この場所で隣で見れた僕は花火大会の会場の中で一番の幸せ者だろう。
今でもまだあの瞬間を思い出す。
今年もまた夏がきた。
大人になり、なかなか恋人と花火大会へ行くことがなくなった。
小中学生の時は地元の花火大会に行っては、花火よりも片思いの同級生の女の子の姿を探し、
高校生の時はまだ初々しい付き合いたての彼女と、はじめてデートで花火大会に一緒に行った。
大学生になる頃には、花火大会は気になる女の子をデートに誘うための目玉イベントと化していた。
夏と言えば花火大会。花火大会といえば気になる女の子をデートに誘うため、地域のイベント情報が載っている雑誌を購入し、
どこの場所で、何千、何万発の花火があがるか、混み具合はどうか、周辺におしゃれなご飯を食べれる場所があるかなんて、調べていたものだ。
そんな青春の思い出たっぷりの花火大会。
もうしばらく恋人とは行っていなかった。
仕事の仲間や友人と行ってはお酒を飲んでワイワイする花火大会。
若い浴衣をきたカップルの姿を見ては「青春だね〜。いいな〜。昔は自分にもそんな時期があがったな〜。」と思い、打ち上がる花火を見上げる。
花火大会は僕の恋のアーカイブだ。
まだ女の子に声をかけることができないぐらいのシャイな子供のころから、花火を口実に女の子を口説いていた学生時代まで、僕にとって花火と恋は常にともにあった。
30代になりこれから夏の花火大会でどのようなアーカイブが残っていくのか。
ああ、楽しみだ。
#あの夏に乾杯
東京出身。7年間の沖縄移住を経て三重県津市へ。沖縄移住応援WEBマガジン『おきなわマグネット』元編集長。神社メディア『sanpai. 』運営。Webデザイン、マーケティング、他制作ディレクションなどを生業としています。年間200社ペースで全国の神社を参拝しております。