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やってはいけない、業務改善のダブルチェック

仕事では、ミスを最小限に抑えることが重要です。仕事のミスの対策で「ダブルチェック」を行うことで解決してしまうことはありませんか?しかし、ダブルチェックが、実は問題解決の阻害となることがあります。

この記事では、ダブルチェックの限界について深堀りし、問題解決に必要なアプローチを解説します。ダブルチェックは「対処療法」です。持続的な改善へのステップを提案します。

では、まずはダブルチェックの誤解について考えてみましょう。

ダブルチェックの誤解

多くの人々は、ダブルチェックをミスの防止策として高く評価しています。
確かに、情報や作業に対する二重の確認は、誤りを見逃す可能性を低減させる効果はあるでしょう。問題はそれが「対処療法」であることです。

ダブルチェックは、すでに発生したミスを見つけ出す手段であり、発生要因については言及されません。このアプローチは、一時的な問題解決に過ぎず、本質的な改善を提供しません。
例えば、喉が痛くて咳止めを服用するように、一時的に症状を和らげるかもしれませんが、その背後にある大きな病気に対処しない限り、問題は続きます。
ダブルチェックする事が有効な時も、もちろんあります。チェックのミスの真の原因になりうる場合にはダブルチェックが効果的なケースもあります。しかし、チェックの方法に問題が、あるケースも多く存在します。

ダブルチェックの落とし穴

ダブルチェックは、問題の根本原因を特定し、修正することには貢献しません。むしろ、ミスの発生を受け入れた上で、それを矯正する役割を果たします。結果として、個人や組織はミスを犯すことを容認し、責任を転嫁する文化が根付くことがあります。

ダブルチェックは、自己責任と問題解決から逃れる口実となり得ます。ミスが発生した場合、その背後にある原因を追求することなく、単に他の誰かに確認をチェックを依頼することで、責任感が薄める役割りを果たします。

問題の本質的な解決に対しては逆効果になってしまいます。では、どのようにして問題解決への新しいアプローチを模索すべきでしょうか?

PDCAサイクルの重要性

PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルは、問題解決と持続的な改善のための優れたモデルです。しかし、PDCAの落とし穴に陥ることは避けなければなりません。なぜなら、通常のPDCAアプローチは問題解決を対処療法的に進めがちであり、本質的な改善を見落とす可能性があるからです。

PDCAの一般的なアプローチでは、次のようなステップで進行します。

1. Plan(計画): 対策と実施の計画を考える

2. Do(実行): 計画通りに実施します。

3. Check(チェック): 問題が解決されたかどうかを評価するステップです。

4. Act(改善): チェックの結果に基づいて、調整や新しい対策を考えるステップです。継続的な改善とは再びPlanにも戻ることです。

しかし、このアプローチは「Plan」ステップから始まり、問題が発生してからアクションを起こすことが一般的です。このため、PDCAが対処療法的なアプローチに陥りがちであり、本質的な問題の解決を見過ごす危険性があります。

PDCAサイクルの再構築

問題解決と持続的な改善に向けて、PDCAサイクルを再構築する必要があります。以下は新しいアプローチのステップです。

1. 現状把握: 問題の対策案を考える前に、現在の状況を正確に把握します。これはPDCAの最初のステップですが、問題発生のメカニズムや環境に焦点を当てます。

2. 明確なゴール設定: 問題が解決したと言える状態を明確にします。問題発生が無くなる状態や環境で考えてゴール地点を鮮明にイメージする事は問題解決に取り組むスタート地点となります。

3. 現状とゴールの差(問題)の特定: 現状とゴールを比較して、違いをピックアップし、これらを問題と定義します。

4. センターピンの特定: 問題の中で最も重要な要因をセンターピンと言います。
問題をボーリングのピンに見立てた比喩で、センターピンを狙いストライクを目指します。センターピンの特定は仮説を立てて問題の核心を探ることです。

5. 対策の実施検証: センターピンに対する具体的な対策を計画し実施します。問題解決の仮説を検証する事も並行して行なうことも大切です。

6. 評価: 対策の結果を評価し、ゴールに対する進捗を確認します。問題が発生する前に評価を行います。

7. 現状の再評価:対策を実施した後、再び現状を把握を行います。ゴール地点までどれだけ近づけたかを評価するステップです。
そして、ゴールに辿り着くまで、また現状把握から同じ流れを繰り返します。

最初の環境と対策後の環境の差が成果となりますね。

この再構築されたPDCAは対処療法的なアプローチを回避し、問題の根本的な解決による再発防止と持続的な改善が実現されます。

結論 ダブルチェックがセンターピンになる事はない。

喉が痛くて咳止めを飲むのと同じです。咳止めが一時的に症状を和らげるかもしれませんが、その背後にある深刻な疾患を見過ごすことはもっと重大な問題に繋がります。

同様に、ダブルチェックや対処療法的なPDCAアプローチは、一時的な問題を解決することはあっても、本質的な問題の根本原因を見過ごしもっと重大な事故やミスを招く原因にもなりえるのです。

新しいアプローチとして提案したPDCAサイクルの再構築は、まるで疾患の原因を探し、それを根本から治療するようなものです。

診察して、検査する(現状把握)
健康な状態(ゴール設定)を伝えて
体に何が起きているのか(現状との差)
どんな病気なのか(センターピンの特定)
治療方針を決めて治療(実施検証)
経過観察と再診療(評価)

持続的な改善と本質的な問題解決を追求するために、新しいアプローチを採用しましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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問題解決と持続的な改善の道を一緒に歩んでいくことを楽しみにしています。ありがとうございました。

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