故郷が消える日

今、私の故郷は消えようとしている。

どこかの国が攻めてきたわけではないし、巨大津波が来たわけでもない。なのに、私の故郷は消えようとしている。

では、なぜ消えようとしているのか?

な、なんと住んでいる住民自らが「なんかようわからんけど、賛成」とつぶやきながら消そうとしているのだ。

ここまで書けば、どこの町の事か皆さんもおわかりだろう。

私の故郷。それは大阪市。

この近畿最大の都市は、住民自らの手によって、まもなく地球上から消える運命にある。広く報道されている通り、大阪市を廃止して4つの特別区に分割することに賛成か反対かを問う住民投票が11月1日に行われることになる。ちなみに、私は今、東京23区某所に在住しているので投票権はない。

では、ここで私も住人に戻ったつもりで、賛成か反対かを決めてみたいと思う。インターネット上には様々な意見や数字が散乱していて、どれが信用できるのかわからない(^^;)。なので、ここはあえて、大阪維新の会が出した資料だけを見て賛成するか反対するかを決めてみたいと思う。まずは大阪市を廃止して、4つの特別区に分割するとのこと。その区割りはこちら↓。

画像1

まず、みて感じる事は区割りが意味不明である。住吉や住ノ江が中央区になる時点でもう違和感しか感じない。東京23区で言うと、千代田区が南に超拡大して、品川や大田区の辺りまでがこれから千代田区になります、と言っているのようなもんである。また隣の天王寺区も、そもそも天王寺の由来は、丁度、上の画像の緑の☆マーク付近にある四天王寺(飛鳥時代に聖徳太子が建てたとされる寺)に由来して天王寺と名付けられた区であり、そこからだいぶ離れた東住吉や平野が天王寺になるっていうは個人的には意味がわからない。これも東京で言うと、浅草寺の周りを浅草と言うはずだが、これを南東に伸ばして、マンションだらけの江東区や江戸川区を浅草と呼んでるようなもんである。もう、観光客を迷わす気満々のネーミングである。

なので、この区割りについては「わけわからん」という評価になった。

で、次にたとえ区割りが変でも、大阪全体にプラスになればまあいいと思う。で、大阪市を廃止することにより得られるメリットは、維新によると以下の3点。言葉の表現は、維新の会のホームページで使われてる言語そのままである。

①大阪府市のサービス最適化【二重行政の解消編】

②大阪の成長、安全・安心【広域機能の一元化編】

③住民サービスの充実・地域の発展【身近な基礎自治の充実編】

で、①と②を一通り頑張って読んでみた。この二つは似たような事が書かれており、二重行政を解消し、意思決定を早くすることで財政効果があるとのことだった。まず二重行政を解消した場合は370億円お得、意思決定が速くなれば10年間で約1兆円の財政効果があると述べられていた。で、よく中身を見ると二重行政を辞めて浮く370億円のうち、218億円は地下鉄民営化によるものなので、そもそも二重行政が関係ない。次にでかいのが府立病院、市立病院の統合(いわゆる病院の一部廃止)で44億円だが、今のコロナ禍&高齢化社会でこんなことをやっていいのか?何考えてんだよ。

次に、10年間で1兆円の財政効果の件は、これは嘉悦学園というところで試算されたものらしいが、維新のホームページ内にこれが書かれているところは1ページしかない。これが一番大事なところだと思うのだが、人口が適正な規模に近づくから財政効果があがるだとか、鉄道が延長されるから伸びるだとかごちゃごちゃ書かれているが、今一つ、内容に具体性が欠けており、本当にこれだけの財政効果があるかどうか、私は判断がつかなかった。尚、この報告書はご存じ、都構想批判の急先鋒:藤井 聡さんに酷評されていた。一応、一言言っとくと私は藤井 聡さんのファンではない。好きか嫌いかの話しをするなら、嫌いである。

で、③の住民サービスの部分は、大阪市を4つの特別区に分けることにより、区長が選挙で選ばれて、地域にあった対応をすると書かれていた。それはいいが、例えば、中央区の区長は自民党の人。天王寺区は立憲民主党の人となった時に、街全体でまとまるんでしょうか?インフラや人々は4つの区に分けてもそのまま残るはずだから、相当、他の区と連携して上手く運営しないと、街全体が機能しない恐れがある。

この資料も、3回ぐらい嫌々読んだが、いままで一つの街だったのをわざわざ4つに分ける必要性が、自分には感じられなかった。

で、この特別区に移行する費用は維新のホームページによると、241億円かかるらしい。その後のランニングコストは30億円/年。これ?維新が全額払うんですよね?まさか税金じゃないっすよね??

そんなわけで、大阪都構想なるものを見た感想としては「こんなクソプレゼン読むのに使った時間を返してほしい( ノД`)。」となった。もし、私が市民なら粛々と投票場に行きでっかく「反対」と書いて速攻家に帰るだろう。

そんなわけで、シュミレーションした結果、こんなもん反対するしかねぇという話を、私の実家や古い友人してみた。

そしたら、みんなからめっちゃ怒られた。

なんと、私以外は全員都構想に賛成だった。

「お前はずっと東京にいたからわかってへん」、「大阪市の役人なんか汚いやつしかいない」、「今までと同じなら大阪が潰れる」、「市長も府知事も維新になってから、街の色んな所で開発が進んで綺麗になった」等々、まあみんな、びっくりするぐらい維新を推していた(;°3°)。あと、異常なまでに、大阪市役所の役人は人気がなかった(´;ω;`)カワイソスギ。

実際、世間的には賛成が多数派であり、ネットなんかで散見される肯定派の意見も、私の家族・友人と同じだったと思う。

その時、私は悟った。「大阪は詰んだ」と。

確かに、維新は在阪メディアをほぼ押さえていると言っても過言ではない。大阪の情報番組とかでは、維新は常に擁護&ヨイショされており、いくらイソジンやら雨がっぱ等の謎行動を取っても、「なんかしてくれようとした気持ちが嬉しい」等のエクストリーム擁護を受け、支持率があまり落ちない。これに、あの選挙に強いと言われている公明党までが都構想賛成に転向。一方、反対派の自民党は、コロナ禍の数多くのやらかしで求心力がガタ落ち。他の野党も当然反対しているが、そもそも支持が多いような人たちではない。

こうした状況を考えれば、維新が負けるとかは、普通に考えれば無い話である。

そんなわけで、私の故郷は11月に入ると消える。私はその事を覚悟した。

しかし、私はツイッターでふとこうしたツイートを見かけた。

な、なんと、こんな絶望的な状況でも立ち上がろうとしている人がいる。まだ、まともな事を書いている人がいる( ゚д゚)。

そこから私は反対派のツイートを数多く拝見した。こちらの方の動画も大変おもしろい(^^♪。

私も生まれてから成人するぐらいまで、大阪市某区に住んでいたが、大阪の人々がこんなにまともに見えたのは正直、初めてかもしれない。ていうか、普通の人いたんだ(TДT)カンドー。

また、ツイートを数多く拝見していると、都構想に反対しているのは、女性、特に主婦の割合が多いと感じた。実際に統計を取ると、女性の反対率は高めのようである。流石は、大阪の女性達。損させられる話には、敏感に反応しているようである(;''∀'')。

そうした人々の献身的な努力があってか、当初は賛成派が大きくリードしていたものの、日に日にその差が近づいて、一部の世論調査では反対が逆転することもあった。しかし、全体的にはまだ賛成が少しだけ多数派のようである。

こちらの動画は、反対が多数派になったことを伝える報道↓。

こちらは、この日記を書いている10月27日時点の調査。賛成が41%、反対が39%で賛成が少しリード。

こうした追い上げに対して、一方の維新の会の議員達から説明されるメリットは抽象的なものばかり。そんな状態のくせに、反対派の主張やツッコミ対してはデマだデマだと繰り返しており、見ていて実に痛々しい状態が続いている。ていうか、なんでこの人たち選挙につよいの???

で、さらには10月26日、毎日新聞から市財政局の計算だと、4つの特別区に分割した際、コストは現状よりも218億円多くなるとの報道がでる始末。ちなみに、市財政局とは大阪市役所の一部である。簡単に言うと、雨がっぱ市長と、大阪市の会計部門で間で、全然違う数字が出てきたのである。

これを受けて、イソジン達が謙虚な事に誤報誤報とわめいていた( 一一)。

というか、イソジンが正しいとか、市財政局が正しいとか、そんな話以前に、例えば、とあるコンサルティング会社が儲かるビジネスプランをあなたの会社に持ってきたとしよう。それを契約しようとしたら、その会社の別の人が、契約直前にコストがドカンと上がりますと説明し始めた。こんなコンサル会社と契約する奴がどこにいるんだよ?

しかも、このコンサル契約は途中解約ができない。今回、賛成してしまうと大阪市は二度と元にもどれないのだ。

てか、なんでさこんな危なっかしいものが賛成多数とれるの?

あと、都構想の説明が不十分と感じてるのに、賛成が多数派ってどういうことなん?ほんとわからんww。

てなわけで、政令指定都市で、かつ、近畿最大の都市は、茶髪の弁護士、イソジン、雨がっぱが率いる軍団に、来週にはこの地救上から消える運命を課せられることになる(正確には5年後に解体)。これも、長きに渡って政治をお笑いエンタメ化してきた報いなのかもしれない。もう、人々がまともな判断ができない状態になってしまってるんではないだろうか??

私自身、大阪市で生まれ育ったが、正直に言うと、思い入れは全く無い。子供の頃の思い出なんて辛いものばかり(T_T)。いろいろあって上京に成功した時、私は心の底から嬉しかった。やっと自由になれたと思った。で、実際あれから随分な歳月が流れたが、東京の生活は、今も変わらず楽しくて楽しくて仕方がない♪。

でも、私には合わなかったけれど、あの街を愛している人達が確かにいる。街の将来を本気で危惧している人たちがいる事を今回教えてもらう事ができた。そうした人々には純粋に頑張ってほしいと思う。

イソジンや雨がっぱ。脅されて寝返った公明党に消されるほど、私の故郷はしょぼくないはずだ。

頑張れ!反対派(*'ω'*)ノ!!

P.S

本日(10/28)に古い友人と話した結果、市財務局のコスト増の報道を受け、全員が「反対」に寝返っていた。まだ希望はある。






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