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LOVE♡BOOKs&MAGAZINE #2 「プリティ♡グッド」と「パラダイス・カフェ」

私の文章の中でも割りと自由度を高めていきたいこのシリーズだが、今回はひうら さとる先生の「プリティ♡グッド」と「パラダイス・カフェ」を紹介したい。

ひうら さとる先生といえば、テレビドラマ化したホタルノヒカリ(講談社『Kiss』2004年No.16 - 2009年No.16)を思い浮かぶ人が多いと思うのだが、「プリティ♡グッド」と「パラダイス・カフェ」も是非紹介したい名作だということと、後に語らせていただく私の願いも含めて今回もはりきっていきたいと思う。

▪服飾マンガの先駆け的存在、「プリティ♡グッド」

「プリティ♡グッド」は「なかよし」で1993年に連載した作品だが、私が思うに後に流行る90年代後半の服飾マンガの先駆け的な作品だと思う。


以前にも「90年代後半の手作り文化」(改めて後日note記載予定)の記事の中に矢沢あい先生の「ご近所物語」や安野モヨコ先生の「ジェリービーンズ」と90年代後半の服飾マンガについて書かせて頂いたが、その少し前に服飾マンガはあったのだ。それがひうらさとる先生の「プリティ♡グッド」である。

ストーリー
抜群のセンスを持つ中学生の町田ひなこはひょんなところから謎の男「リョウ」にその才能を見出され、原宿で「プリティ♡グッド」のデザイナーになることになる。「フリーホールに100万回乗るような、ワクワクするスゴイことがしたいー。」そう思っていたひなこの前にデザイナーへの道が開かれ、ひなこは自分を信じて歩き出す。

全一巻と短い作品だが、ひなこちゃんを取り巻く環境がジェットコースターのように話が流れていくのと、90年代初期の原宿や毎回変わるオシャレなひなこちゃんの衣装がとても印象的だ。

※90年代初めのストリートカジュアルな衣装がかわいい。
※「プリティ♡グッド」一巻/ 講談社 / ひうらさとる

このマンガが他とちょっと違うのはひなこちゃんの場合、服飾専門学校に通ってコツコツと勉強しているというのではなく最終から天才的な才能とセンスがあり、そこから偶然出会った「リョウ」からその才能を見出だされ、原宿でいきなり自分の店をオープンするという話の展開だ。

まさにシンデレラストーリーといった感じで、服飾専門学校に通っている者なら「え 何それ!ズルい!」と思いそうだが、この設定がまたいいのである。

無理矢理な展開かもしれないが、学園生活とは違い、ひなこちゃんの場合は最初からプロの世界からのスタートなのである。
学校の友人やライバル以外、周りはみんな大人だ。

そしてわすが13才ながら、常に大人や世間が求める結果に戸惑いながらも「プロ」としてちゃんと応えているのだ。同い年でライバルの白百合ちゃんもまた然りで、彼女もまたひな子ちゃんと環境は違えど、「プロ」のデザイナーとして常に結果を求められている世界にいる。

勿論、マンガならではの展開だが私は当時子供だったのもあり、それがとてもかっこ良く映った。それは「原宿」という舞台だったり、イケてる大人たちに囲まれたひなこちゃんの環境も含めてだ。

このマンガを読んだ時は私はまだ小学生で服飾デザイナーという職業がなんたるものかも正直よく分からなかったのだが、最初にひなこちゃんのワクワクが止まらない…!といったこの表情をみて私もなにか作りたい!と思った感情は今でも覚えている。このひなこちゃんの胸がカーッとなる感情は大人になった今でもよく分かる感情だ。

※クリエイティブ魂全開で読者もなにか作りたくなってしまうひなこちゃん。
※「プリティ♡グッド」一巻/ 講談社 / ひうらさとる

ひうらさとる先生の作品の中でも初期の作品になるのでなかなか入手が難しいかもしれないが、全編を通して「プリティ♡グッド」の衣装もとてもかわいく、他の服飾マンガとは一線を画した、大変読み応えがある作品なので是非一読をオススメしたい。

▪ドラマ化希望の「パラダイス・カフェ」

続いては、「パラダイスカフェ」を紹介したい。こちらもなかよし(講談社)で1991年4月号より1992年7月号まで連載された作品だ。

ストーリー
主人公・ユキオは家族の都合で全国各地を転々としていたが、1つの町に落ち着くことになった。ユキオは新しく通うことになった学校で、オコジョのミューを連れた男の子・ハルと出会い、オムレツを食べさせて貰う。「天使の羽」のようなその味に、学校への期待が高まったユキオ。しかし食堂が食券機での注文で、料理の味が美味しくないことにユキオは不満を持つ。食堂のことを考えると憂鬱になるユキオのために、父は楽園(パラダイス)みたいな食堂(カフェ)を開いてくれたのだった。卵料理で全校生徒を満足させた父は、校長から食堂をまかされる。パラダイス・カフェでユキオのクッキングを通して新しい学園生活がスタートする。

とまぁ、文章にするとごく普通の料理漫画をイメージするかもしれないが、これがまた出てくる料理が大変オシャレなのである。作中に出てくる料理のオシャレ度に関しては当時の少女マンガではかなり珍かったのではないだろうか。私がこのマンガで知った初めて知った料理名は多い。

※私は この回で初めてアボカドというものとナツメグたるものを知った。
※「パラダイス・カフェ」2巻講談社 /ひうら さとる

第一話からまさかのフロマージュ・オムレットといったところだ。
このフロマージュ・オムレットは作中で「天使オムレツ」と称され、ユキオとハルの出会いのきっかけとなる一品なのだがこれがまたすごく美味しそうなのである。フワフワでとろけそうな天使の味ーー想像しただけで卵が恋しくなる一品だ。

※今までオムライスしか知らなかった私がオムレツというものがあるのを知り、衝撃を受けた一品。
※「パラダイス・カフェ」1巻/ 講談社 / ひうら さとる

そしてまた卵料理の勝負の話だけで二話から「ウフ・ア・ラ・ネージュ」が出てくる始末なのだ。「ウフ・ア・ラ・ネージュ」たるものが当時はどんなものかはわからなかったが、絵と説明文を読んだけでこれがすごく美味しいものだというのは小学生の私にビンビンに伝わってきた。全編を通して、またユキオちゃんの美味しそうな表情も相まって「パラダイス・カフェ」に出てくる料理に毎回夢中だったのである。

※こんなおしゃな食べものがこの世にあるのかよと震えた「ウフ・ア・ラ・ネージュ」。
※「パラダイス・カフェ」一巻/ 講談社 / ひうらさとる

※ユキオちゃんのパパ、松本シェフの「ウフ・ア・ラ・ネージュ」の説明は子供の私にもビンビンに伝わってきた。
※「パラダイス・カフェ」一巻/ 講談社 / ひうらさとる

「パラダイス・カフェ」は全3巻の作品だが、この3巻の中に和風パスタや、見たことのない素敵なフランス料理、可愛さ全開のパフェなどオシャレで素敵な料理がギュッと詰まっている。読めば読むほど、「ひうら先生ッッッーーーー!!!」と全裸で窓を全開にして思わず大声で叫びたくなってしまう。

私はこの作品と出会うまで兄と「OH!MYコンブ」しか読んだことがなかったので「パラダイス・カフェ」の料理は衝撃的だった。(言い方がアレですが、「OH!MYコンブ」は「OH!MYコンブ」で大変面白いです。「リトルグルメ」と「料理」との違いなので悪しからず)

私は「パラダイス・カフェ」を読んで初めてちゃんと自分で料理がしたいと思ったのだ。

「プリティ♡グッド」も「パラダイス・カフェ」もとてもクリエイティブ魂を刺激されるマンガだと思う。閃きが止まらず、ドーパミン出まくりの状態や、嬉しくって胸のドキドキが止まらないっ!いった主人公の表情は大人になって読むとまた当時とは違う、心に響く感情がある。

※表情豊かなユキオちゃんが好きだった読者も多いはず。
※「パラダイス・カフェ」一巻/ 講談社 / ひうらさとる

そんな感じで大絶賛の「パラダイス・カフェ」だがこの作品のドラマ化を私は願ってやまない。かれこれ、「パラダイス・カフェ」のドラマ化を願って何年経つのだろうか。願って願って願い続けているうちに私も30を過ぎてしまった。正直、願ったままこれ以上年はとりたくない。

私は自分の思いつくようなことは大体先に思いついている人が既に何人かいると思って生きているのだが、何故こんなに素晴らしい料理漫画をさっさとドラマ化しないのか不思議でならないのだ。もういっそ映画でもいい。

料理漫画で学園モノ。主人公のユキオちゃんのひたむきな性格、超絶イケメンのミステリアスで金髪のハルくん(しかも天才料理人)、数々の女子ウケ全開メニュー、ゆるふわキャラのあゆみちゃんや真面目なゆーじくん、ゴールド様などユキオちゃんの周りにいるキャラの濃い友人達…こんなにブチ上がる内容なのに…といったところだ。気持ち悪いかもしれないが、私は何年も前から脳内で配役も設定している。(その時の旬の俳優で配役は変わるけれども)

※ハルくんの母親バイオレット高野が作るメニューもたまらなく好きだった。特にこのパフェのかわいさは女子のハートをクリティカルヒットすること間違いないと思う。
※「パラダイス・カフェ」二巻/ 講談社 / ひうらさとる

またここからはホントに勝手な妄想なのだが、私は「パラダイス・カフェ」がドラマ化された後、ひうら先生監修の「パラダイス・カフェ」のレシピ本が出版され、はたまたPARCOなどでコラボカフェなんてやったら全国のアラサーアラフォーがこぞって集結するだろうに…とずっと思っているのだ。確実なゴールドラインがそこにはある。

ちなみに先程、「初めてちゃんと料理がしたいと思ったのだ。」などと言ったがアレはあくまでピュアな子供の頃の感想であり、正直言ってちゃんとしたプロの方やしっかりした人が作った方が100%美味しいに決まっている。自分で作ってもたかがしれてるので食べるなら絶対プロの料理が食べたい。なのでコラボカフェは必須事項だ。

私が天使のオムレツを食べれる日はいつになるのだろうかーーー。

どこかの権力あるお偉い方がこのnoteを読んでいると信じて今回は締めたい。

・トップ画像写真
・「プリティ♡グッド」一巻/ 講談社 / ひうらさとる
・「パラダイス・カフェ」全三巻/ 講談社 / ひうらさとる



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