バンクーバーのスカイトレインでの感動
数年前、カナダのバンクーバーで遭遇した出来事である。
ノンフィクション、日本に輸入したい、出来事でした。
バンクーバーのスカイトレインに乗っていた。スカイトレインと言っても、地下も走る。少し混んでいた。イスは全部うまって、立っている人が数人いる程度。JRの電車より小さいので密集度は高く感じる。
そこに赤ちゃんを連れたお母さんが乗ってきた。その赤ちゃんは大声で泣き続けていた。
5分くらいでおとなしくなるものと思いきや、もう15分くらい大声で泣いているので、 みんな うるせえなぁ って顔をし始めた。
電車の中全体がイライラした空気になった。実際僕もイライラしていた。
そんなイライラした空気のなか、一人の男が、その困っているお母さんのところへ来た。
その男は、40代後半か50代くらい、とても汚い格好で、髪もぼさぼさで、電車の中でこぼしながらポテトチップスみたいなものを喰っていた。つかんだポテトチップスの半分以上が床にこぼれていた。
一体どんな喰い方したらあんなにこぼれんのか。
バンクーバーに多くいるホームレスであろう。
以下、そのオッサンを
●汚っさん(おっさん)
と呼ぶ。
汚っさんは、ポテトチップスにボリボリ食いながらおばさんに近づいて
大きい声ではっきり言った
「これ、ポテトチップスについてたおまけなんだ。
中にが入ってるかわからないけどさ。
赤ちゃんが喜ぶかと思って。あげるよ。」
おばさん「まあ!ありがとう!」
その赤ちゃんもなんとなく理解したのだろうか、
なんと20分泣き止まなかった赤ちゃんが、
そのおもちゃに興味を持ちピタッと 泣き止んだのだ。
そして笑顔になった。
赤ちゃんだけでなく乗客も。
僕はなんか涙腺も緩んでしまった。
●汚っさん→御っさん。(読み方は変わらずおっさんと読む)
と呼ぶ。いや、呼ばせてください。
御っさんの声はでかく、はっきりしていたので、誰もがその瞬間を見ていた。
一番感動したのは、赤ちゃんではなく周りの乗客であったと思う。
周りの乗客を見回すと、本当にみんなうれしそうな笑顔で、今にも拍手が出んばかりの空気だった。
本当にみんなうれしそうだった。僕も感動した。
あの時、拍手をしたい衝動に駆られたが、勇気が出ずできなかった。
スカイトレイン:4.10ドル
全員が笑顔になった瞬間:プライスレス
御っさん:ホームレス
もちろん、こんなすばらしいことだけが起こる夢の国ではないけれども、
その出来事は僕の心に深く響いた。
僕は今東京でサラリーマンやっている。
こないだ、通勤の満員電車で座っていたのだけど、3メートルくらい離れたところにお婆さんがいた。声をかけて席を譲ろうか迷ったけど、なんか遠くて満員電車の中で声をだすのもあれだし。。みたいな感じで、見て見ぬ振りをしてしまった。
あの御っさんだったら、きっと堂々と声をかけるに違いない。
満員電車の中で
「そこのお婆さん、この席に座ってください。どうぞどうぞ婆さん。さぁ、みなさん彼女が歩くスペースを少し空けてください」と。
日本の満員電車自体が問題であるという理由も確かにあるけど、そうじゃない部分がきっとある。
そういえば、カナダやアメリカではバス停で待っている時、お店のレジの時とか、他人とちょっとした会話をすることが多い。
日本ではあまりしない、他人とのちょっとした会話。
東京で通勤していると、こういうちょっとした、声をかけたほうがいいかな?
って判断に迷う場面がたくさんある。ほんと一瞬の小さな判断。
ちょっとヒールでつまづいた女性、
あっちにエレベーターがあることを知らずに、
階段を上ろうとするスーツケースの旅行者
この一瞬にこの御っさんがよぎったら、
僕はなるべく勇気を出して頑張るように頑張るようにしている。
僕が少しだけ前より席を譲れるようになったのも、
この御っさんのおかげかもしれない。
皆様、よき出会いを。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
最後に一つ追記
●御っさん→御っ様
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