見出し画像

犯罪論

犯罪とは?
→構成要件に該当する違法かつ有責な行為のこと。

1,構成要件
条文の解釈によって導き出される構成要件要素の集合体。
→刑罰法規のうち、法定刑を除いたもの。
Ex)刑法199条殺人罪
・殺人の実行行為(刃物で刺す、拳銃で撃つ...)
・人の死という結果
・行為と結果の間の因果関係
・故意があること
→刑法38条1項により過失犯の規定がなければ故意のない行為は罰しない。

構成要件に該当しなければ犯罪は成立しないという点で明文の法律によらなければ刑罰を科せられないという罪刑法定主義の要請を実行していると言える。

2,違法性
違法性を検討する時に重要なのが違法性阻却事由
→構成要件に該当し、違法と推定される行為でも例外的に違法性が否定される根拠となる事由。
→刑法35条の正当行為、36条の正当防衛、37条の緊急避難がある。

※正当行為
正当行為はさらに、法令行為、正当業務行為、一般的正当行為に分けられる。

・法令行為(刑法35条前段):直接に成文の法律に基づいて、権利義務として行われる行為。
Ex)司法警察職員(警察官が犯罪捜査を行う際の名称)による逮捕は、刑事訴訟法199条に基づいて行われているため、刑法220条の逮捕罪の構成要件に該当するが違法性は阻却される。

・正当業務行為(刑法35条後段):法令に直接の規定がなくても、社会通念上正当なものと認められる業務上の行為。
→ここで言う「業務」は「社会生活上の地位に基づいて、反復・継続されて行われる事務」
Ex)相撲やボクシングは刑法208条の暴行罪や同法204条の傷害罪の構成要件に該当するが違法性は阻却される。

・一般的正当行為:法益の主体である被害者が、自己の法益を放棄し、その侵害に承諾または同意を与えること。
Ex)ピアッサーでの穴あけ。

※正当防衛
正当防衛(刑法36条1項):違法な攻撃者に対抗して、自己または他人の正当な利益を防衛する行為。
Ex)強盗に刃物を突きつけられて金銭を要求されたため、隙を見て押し倒し、相手に怪我をさせた。

※緊急避難
緊急避難(刑法37条1項):自己または他人に何らかの危険が差し迫ったとき、第三者の法益を侵害して危難から逃れる行為。
Ex)火事から逃れるために隣家の塀を壊して逃げた。

・正当防衛と緊急避難の共通点
①国家機関による救済の可能性がない緊急事態であること。
② ①を前提に、保全すべき法益があること。
・正当防衛と緊急避難の相違点
①緊急避難は法益の均衡が要求される。
②緊急避難は他にとるべき方法がなかったこと(補充の原則)が要求される。
→正当防衛が正vs不正 であるのに対し、緊急避難は正vs正であるため成立要件が厳しくなっている。

3,責任
責任能力の有無を検討する。責任能力がないと判断された場合、犯罪は成立しない。
責任能力がないと判断されるもの
 ・心神喪失者(重度の精神病、精神薄弱者、病的酩酊者)
 ・刑事未成年(14歳未満)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?