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FIFAによるサッカー用語統一プロジェクト「Football Language」の意義について考える

これは「スポーツアナリティクス Advent Calendar 2021」の14日目の記事です。

今年も久永さんにお声掛けいただき、アドベントカレンダーに参加させていただくことになりました。映像分析ソフトを開発するHudlという会社で日本担当を務めております、高林と申します。アドベントカレンダーも3回目ですが、はやいもので自分もHudlにジョインして3年が経ちました。

アドベントカレンダーへの参加は即決したものの、昨年に引き続き今回も何を書こうかなと悩んでいましたが(#WEリーグ勝手にデータ部 のことでも書こうかなと思ってました)、前から気になっていたFIFA(国際サッカー連盟)のプロジェクト「Football Language」がちょうど公開されていたことに気づいたので、それについて紹介しようかなと思います。

サッカーのデータが抱える根本的な課題

サッカーのデータを扱う団体や会社は数多くあれど、サッカーが非常に流動的なスポーツであるがゆえに、1つ1つのイベント(シーン/プレー)の定義は難しく、実は各団体、各社バラバラだったりします。定義のばらつきに関してはポゼッションなどがその筆頭だと思いますが、他にも日常的に気付く例でいうと、リーグの公式記録とその他のデータソースでのシュート数が異なる場合など。理由については先日公式記録員の方から教えていただきました。

その他のイベントも含め、もちろん大枠のところでのズレはありませんが、各社各団体おそらく少しずつ定義が異なる、というのが実情でしょう。これにより、データを比較する際に複数のデータソースを横断するのはよくないことだとされています。

各社の思惑を抜きにして現場視点で考えると、それってかなり損失で、例えば公開されているデータをもとに各国リーグを正確に比較できなかったりしますよね。

今回はイベントデータの話なので本筋から逸れますが、スプリント回数の定義もリーグによって異なっており、同じシステム使っていても実はリーグを跨いでの比較はできない、なんて話もあるみたいです。

Football Languageとは?

では、その問題を解決するために誰がイニシアチブを取るのか?やはり統括団体側じゃないと難しい。

そこで、国際サッカー連盟(FIFA)が立ち上げたのが「Football Language」というわけです。サッカー分析の公式定義書、みたいなものでしょうか。

At FIFA, we would like to share our vision of using football data analytics combined with technical expert interpretation to create new football intelligence, allowing everyone to better understand the game.
FIFAでは、サッカーのデータ分析と技術的な専門家の解釈を組み合わせて、新しいサッカーのインテリジェンスを創造し、誰もがゲームをよりよく理解できるようにするというビジョンを共有したいと思います。

https://www.fifatrainingcentre.com/en/resources-tools/football-language/index.php

Analysts are using the new FIFA Football Language, which has been over two years in the making. Launched on Wednesday, it provides an open resource for coaches and players all across the world, aligning technical expertise and developing all levels of the game.
アナリストたちは、2年以上の歳月をかけて作られた新しいFIFA Football Languageを使用しています。水曜日に発表されたこの言語は、世界中のコーチや選手に開かれたリソースを提供し、技術的な専門知識を調整し、ゲームのすべてのレベルを向上させます。

https://www.fifatrainingcentre.com/en/fifa-bringing-performance-analytics-to-a-whole-new-level.php

どんな内容?

自分もまだ深く読み込めていないのですが、せっかくなので今後別で記事を立てて各項目を紹介していこうかなと思っています。現在、大項目としては下記の5つに分かれています。

In possession(ボール保持時)
Out of possession(ボール非保持時)
In contest(競争下:デュエル、ルーズボール)
Goalkeeping(ゴールキーパー)
Possession outcomes(ポゼッションの結果)

さらにここから細分化されていきます。
いわゆる4局面、という捉え方ではないようですね。個人のイベントベースだから、ですかね。

まだComing soonの頁もあるので、これから追加されていくと思いますが、各項目にきちんと複数の動画クリップが添付されているのも良いですね。イメージが湧きやすい。

更に進歩的な取り組み

このFootball Languageをもとに、現在開催中のアラブカップでは、ウェールズにいる学生アナリストが1試合25名体制(!)で、1人1選手を担当してオン・ザ・ボール、オフ・ザ・ボール、全てのデータを取得しているとか。

サッカーの平均的なデータセットが1試合で2,000-2,500のデータポイントをもっているところ、FIFAでは15,000以上のデータポイントを取得しているそうで、圧倒的すぎる…!

来年のワールドカップでも同じことを行う予定とのこと。
これが各チームに提供されるようになったら、ますます「どう使うか」のところで差が出てきそうな予感です。

これから気になること

他の競技がどうなっているか、もリサーチしようと思ったのですが、時間切れだったので、詳しい方、ぜひ教えて下さい…!

Football Languageで次に気になるのは、これは各国言語に翻訳されるのか?ということですよね。そして翻訳するなら、誰が?と。もちろん各国協会、日本語はJFA以外がやる、というのは考えづらいですが…FIFAから強制力あるお達しが出るのか、それとも各国協会に委ねられるのか。

数年後、ここに出てくる用語でどのチーム、どの会社、たくさんのファンがサッカーを語るようになるのかどうか…今後の展開に期待です!

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