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体操の技を覚えよう【平行棒02】腕支持系の技

前回のチャプター01では、ノーマルな支持系の技を紹介しました。
今回は「腕支持系」の技の紹介になります。

腕支持とは、肘を曲げて前腕から上腕までをバー上に置き、ふたつのバーの上に両肩が乗った状態をいいます。

Dallas Hale - Parallel Bars - 2024 Winter Cup - Men Day 2

前回紹介した技にも「腕支持受け」という要素がありましたね。
ここではそんな腕支持の状態から始まる技を紹介します。

ほとんどの場合、ノーマルな支持から行う技と同じ動きを腕支持から始めることによって難度が上がります。
それでは見ていきましょう。


➀前振り上がり【A難度】

腕支持から前方向に振り上げて体を持ち上げ、支持系の状態に収める技。
ここから後ろ振り倒立へとつなげて技を収めたり、爆弾宙返りなどの支持系で後ろ方向に振り出す技を仕掛けるための助走としたり、モリスエなどの宙返り技を腕支持で受けた場合の後処理の技として使用したり、技と技のジョイント機能を持ちます。

Men's Parallel Bars Final | Tokyo Replays


②後ろ振り上がり倒立【B難度】

支持系の後ろ振り倒立の発展形で、腕支持からの後ろ振り上がり倒立です。
支持系の動きを腕支持から行うと難度が上がります。

ZONDERLAND Epke (NED) - 2017 Artistic Worlds, Montréal (CAN) - Qualifications Parallel Bars

表記に関して、「前振り上がり」、「後ろ振り上がり倒立」のように腕支持から前後方向にスイングする場合は「上がり」が付きます。
腕支持ではなく支持系から同じ動きをすると、「支持前振り」、「後ろ振り倒立」のように「上がり」の表記は付きません

なので、技名に「前振り上がり~~~」「後ろ振り上がり~~~」とあったら腕支持からの技、「前振り~~~」「後ろ振り~~~」とあったらあ支持系からの技と判断することができます。


③後ろ振り上がり開脚入れ屈腕支持【A難度】

腕支持から後ろ方向に振り出して開脚で脚を後ろから前に持っていき、肘を曲げてバーをキャッチする技。
ヒーリー腕支持前方抱え込み2回宙返り腕支持など、お腹が上を向いた姿勢で腕支持受けをする技の後処理として使われる技。

Men's Parallel Bars Final | Tokyo Replays


④後ろ振り上がり開脚入れ伸腕支持【B難度】

③後ろ振り上がり開脚入れ屈腕支持と同じ動きですが、腕を曲げずに伸ばした状態でバーをキャッチする技。
この動きで腕を曲げて支持受けするとA難度、肘を伸ばして支持受けするとB難度になります。
〔バックカット〕とも呼ばれる技です。

Amazing Performances! ✨ | Men's Parallel Bars #Tokyo2020 qualifications


⑤前振り上がり開脚抜き倒立【B難度】

腕支持の状態から前振り開脚抜き倒立と同じ動きをします。現代ではあまりやる人はいませんが、10年~20年前には広く使われていた技でした。

China's Feng Zhe Wins Artistic Parallel Bars Gold - London 2012 Olympics


⑥前振り上がり開脚抜き懸垂〔ムンテアン〕【C難度】

⑤前振り上がり開脚抜き倒立の動きから、開脚した脚を後ろまで通して懸垂受けをする技。

MUNTEAN Andrei Vasile (ROU) - 2017 Artistic Worlds, Montréal (CAN) - Qualifications Parallel Bars


⑦翻転倒立【B難度】

腕支持から上方向に体を振り上げて倒立位に収める技。
体を1回転させる意味で後方棒上伸身宙返り倒立の腕支持版といえます。
しかし、難度はB難度と高くはありません。

Mikhail Voronin URS - 1972 OG MAG Team Final PB


⑧前振り上がりひねり倒立〔アームツイスト〕【E難度】

C難度のツイスト倒立を腕支持から行うとE難度になります。
支持からの技は「アーム系」という呼び方もするのですが、この技は〔アームツイスト〕と呼ばれています。

Hashimoto wins the men's individual all-around! | Tokyo Replays


⑨前振り上がり片腕支持1回ひねり倒立〔リチャード〕【E難度】

C難度のディアミドフを腕支持から行うとE難度になります。
〔アームディアミ〕とも呼ばれますが、この技には〔リチャード〕と名前がついています。

Men's Parallel Bars Final | Tokyo Replays


⑩前振り上がり片腕支持5/4ひねり単棒横向き倒立経過、1/4ひねり倒立〔ツォラキディス2〕【F難度】

ディアミドフ1/2ひねりを腕支持から行うとF難度になります。
⑨〔リチャード〕【E難度】に半分ひねりを追加すると難度がひとつ上がります。こちらは〔ツォラキディス2〕と名前がついています。

China's Feng Zhe Wins Artistic Parallel Bars Gold - London 2012 Olympics


⑪前振り上がり片腕支持3/4ひねり単棒横向き倒立経過、軸手を換えて片腕支持3/4ひねり支持〔ツォラキディス〕【G難度】

こちらはマクーツを腕支持から行った技になります。
こちらには〔ツォラキディス〕と名前がついています。

Men's Parallel Bars Final | Tokyo Replays

ディアミドフ【C難度】⇒リチャード【E難度】
ディアミドフ1/2ひねり【D難度】⇒ツォラキディス2【F難度】と
ディアミドフ系の動きは技の入りを支持系から腕支持系に変化させることで2段階難度が上がっています。
マクーツも【E難度】⇒ツォラキディス【G難度】と2段階上がっていて、
マクーツ腕支持【C難度】も腕支持入りになるとツォラキディス腕支持【E難度】となり、2段階上がります。


⑫前振り上がり後方抱え込み2回宙返り腕支持〔ドミトリエンコ〕【E難度】

モリスエの動きを腕支持から行うと〔ドミトリエンコ〕というE難度の技になります。
ディアミドフ系とは違い、モリスエの動きは腕支持から行うと1段階だけ難度が上がります。
モリスエ【D難度】⇒ドミトリエンコ【E難度】

Artistic Gymnastics Men's Team Final - Full Replay | Rio 2016 Replays


⑬前振り上がり後方屈身2回宙返り腕支持〔リ・シャオペン〕【F難度】

⑫〔ドミトリエンコ〕を屈身姿勢で行うとひとつ難度が上がってF難度になります。

リ・シャオペン


⑬前振り上がり後方抱え込み宙返り半ひねり腕支持〔ハラダ〕

スアレスの動きを腕支持から行う技。スアレスと同じ動きで腕支持入りですが、難度はD難度で変わりません。
こちらの技は〔ハラダ〕と名前がついています。

Artistic Gymnastics Men's Team Final - Full Replay | Rio 2016 Replays


⑭後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持〔ホンマ〕【D難度】

前方屈身宙返り支持を腕支持から行う技。
多くの選手が導入で使っている技なので見ることも多いと思います。
〔ホンマ〕と呼ばれていることが多いです。

Petro Pakhniuk (UKR) - Parallel Bars - 2019 American Cup


⑮後ろ振り上がり前方宙返り開脚抜き腕支持〔パクニク〕【E難度】

D難度の爆弾宙返りを腕支持から行うとひとつ難度が上がってE難度になります。
⑭〔ホンマ〕の発展形とも解釈できます。
この技には〔パクニク〕と名前がついています。

Men's Parallel Bars Final | Tokyo Replays


⑯後ろ振り上がり前方宙返り開脚抜き懸垂〔パクニク2〕【F難度】

⑮〔パクニク〕は腕支持でしたが、同じ動きで懸垂受けにすると難度が上がってF難度の〔パクニク2〕になります。

PAKHNIUK 2 - 2020 Challenge Cup, Szombathely (HUN) - MAG new PB Element


前回はグループⅠの支持系、今回はグループⅡの腕支持系、
支持系の技と同じ動きを腕支持入りでやることで難度が上がる技もあれば上がらない技もありましたね。
すべての動きで難度が上がるわけではないのがややこしいところで、さらに1段階難度が上がる技と2段階難度が上がる技もあって余計覚えづらいですよね。

この記事を何回も読んでバッチリ覚えましょうね!!!!!

さて、次からはグループⅢに入ります。
まずは次回、長懸垂系の技を紹介します。


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