休暇の理由あるいは踊らされるな自ら踊れ

明日10月23日から30日まで、おやすみをいただきます。会社員時代も入れてこんなに長く休むのは初めてかも。バカンスみたいな出張ばっかりしてるからまぁそれはいいんだけど。

個人的な話をする。ぼくの父は若い頃、暗黒舞踊という謎のジャンルのダンサーだった。それなりに有名で、ヨーロッパを旅したりしていたという。その後、美術商になったりもしたけど、今は無職だ。82歳になる。ぼくは3回目の結婚で生まれた長男だ。

最近、ぼくの仕事を知りたいということでFacebookをはじめたところ、かつて出演した暗黒舞踏会のフジロックみたいなイベントから、国境と時代を超えて、35年ぶりのオファーが届いた。悪夢か、奇跡か。いやどっちでもないし、どっちでもあるな。SNSの可能性をなめてはいけない。

場所はペルーのアヤクーチョ。82歳で標高2600mの野外フェスで踊るという。張り切って毎日何時間も練習していたらしい。母親は心配そうな顔で迷惑がっていた。つくづく、人間の可能性をなめてはいけない。

しかも、残念なことに、息子としての見届ける義務と、クリエイターとしてのどうしようもないほどの好奇心がぼくにはある。

そんなわけで、父は三日前、意気揚々と旅立って行った。「この歳で、生きてる幸せを感じることができるなんて!ありがとう!」と呑気な言葉を残していった。どんな人生にも本番が必要だよな。飛行機で30時間、お金は全部ぼくが出している。会社を立ち上げておいてよかった。

翌日、想定通り、父と連絡はつかなくなった。同行している人からの連絡によるとトランジットのメキシコでスマホを紛失したらしい。こうなると会えるかどうかもわからない。現地の治安は最悪だという。会社のメンバーにどうしようと相談した。

「三浦さんには堂々としててほしいっすね」

窮地の社長にかける言葉はそれだけか。泣きたい。だが、明日の朝、ぼくも飛行機で旅立つ。40時間後にはペルーのリマにいる。

「こんなはずじゃなかった」と思ってからが人生だ。

行ってきます。また連絡します。

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