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職業能力開発基本計画とこれまでの社会・経済動向(分かりやすくまとめた)

現在進めているキャリアコンサルタントの勉強内容を覚えるためにテキスト化して理解促進に努めています。完全に個人の備忘録なのですが、キャリアコンサルタントを勉強している人には役立つ内容かもしれません。

今回は「職業能力開発基本計画と社会・経済動向」について、僕なりに理解したものを分かりやすくまとめてみました。
 

1995年

その昔、パソコンは一部のマニアだけが持つ嗜好品でしたが、1995年に発売されたWindows95というOSが出始めたあたりから、一般への普及が進んでいきます。ここからIT革命といわれるものが起こり始めていきました。
 

1997年

日本四大証券会社の一つ「山一証券」が破綻します。これによって日本の金融業界がグラグラとし始めて、いよいよバブル崩壊の影響が深刻化していき、景気はガタガタと崩れ、たくさんの失業者が生まれました。この後、失業率は4~5%と高まっていきます。ここで犠牲になったのが中高年の方たちです。ハローワークは連日、失業者の行列ができ、失業給付金の手続きに来る中高年者であふれていました。

この状態をなんとかしなければなりません。

そこで、「労働移動」が試みられます。これは、職を失った中高年者の方たちに「今までの仕事では受け入れ先はないけれども、次の仕事に就くためのスキルアップをしていただいて、別の業界に行くことも視野に入れた転職活動をしてもらう」ということを進めて、失業率を下げようと国が動き出した時代でもありました。「失業なき労働移動」というキャッチフレーズもあった。
 

2001年

産業構造の変化のもと、リストラに直面した中高年ホワイトカラーの存在を念頭に、個人の主体的な能力開発を推進するシステム整備の一環として、5年間で5万人程度のキャリアカウンセラーの養成を目指すという「総合雇用対策」が打ち出されます。

どういうことか。

これまでの日本は「会社のために」という思いで働く人たちばかりでした。というのも、終身雇用制度が機能しており、一度会社に入ったらそこで真面目に仕事をしていれば、キャリアのこと、人生のことは、会社が悪いようにはしないということが当たり前だったからです。

ところが、バブル崩壊に伴う大量リストラといった変化によって、これまでの常識が変わっていきました。会社や市場が下り坂になっても一緒に落ちていくのではなく、自分で新しい場所に移って活躍していく力を労働者が身につけていくことが一番の保険になるということを広めていこうと国は考えたわけです。こういった主体的なキャリアデザイン思考は、令和になった今では一般的な考えかたではありますが2000年代では珍しく、会社に忠義を尽くし、受身な人・受動的な人が多かったのでした。つまり、このような受身な人・受動的な人たちに対する就職相談をする救済措置として、「キャリアコンサルタント」は生まれたのです。

それによって、労働者の職業生活設計に合った自発的な職業能力開発の促進の法的根拠を整備する職業能力開発促進法が改正されます。同年に策定されたの「第7次職業能力開発基本計画」の中で、キャリアコンサルタントは、労働市場情報等並ぶ労働市場のインフラとしての位置付けが明確化されました。これにより、民間機関によるキャリコン養成・資格制度が整備されていきます。

職業能力開発促進法改正の趣旨を踏まえ、識者・実践者参画によって結成された「キャリアコンサルティング研究会」などにおける調査・議論を経て、もともと欧米にあったキャリアコンサルティングというものの日本版「標準キャリコン」の概念(役割、求められる能力のカバレッジ・水準)を明確化されました。このスペックに適合した「標準キャリアコンサルタント試験」を 職業能力開発局長が指定(キャリア形成助成金の助成対象)という形式により、キャリアコンサルタント養成・資格制度の質保証・普及を図るのでした。

第7次職業能力開発基本計画の内容をまとめると、キャリアコンサルティング技法開発、キャリア・コンサルティング概念が明文化されました。キャリアコンサルタントの役割は、悩み・不安への寄り添い、傾聴といったカウンセリング中心のものでした。
 

2008年

職業能力開発促進法施行令が改正・施行されます。その後のキャリアコンサルティング研究会の議論を経て、「熟練レベル」「指導レベル」とキャリアコンサルティングの概念が整理されます。これらをもとに、 キャリアコンサルティングに関わる初めての国家資格試験として「キャリア・コンサルティング職種技能検定」が整備されました。当初は「2級」だけでしたが、その後、2011年に「1級」が作られます。

第8次職業能力開発基本計画の内容をまとめると、キャリア・ステージ段階に応じたキャリア支援を若年者に対応して本格化していく方針が打ち出されます。それによって、キャリア教育・学校教育への関与、若者支援を行なっていくために、キャリアコンサルタントにはグループ・アプローチや前に踏み出す支援力が求められるようになりました。
 

2011年

第9次職業能力開発基本計画の内容をまとめると、人口減少、それに伴う労働力不足が発生し、リーマンショックによる失業者増加を受けて、雇用のセーフティーネットを作っていかなければなりませんでした。それに伴い、キャリアコンサルタントは、非正規雇用の問題点の顕在化対応するため、多様な働き方の支援やセーフティーネットとしての役割を担っていきます。
 

2016年

勤労青少年福祉法の改正の一環で、職業能力開発促進法に、 職業生活設計(キャリアデザイン)とこれに紐づく職業能力開発に関する労働者・事業主の責務、キャリアコンサルティングの定義が整備されて記載されます。これに伴い、「キャリアコンサルタント」を名称独占の国家資格として位置づける「キャリアコンサルタント登録制度」が整備されました。

第10次職業能力開発基本計画の内容をまとめると、生産性向上と人材育成が社会課題となったこともあり、人材育成・主体的なキャリア形成支援が求められていきます。それに伴い、キャリアコンサルタントは人口減少社会・超々高齢化社会の問題点の顕在化への対応として、労働参入率向上(対個人)、生産性向上の支援(対企業)を行なうために、助言・情報提供力=コンサルテーション能力が求められるようになります。
 

2020年

職業能力開発促進法改正・施行されます。そのうちの一つが、事業主によるキャリアコンサルティングの機会の確保 (法第10条の3関係)。簡単に言うと、事業主は従業員の職業能力の開発や職業能力向上の促進に関わる各段階において、そのサポートとしてキャリアコンサルタントを有効活用する努力義務が課せられるようになりました。

二つ目が、国等による事業主その他の関係者に対する援助(法第15条の2関係)。簡単に言うと、従業員の職業能力の開発や職業能力向上の促進のために外部研修機関を利用すると助成金が出ているのですが、その中に今後はキャリアコンサルタントを使うことも含まれていくということ。ただし、どういう形になるかはまだ不明です。


2021年

第11次職業能力開発基本計画の内容をまとめると、付加価値生産性向上、定年70歳を見渡した職業キャリア・能力開発、日本の新しいワークスタイル(令和ワークモデル)が求められる時代になりました。そこで、パラダイムシフトを伴う本質的な働き方改革が必要になってきています。
 
 

今回はここまで。
次回は、「労働市場ついて」まとめたいと思います。


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