「さよならハイツ」

作・うた：タカハシリツ

もうすぐここから出て行かなくちゃ
だからさ ありがとう唄にしてみたよ

姿を見せない鳥の おしゃべりで目が覚めたりして
築年数が経っていても レトロなタイル逆にお洒落

はじめてこの部屋の鍵をもらった日は
見慣れてない天井を眺めながら
これからの不安もあったけど
ドキドキ嬉しくて眠れなかった

小さなこの部屋 広がる世界は
わたしの大切で埋め尽くされていて
こだわりキッチンとおもちゃの灯り
君からもらった切れ端の手紙

駅からの帰り道は もう何パターンだって分かってきて
春は角の家の庭先に 秋は公園に花が咲く

入ってみたかった喫茶店も
お気に入りのパン屋さんも
顔見知りになったスーパーのおばちゃんにも
もう簡単には会えないんだな

さよならさよなら ありがとうハイツ
この町この部屋 出会えてよかったな
あの坂はどこへ続いてたんだろう
それを理由にまた帰ってくるね

段ボールと骨組みだけの棚と家電
やけに響きのいいこの部屋で
色んなことあったな 涙も喜びも
忘れないよ ちゃんと持ってくね

この部屋と世界が切り離された日
やさしい風が吹いていったけな
さよならさよなら ありがとうハイツ
次に入る人 幸せにしてね
さよならさよなら...
またね ハイツ