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うつ病が寛解したよ

うつ病という呪縛から解放された今、改めてうつ病について振り返ろう。

うつ病と診断されたのは、2021年1月だったと思う。
パワハラ上司から、「最近様子がおかしいからカウンセリングを受けてこい」と言われ、臨床心理士のカウンセリングを受けたところ、すぐに病院を紹介された。

ちなみに、どう様子がおかしかったかと言うと、
「用事があって事務所を出たのに、廊下を歩いている最中にその用事を忘れ、事務所に戻ることが頻繁にある」「顔色が悪い」「いつも遠くを眺めている」「覇気がない」といった症状だ。

そして、初めてメンタルクリニックを受診して、いきなり医者の口から「うつ病です。」と言われたときは、「まさか自分がうつ病になるなんて!」と、ありがちな気持ちを抱いたのを覚えている。

うつ病になった原因は、間違いなく仕事だ。
パワハラ上司を筆頭に、わがままな年上の部下に振り回されたり、新人の仕事をカバーしたりと、肉体的にも精神的にもキツイ日々を過ごしていた。

まさに、助けを乞う所もなければ、逃げ場もない。そんな状態が、1年半ほど続いていた。

今から思えば、健康で過ごすことのほうが無理がある。

そしてメンタルクリニックを受診したときには、すでにうつ病の症状が重かったこともあり、初診にも関わらず、すぐに休職するよう勧められた。

しかし、あまりにも急な話だったこと、まさかうつ病と診断されるとは思ってもいなかったことで、事態が飲み込めず、医者に「そんな急に仕事は休めない」と伝えたところ、「では、薬を飲んで1週間様子を見ましょう。1週間で改善が見られなければ、仕事は禁止です。」と、伝えられた。

大量の薬を飲んだところで、1週間で状態が改善するはずもなく、2度目の通院で有無を言わさず「休職」と通告され、頼んでもいないのに診断書を渡された。

翌日、職場へ行って事情を説明し、仕事を引き継ぎ、休職の手続きをしてもらった。

ちなみにパワハラ上司からは、「勝手に診断書をもらいやがって。先に相談しろ。」という、ありがたいお言葉を頂いた。

誰のせいでうつ病になったと思っているのだろう。
加害者は気が付かないらしい。
素晴らしい鈍感力である。

とにかく、とりあえず1ヶ月の休みが確定。
その後は、状態を見て休みを延長するか、復帰するかを決めるらしい。

就職して20年以上経っていたが、こんな長い休みは初めての経験。

毎日、痛い胃を押さえながら、吐き気を堪えながら、辛い思いをして仕事に行っていたのが、医者の一言で、あっさり仕事を休むことになった。

医者の言葉は偉大である。

当時は単身赴任をしていたので、急いで荷物をまとめ、部屋の片付けをして家族の待つ家路についた。

家に帰ってからは、2週間に1度の通院の他にすることはなく、しばらく寝て過ごしていたと思う。正確には、ほぼ記憶がないのでわからないが、布団の中で過ごしていたのは確かだ。

休職してから3ヶ月ほど、布団の中にいた。
ただひたすら、寝ていたと思う。
何かをした記憶がない。

好きな読書もする気がおきない。
映画やドラマを見る気にもならない。
ゲームをするわけでもない。

朝ご飯を食べて、二度寝。
昼ご飯を食べて、昼寝。
晩ご飯を食べて、早めに就寝。

そんな感じで、ひたすら寝て自分を癒やしていたと思う。

休職する前は睡眠障害の症状があって、睡眠薬を最大量服薬しても、まともに寝れなかったのに、仕事から離れた途端、いくら寝ても寝たりないぐらい、ふんだんに寝ていた。

そして5月になり、北海道にも遅い春が訪れると、布団から這い出し、次第に外に出られるようになっていった。

医者からは、気分転換と体力維持のため散歩をするように言われていたため、天気の良い日は毎日近所を散歩して歩いた。
時にはカフェに寄ってコーヒーを飲んだり、本屋で散財したりと、だんだん楽しく散歩ができるようになってきた。

ちなみに、休職中の通院は2週間に1度。
自宅から電車で30分のメンタルクリニックで、初診以外は予約がいらないところ。
その日の気分や体調で通院するか決めれたので、通いやすくて助かった。
主治医は40歳くらいの男性。
同年代だったので、話しやすく何でも相談できたのも良かった。

うつ病の治療において、医者との相性はとても大事だと思う。
話しをすることでしか、自分の状態を伝えられないし、医者も患者の言葉を重視して治療を進めていく。
だから、コミュニケーションがキチンとできる相手じゃないと、治療はうまくいかない。
人間同士、相性は絶対にあるので、気に入らないならセカンドオピニオンは必要だと思う。

自分にとって、2週間に1度の通院は気分転換にはちょうどいい頻度だった。
いつも家の近所を徘徊するだけの日常だったので、いい刺激になっていたと思う。

復帰に向けて次第に外との接触を増やしながら、体を慣らしていくことが必要だなと感じていたので、ちょうどよかったのかもしれない。

先の見えない休職中だったけれど、復帰時期については、いつも気にしていた。
それは、休職中は転勤ができないと言われていたためで、復帰後すぐに転勤できるよう、復帰する時期をうかがっていたためでもある。

職場が原因でうつ病になったのだから、1日も早くその職場から逃げ出し、縁を切りたかった。

だから転勤により強制的に職場が変わるのは、こういう時は大きなメリットだ。

本当は、うつ病になる前に転勤になっていればよかったけれど、人生は思うようにはいかない。

うつ病になる前に、休むなり逃げるなりすればいいのにと、人は言うけれど、うつ病になったことが無い人には、無理な話だ。
うつ病がどんな病気で、患ったならどうなるかは、経験者しかわからない。
だから、うつ病になるまで気が付くはずがないのだ。
でも、1度うつ病を経験した今なら、それが分かるから、次からは対策が取れるし、いざとなれば休むなり、逃げるなりできるはずだ。

1度うつ病を経験した人は、再発しやすいといわれるが、経験者から言わせてもらうと少しニュアンスが違う。

うつ病経験者は自身の経験があるからこそ、早い段階で異変に気付けるのであって、再発しやすい訳では無い。

それに比べて、うつ病未経験者は、心や体に不調が出ても無理をしてしまい、ひどくなってからうつ病と診断されるケースがほとんどだと思う。
私もそのパターンだった。

そこで、うつ病経験者からアドバイス。

・仕事に限らず、ストレスフルな生活が続いている
・しばらく気分がすぐれない日が続いている
・原因不明の体調不良が続いている
・今まで楽しめたことが、楽しいと思えない
・すべてのことが面倒で、逃げ出したい
・何もする気力がない

このような症状があるなら、まずはカウンセリングを受けてみよう。

最近は、学校にはスクールカウンセラーが、職場にも産業カウンセラーや、臨床心理士などのカウンセリングが受けられるように、配慮がされているはずだ。

よく分からなければ、ググればよい。
とにかく、心の不調が続いている人は、1度カウンセリングを受けたほうがよい。

早めに対処すれば傷が浅くてすむし、治りも早い。
深手を負ってからでは、治るまでの時間も大幅に増えるから、不調が続いているなら、まずはカウンセリングの予約をしよう。

うつ病の予防は難しいけど、程度を軽くすることはできる。

自分の身は自分で守るしか無いから、カウンセリングを上手く利用してほしい。

とにかく、カウンセリング。

うつ病になる前には無縁だと思っていたけれど、実はとても役に立つ存在だ。

これからも、事あるごとにカウンセリングを受けようと思う。
人生はストレスフルだから。

自分の身を守る手段として、カウンセリングを利用しよう。
深手を負って、大きな損害を被る前に。