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この経験こそがレガシーとなる ~沖縄市 FIBAバスケワールドカップ2023開催地決定までの道程~

日本中が東京オリンピックパラリンピックで盛り上がる2020年。その3年後に沖縄市で開催されるFIBAバスケワールドカップ2023(以下、FIBAWC2023)のこと、世間の人はどれくらい知っているのでしょうか?

東京五輪後の一大イベントとなるはずのFIBAWC2023、どんな経緯で沖縄市は開催地を勝ち取ったのか情報があまりに少なく、それなら自分で調べるしかない!と人見知りな私は勇気を出して動いてみました。

今回、ご縁があって(無理やり突撃訪問して)開催地である沖縄市のFIBAWC2023ご担当者の方とお話が出来ました。

沖縄市経済文化観光振興課 主幹 スポーツコンベンションシティ推進プロジェクトチーム チームリーダー 宮里大八さん にお話をお伺いしてきました。(役所は肩書長い…)

沖縄市・JBA作成のFIBAWC2023招致資料と、FIBAのWC開催レギュレーション資料を手に持つ宮里大八さん。笑顔のステキな気さくな方でした。宮里さんは以前は琉球大学に籍があり、本件のようなプロジェクトの為に本年度より沖縄市に着任されたとの事です。

PLAY LOUDER THAN EVER」 ~かつてない熱狂を~ と訳すればいいでしょうか。いい招致キャッチコピーですね。

プレゼン資料は当然全編英語。Bリーグの事や沖縄市のアクセス、観光、アリーナ設備など19セクションに渡り詳細な説明があり、JBAの本気度が感じられました。

沖縄市の FIBAWC2023 招致活動は2016年から

FIBAWC2023 招致までの動き

2016年12月 JBAより沖縄市へ FIBAWC2023 招致への打診

2017年1月  沖縄市が正式にFIBAWC2023 開催地へ立候補

2017年6月  FIBAに対して開催地プレゼンテーション、ワークショップ実施

2017年11月 FIBAWC2023 開催地最終決定会議

2017年12月9日 FIBAWC2023 沖縄市開催決定

沖縄市とJBAがFIBAWC2023招致活動を開始したのは、開催地決定のたった1年前からだったのです

通常このような大規模な国際大会の招致活動といえば、何年も前から動く一大プロジェクトと考えていたので非常に意外でした。

この超特急とも言える招致活動には、2015年のBリーグ開幕、そして沖縄市一万人アリーナ構想が大きく関係していました

2015年のBリーグ開幕に伴う日本バスケ界の一大改革。JBAは起爆剤としてFIBAワールドカップの招致を水面下で構想。

2016年当時、沖縄市では一万人アリーナ計画が具体化していました。

日本国内各所にアリーナ建設の構想だけはあったが、具体的なアリーナ建設の動きがあったのは沖縄市だけでした。そこで2016年、Bリーグ・JBAから沖縄市へFIBAW2023招致活動の打診があり、ここから超特急の招致活動がスタートします。

お話をお伺いして個人的に感じたのは、Bリーグ設立当時のバスケ関係者の決断スピードの速さ。プレゼン資料を見てもたった1年の突貫工事とは思えないクオリティです。「BREAK THE BORDER」はただのスローガンじゃないと改めて感じました。

さらにこれまでの国際大会と違う点として、「ハコありきのコンテンツ誘致である」ことも強く感じました。

2002日韓ワールドカップ、2020東京五輪はその大会のために作られる大規模な施設、これを大会後にどう維持運営するかが課題となってきました。

しかし、沖縄市一万人アリーナ構想があったからこそFIBAWC2023の沖縄市招致があり、FIBAWC2023をスタートとして今後も同クラスの国際大会を開催するスキームを持ち続ける。

「取り合えず大きなハコを作る」のではなく「使途・目的を明確にしたハコを作り、それに見合ったイベントを開催し続ける」のは、理想的ではあるがなかなか難しく、それが実現出来れば沖縄が日本に誇るものが生まれるのではと感じました

FIBAWC2023にむけた今後の動き

2020年3月16日 受入体制構築のシンポジウム
(コザミュージックタウン)

2020年11月 1000日前イベント 本大会開催までのカウントダウン開始

今年の3月に沖縄市にJBA三屋会長を招いてシンポジウムを予定、2019FIBAWC中国大会の話や今後の日本バスケ界の方向性についてお話をしてもらうとの事でした。

JBAも東京五輪終了後に正式なFIBAWC2023組織委員会を作る予定です。

2020年は受け入れ体制の組織固めの年。市民レベル、各企業を巻き込んだ草の根運動も進めていきたい。そして2020年11月に1000日前イベントを開催して本大会に向けてカウントダウンを開始していくとの事。

また、JBAとも「いきなり本大会ではなくプレイベントを経験して本大会に向けた課題を見つけるべき」と話しをしており、アジアカップや予選等のプレマッチ的なイベントを沖縄市で実施するようJBAと調整しているとの事です。

FIBAWC2023における沖縄市の役割

今後、本大会実施に向けてFIBAと沖縄県、沖縄市がそれぞれ立ち上げる4つの組織委員会が本大会運営を担っていくことになります。

JMC(Joint Management Committee
 FIBAとしてマーケティング、チケッティング計画を担当

LOC(
Local Organising Committee
 FIBAの地域組織委員会 大会運営全般を計画

沖縄県 他市町村含む広域の受け入れ態勢構築

沖縄市 開催都市としての開催会場イベントや観客の受入れ態勢、交通や警備対応

FIBAのJMC・LOCが大きな方向性を決めて、それに基づき沖縄県、沖縄市がそれぞれ広域、地元の受け入れ態勢・実運営を担っていくことになります。それぞれ役割分担をしつつ連携しながら本大会を運営していきます。大勢の観客を受け入れる最前線に立つ沖縄市の役割は重要です。ボランティア体制、交通、警備などの課題を調整する、本大会までの3年間はあっという間です。

沖縄市にとってのFIBAWC2023の「成功」とは

最後に宮里さんにお伺いしました。

沖縄市にとってのFIBAWC2023の「成功」とは何なのでしょうか?

「一番は沖縄市でそれを成功した、受け入れを出来たというのが一番の成功じゃないかな。つまり大きな国際大会を沖縄県で、しかも沖縄市で出来たというのが、市民一人ひとり、企業、行政それぞれの人がそれぞれのポジションで国際大会を実施したというのは誇りになりますし自信にもつながると思う。」

「それが他の国際イベント、スポーツに限らず色々なものを外から受け入れることが出来るという、レガシーみたいなものをどんどんつなげていく。それが一番の成功じゃないかな。」

「子どもたちにもどんどん参加してもらって、それが次の世代につなげていければいいんじゃないかな。今回のFIBAWC2023だってこんなプレゼン資料を作成した経験も無かったわけで、準備段階から一生懸命やって開催が決まって、3年かけて本大会へ準備をしていく。そんなノウハウや経験も財産になる。それを使って次に展開できる。沖縄市としても色々な事が出来るんじゃないかな

レガシー(遺産)、って何なんだろう。。という問いに答えが見えたような気がしました。

明日からも頑張ります。

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