銀座の赤い彗星
毎日、銀座に出社してwebサービスを作っています。
いつもと変わらぬビル街を抜け、いつもと変わらぬ土橋の交差点。いつもと変わらぬ水場を通り抜ける途中、左目の端らへんに一瞬だけ"赤い彗星”が映りました。
え?と目を疑いつつ、スローモーションで7度見ぐらいしたところ、”赤い彗星”がそこに居ました。なんと、銀座のビル街を癒すためだけの小さな水場に、1匹の小さな金魚が迷い込んでいたのでした。
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コイツは、いつからここに住んでいるのか。誰がここに連れて来たのか。何を食べて生きているのか。いろんな事が気になります。
ですが、実は目の前のこの金魚自体は”非実在”で、実はこれは自分の思い込みが創りだした何かの”幻"だという可能性も大いにありえる。
その日は、そのまま彼を置いて家に帰ることになります。
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そして明くる日、そわそわしながら出社します。
いつもと変わらぬビル街を抜け、いつもと変わらぬ土橋の交差点。
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いつもと変わらぬ水場を抜ける途中、
両目の中心が"赤い彗星”を捕えました。
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「・・・赤い彗星は、実在した。」
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金魚の実在を確認した今、改めて気になる事があります。
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お前はいつからここに住んでいるのか。
誰がお前をここに連れて来たのか。
日々何を食べて生きているのか
こんな環境でこれからも生きて行けるのか。
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そして、僕は尋ねます。
「お前の名前を教えておくれよ?」
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すると彼は答えた。
「I am a King-gyo. As yet I have no name. I've no idea where I was born.」
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日本語で言うと、
「吾輩は金魚である。名前はまだ無い。どこで生れたか頓と見當がつかぬ。」
といったところか。
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そうだろう。そうだろうよ。
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いつしか、僕は毎朝、金魚に話しかけるようになった。
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「ねえ、フェニックス、元気だったかい。おれは今日も卒アル委員に就任した新高校3年生に、twitterでリプライを飛ばしたぜ。」
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金魚「Hey Radcliffe, It's a very good communication with your App-users. Someday, the day your yearbook application will make world standard of high school students will surely come. However, do not care so as not to spam twitter.lol」
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まあ敢えて日本語に訳すのなら、
「ラド、それはとても良いユーザーコミュニケーションだと思うよ。きっといつか、お前の卒業アルバムアプリが高校生のスタンダードになる日が来るぜ。ただ、twitterでスパムにならないようにだけは気をつけなよ笑」
といった感じか。
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(参考: 作ってるサービス)
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僕はフェニックスを銀座の水場で、可能な限り、育てていくことにした。
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「何で、フェニックスやねんw そこは、シャアでええやろ!w」
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とツッコミを入れたい人も多いかもしれませんが、それは違います。
僕は、彼に死んでほしくないのです。
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彼を家に連れて帰ることもできるでしょう。でも、それはお互いに望まないことでしょう。ポイントはあくまで、深入りしすぎない関係にあると思っています。
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僕がフェニックスの立場なら、「やっと自由の身になれたんだ。銀座の空の下で自由に泳がせておくれよ。」そう言うだろう。
だけど、自由を求める身であれど、日々通りすぎていく人々の群れの中で、誰一人自分を気にもかけずにいれば。いつか、泳ぎ疲れてしまうだろう。その美しい赤い鱗もいずれ黒く淀んでいくだろう。寂しい想いを抱えながら、大都会銀座の水場を泳ぐことになるのでしょうよ。
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育てよう、なんて、なんとおこがましかった。僕はフェニックスの友達になろう。
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そんな、夢をみた。
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いや実在です。とりあえず、毎日餌をあげてみてます。
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