6.はぐれシタゴコロ純情派

普通だったら痴漢で捕まるレベルの濃厚接触が当たり前という、ダイナマイトな社交ダンスの魅力を体験すると同時に、

「オレ結構センスあるんじゃね?」

と勘違いし始めていた私であったが、それはあくまでも相手が踊れるのが前提であることを思い知らされるのであった。

「はい、じゃあ今度は1年生同士で組んでみましょー!」

先輩の掛け声で新入生同士が向かい合う。

おっ、結構カワイイ子に当たったな。

「よ、よろしくね。」

うつむき加減で恥じらいのある口調がまた可愛い。

「私、まだあんまり踊れなくて・・・。」

フッ、大丈夫。オレけっこう踊れるから。

なんて思いながら

早速ホールドを組んでみる。

・・・あれ?先輩と組んだ時となんか違うような。

まぁ、いいか。とりあえず踊ってみよ。

スロー、スロー、クイッ、・・・ん?

スロー、スロー、クイッ、・・・あれ?

全然ステップが踏めない! 先に進まない!

手が捻じれる。入れ替わろうとするとぶつかる。

足を踏みそうになる。もはやホールドどころでは無い。

「良かった〜、同じくらいで。」

なにぃ〜❗ (ガビーン😱)


先輩とはあんなに踊れてたのに!

そう、さっきまでは先輩がうまく動いてくれていたのである。

愕然としている私に例の先輩が近づいてくる。

「最初はそんなものよ、坊や。」

はぁ。(さっきまでの自信はどこへやら)

「数をこなして慣れるしかないわ、坊や。」

そうなんすか。どのくらい?

「私も今まで数多の男性とホールドを組んで来たわ。そう、数え切れないぐらいにね。

わかった、坊や。」

そうなんすね、オレもその数多の男の1人に過ぎないんすね。(それ以前である)

結局オレは先輩の手のひらの上で転がされていたんだ〜!(当たり前である)


先輩の色気に惑わされてすっかり踊れる気になっていた自分が恥ずかしいぜ!(確かに)

くそぅ、やってやる! やってやるぜー!

それから私はほぼ全ての新入生とお手合わせをお願いした。

だいぶ慣れはしたが、やはり上手く踊れるまでにはならなかった。

「今日はここまで〜。ここでお知らせがあります!

5月○日にダンパがありまーす❗

それまでにちゃんと踊れるように頑張っていきましょう!」

ダンパ?

コンパじゃなくて?

何ソレ?

また新しいの出たよ。


次回、ホントにパーティー編😅

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