女将さん一人_インタビュー後

人と人を阿吽の呼吸で繋ぐ老松通のおかん「小林由美子さん」

割烹と居酒屋を経営されているユーモアたっぷりな女将の小林由美子さんにお話しを伺いました。

出身地 : 大阪府 大阪市
活動地域 : 大阪市北区西天満老松通り、北新地
現在の職業及び活動 : 割烹と居酒屋の女将
座右の銘 : 日々是好日
どんな日もかけがえのない一日です。
精一杯目一杯人生を謳歌したいです。


「おかみーっ」てみんなが寄ってきてくれる場を提供し、阿吽の呼吸で人と人を繋ぐ!

中川:小林さんの夢、VISIONを教えてください。

小林由美子さん(以下 小林 敬称略):その日の最後に来ていただく、その方の貴重な時間とお金さいて頂いてお食事、飲み物、自分たちとの会話で明日への活力になってもらえたらいいと思っています。
若い人で、こんなことをしたいって相談に来てくれる人もいますけど、出資してくれる人をご紹介したりしています。

昔は3店舗経営していましたが、自分の目が届かないため2店舗にしました。お店をやりたいという人に、少しでも飲食店の経営ノウハウをお伝えしてます。北新地の母にはなれませんが、「おかみー」って多くの人が憩いの場を求めて寄ってきてくれるお店にしたいと思います。


中川:この夢の実現に向けてどのような計画を立て、どのような活動方針を持っておられますか?

小林:北新地界隈の料理店の繋がり80店舗で、よくオーナー同志が会っています。一店舗だけが儲かるのではなく、みんなで北新地や老松通りを盛り上げようとしています。食育やってる人に刺激を受けたり、お金儲けしたいのに、って葛藤しながら 笑笑
良いものだからお値段が高くてもいいとかではなく、なるべく安価で美味しいお料理を皆さんにご提供できるようにがんばっています。
また、交流する80店の方々とは、ライバルではなく仲間として色んな話をしています。自分が飲みにいったりしながら癒されてます。

お店の名前「あ・うん」は、お互いの思いやりの心を合わせないとできない阿吽の呼吸から。
まず、スタッフ同士、お客様とスタッフ、お客様同士。カウンターで見ず知らずのお客様同士つながってくれたらと思い、阿吽の呼吸を大切にしています。
常連さんにはあだ名をつけて呼ばせてもらってます。面白くて御歳を召した方には落語家の師匠みたいなので「師匠」とかね。

中川:楽しそうでいいですね。女将さんと話してたらみんな元気になりそうです。

幼少期職人さんと生活した経験から感じる上下を作らない大切さ

中川:接客業で憩いの場を作り、人と人をつなぐ夢に勝負するようになったきっかけは何ですか?

小林:学生時代にパーティーコンパニオンの派遣を自分で経営していました。200人の女の子を集めることができました。飛び込み営業もしました。就職しても、人としゃべるのが楽しいと気づきました。営業で入社した就職先では、当時は女子の営業職というのがなく 総合職でした。フィットネスの法人営業で、企業に飛び込み営業に行ったり、テレアポもしました。こわくてできない時もあったし、泣きながら営業に行ったりしたこともあります。何ヶ月かそんなことをしていたら、企業の受付の女性達と仲良くなったらいいんだと気づきました。土産持っていってそこで話をして、内情を聞くことができました。福利厚生の担当でもない受付嬢さんでしたが、個人でもいいと思ってチラシ渡しました。
そうしてるうちに  某大手コーヒーメーカーの契約2000万円が取れました。切り口は福利厚生担当だけでないという発見が自信につながりました。
50人入社しましたが、1番最初にやめると言われてたのに、12年間最後の一人まで残りました。
営業とは?人との付き合い方とは?というのが、わかるようになりました。企業で働く清掃のおばちゃんからも「この人ええで」と言ってもらえるようになりました。
フィットネスとは関係のない飲食店ですが、当時会員になってくださった80代のお客様と今も変わらないお付き合いをさせて頂いていて、とても嬉しいです!

その後ある飲食店のチーフマネージャしないか?と打診されました。お店に入った当初、職人さんが新入りさんを蹴ったりする厳しい姿を初めて見ました。職人さんは偉い!お料理作ってくれるから。でもそこまで何で偉そうにする?って思いました。
「社長付の肩書で女が入ってなんやねん」って言われました。でも、売上下がっているから自分が呼ばれている。職人さんと喧嘩してもいいわと思いました。上手く立てながら、言うことは言うようにしました。20年前は、お客様の前で職人さんが怒ったりしてました。お客様の立場になったらそれっておかしいと思いました。そこは対等でしょって感じたのです。

中川:立ち向かおうと思えたのは?

小林:私は生まれた時から自営業の家、職人さんと一緒に住んでました。
お母さんから、「お兄さん(職人さん)たちのおかげで、おいしいもんたべれてるのよ」と教わっていました。私も職人のお兄ちゃんたちに コーヒーやホットケーキの差し入れをしたら、「ありがとう、明日も頑張れるわ!」って言ってもらえて嬉しかったのを覚えています。それってwin-winってその時思っていました。そういう言葉は当時まだありませんでしたが。人に上下関係があると限界があると思ったのです。   
そういう経験もあって料理人さんとも対等にならないと、お客様に本当に喜んでもらうことはできないと感じました。

❛日々是好日❜の気持ちで「出会い」を大切に生きる!

もう一つの背景に中学時代に倒産、夜逃げ同然のことがありました。父は職人でしたが、人が良くて経営者向きではありませんでした。
その経験もあって。卒業したら自営業はしないでおこうと思っていました。
職人のお兄ちゃん達と話した経験から物怖じせず、誰とでもはなせるようになりました。

私立中学に合格しましたが、父の会社が倒産して大変なときなだと思い、自ら辞退しました。六年間勉強してた時間を返してくれって思ったり、辛かったねって言われることもあります。

そんな環境でもあまり気にしなかったのは、幼少期の学びです。
幼稚園が仏教系で園長住職が、禅の言葉を教えてくれました。

「日々是好日なり」って教えてもらい常にそれをイメージして生きてました。ただ、解釈がチョット間違っていまして「その日その日を呑気に暮らす」と思っていた程度ですが、これが幸いでした。今もこの感覚を大事にしながら、日々出会いを楽しんでいます。


中川:幼少期倒産した経験がおありだと自営業をしたくないという気もするのですが、現在やっておられるのは?

小林:再婚の主人が二億円の負債を抱えて破産しましたが、会社またやりたいって言ったのです。これも縁やなぁと思いました。
私は結局自営業から抜け出せない運命だと思ったのです。一緒に頑張ろうと思いました。
サラリーマンでトップとったらええわ って思っていましたが、逃げてたんか!って気がついて、なんとかなる!頑張ろう!ってなりました!結果として今、主人は倉庫業を立ち上げ、飲食業も経営しています。

自分は恵まれていると思います。
一日50~60人のお客様とお話しをさせてもらえますし、色々教えてもらえます。
色んな人と繋がってるのはすごい財産です。30年前の、知り合いが未だに来てくれています。

隣同士になったお客様が、ご縁が生まれればいいなと思いお声掛けさせて頂いています。自分が与えてもらいましたからね。人の繋がりを大事にしています。出会いは命ですよ。
生きてきた限りは死は平等にやってきます。その間にいかにどれだけの方とお会いでき教養や知識がつけられればいいと思います。自分一人では何もできませんからね。


中川:最後に読者の方へのメッセージをお願いいたします。

小林:現代人はSNSで多くの人とつながっているようで、心の中は実は寂しく空虚になっています。皆が皆ではありませんが、この仕事をしていると、そういうお客様が少なからずおられることを感じます。これまでも、これからも私がその心の間に入って、癒したり繋いだりすることをしていきたいと思います。ご興味がある方は一度お店の方へお立ち寄りください。お待ちしております。


小林さんの経営する「割烹および北新地の居酒屋」についての詳細情報についてはこちら

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編集後記

今回インタビューの記者を担当した長尾・所・中川です。

山あり谷ありの苦労の日々をお話頂きながらも、話のオチをつけて我々インタビューアー3人の笑いをとることを忘れない、関西の商売人ここにありという涙あり笑いありのインタビューでした。

小林さん、今日は本当にありがとうございました。

この記事は、リライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


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