5.何か当たってますけど

「次回はまた新しい種目やるからブルース忘れないでね〜!」

ブルースを女性の先輩方とひと通り踊り、だいぶ慣れてきたところでその日の部活は終了した。

部活の練習は週2回あり、その日から毎週通うことになった。

週2で女子大である。

そんな部活が他にあるだろうか?

その日の部活帰りに皆んなで食事に行くと、

「あの子が可愛い!」

「あの先輩は絶対にエロい!」 

「いや、オレは誰派だね!」

などと誰もが興奮冷めやらぬ感じでそんな話題で盛り上がったのであった。

端から見るとだいぶ頭の悪い集団だったに違いない。

そうこうしている内に早くも2回目の練習日が訪れ、再び名古屋女子大に乗り込む。

2回目だがまだドキドキが止まらない。

普通なら絶対に足を踏み入れることはない場所である。

背徳感がハンパない。

練習場所の教室には前回と同様

やっぱり女の子がいっぱい。

いやむしろ増えている。

「はい、今日は新しくジルバを覚えてもらいまーす!」

「ジルバ」か、昭和感が強めな響きだな・・・。

「じゃあ、まずはやってみますねー!」

ブルース同様、先輩方が見本を踊って見せてくれる。

は、速い!!

ブルースの3倍の速さだ!!

同じ4拍子だがテンポが赤い彗星のごとく速い!

しかもなんか男女が離れたり近づいたりしてる。

めっちゃ複雑なんですけど!

「では、それぞれステップを覚えて下さーい!」

男女に分かれてそれぞれのステップを習う。

・・・あれ? 見た目ほど複雑じゃないな。

動く、動けるぞオレ!

「じゃあジルバも組んで踊ってみましょー!」

今日もキター❗ 待ってました!

前回同様、男子は女性の先輩と、女子は男性の先輩と向かい合う。

図らずも前回と同じ先輩と当たった。

「今日もよろしくね、坊や。」

はい!ありがたき幸せ!

「はい、一緒に踊ってもらう前に今日はホールドを覚えてもらいます。」

ホールド?

何ソレ? はやく踊らせてよ。 (心の声)

「これがホールドの組み方です。」

近っ! 

接触してないソレ!?

向かい合ってるのに男性の右手が女性の背中に回っておる!

しかも左手は「宣誓、我々は〜」の形で女性の右手をシェイクハンド!

「はい、皆さんもやってみて下さーい。」

マジか! 訴えられない? (再び心の声)

「遠慮しなくてもいいのよ、坊や。」

あっ、はい。

ヤベェ〜と思いながら早速組んでみる。

激近っ! 

30cmどころじゃない!

「どうしたの坊や、それで良いのよ。」

そうなんすか。

何か当たってるんすけど。

「それじゃ動いてみて、坊や。」

さっき習ったジルバのステップを踏み出す。

スロー、スロー、クイック、クイック。

スロー、スロー、クイック、クイック。

おっ、イイじゃんオレ!

でも何かその度に当たる。

「なかなか上手よ。センスあるんじゃない、坊や。」

マジすか、あざっす!

でもやっぱり何かその度に当たる。

「そうそう、良いわよ。その調子よ、坊や。」

私もおだてられて段々と調子に乗ってくる。

さらに激しく何かに当たる。

これは大丈夫なのか?

相手は何にも思ってないのか?

「もっと動けるんじゃない、坊や。」

思ってないみたい。

どうやらこれが当たり前らしい。

社交ダンス、スゲー❗

そして前回同様、一通り女性の先輩方と一緒に踊ったところで終了となった。

社交ダンスのダイナマイトな魅力を思い知らされた私であった。

次回、今度こそ初めてのパーティー!(おそらく)

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