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純潔♡鮮血♡バージンロード

「ねえママ!」
「なあにアンナ?」
「ママとパパって、どうやってけっこんしたの?」
「突然どうしたの」
「あのねあのね、タータちゃんとおはなししたときにね、タータちゃんのパパとママのけっこんのおはなしをきいたの! それでね、うちはどうだったのかなーって」
「そうだったのね……いいわ、お話ししてあげる」
「やったー! ママだいすき!」
「ママもよ。さてと、もう随分と昔のことになるわね……」

 青薔薇城の主ことイェレナ=シュヴァーロフは、目の前で繰り広げられる乱痴気騒ぎを無感情に眺めていた。

 廃城だったここに居を構えたときから、幾度となくこの城に訪れた「討伐隊」あるいは「騎士団」。無聊の慰めになるかと最初は手ずから相手をしていたが、最近はそれすらも億劫になり――そして今、彼女の前で「銀剣白馬騎士団」なる連中がお互いの体を嬉しそうに喰らいあっているという訳である。

 ごきり。最後まで残った団長らしき男が最高の笑顔とともに自らの頭を引きちぎったところで、今宵の狂騒は終わりを告げたようだ。

「つまらない」
 イェレナは蒼い魅了の魔眼をそっと伏せ、小さく、本当に小さく、溜息をついた。心を蝕む倦怠。ここ数十年、自分の周りを半透明のベールが覆っているような気がしている。今の彼女にとって、この世の全ては薄い帳の向こうの出来事でしかなかった。このままでは、不死の身体に死んだ心を抱えて生きていかねばならぬのではないか――。彼女は、軽く体を震わせた。

 その帳を引き裂いたのは、音もなく飛来してきた超巨大質量――大鉄球だった。

 大鉄球はイェレナの華奢な肉体を、飛来の勢いのまま壁面に埋め込み押し潰す。ぼぎ、ごき、みりり。肉の、骨のすり潰される音がする。

「ごぶぇっ」
 イェレナは体の3分の2を挽き肉に変えられながらも、大広間の入り口――鉄球の飛来した方向に魔眼を向けた。

 真紅の法衣に身を包んだ、男が一人。

「パパだ!」「さあ? どうかしら」

【続く】

そんな…旦那悪いっすよアタシなんかに…え、「柄にもなく遠慮するな」ですって? エヘヘ、まあ、そうなんですがネェ…んじゃ、お言葉に甘えて遠慮なくっと…ヘヘ