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アツギの炎上で考える(後編):アスティーグを似非フェミニズムにしてしまうもの

後編を綴るに当たって、私は「ラブタイツ」からアツギをなんとなく避けがちになった一般ストッキングユーザーということを断っておく。
(前回の話でいうと「オタク」側なんだけど、ここに関しては非ツイフェミという意味での「一般女性」に含まれている。)

そもそもアトピー性皮膚炎があるのでストッキングを履かないで済ませたい派だが、それでもストッキングを履くタイミングはそれなりにある。

前編は「ラブタイツ」という、オタクの感覚を無邪気に出した広報の問題について書いた。
今回は2024年の炎上、アンチフェミニスト(アンフェ)の投稿にいいねをしたことで、遂にアツギ社系のX(旧Twitter)アカウントが停止される結果を生んだ話についての考察になる。

アンフェ思想にいいねをつけるのは、商品(アスティーグ。詳細は下記)とのコンセプトとあまりに噛み合わないことから、何かもうひとひねりあるだろうという考えを持った。
いいね単独に限れば、叩かれまくりの自社が珍しく持ち上げられたので、憂さ晴らしで押しただけだと思うが、もう少し深堀りしたい。


アツギは「アスティーグ」というストッキングのブランドを持っている。(https://www.astigu.jp/

このブランドのストッキングは、それぞれ特定の機能に特化している。

素肌をきれいにみせる、着圧を高める、ベタつきにくい…
買う人それぞれが、最もストッキングに求める機能を選べるようにしてあるわけだ。

ストッキングというものは、社会からの圧で履くしかないものである割に、体への負担が大きな肌着だ。
それを様々な意味で心地よく履けるものにするというコンセプトを、アスティーグは打ち出している。

女性が自分に合ったストッキングを選べる。
本来それはフェミニズムのど真ん中といえる。

引用元:https://www.astigu.jp/

恐らくアツギ、そしてアスティーグ関係者は、「自分達こそフェミニスト」だと認識している。

確かにツイフェミなんて、わがままを通したいだけの輩やただの性嫌悪者が多くて、私もフェミニストと呼びたくないし(笑)、正直このアスティーグの理念の方が共感できる。

だが、そんな理念を壊しているのはアツギ社員達だ。

仮にストッキングの開発をしてきた社員達が本当にこうした理念を持っていたとしても、目に見えるところの連中がそれをわかっていなければ、全てが無駄になってしまう。


アスティーグのパッケージには、他にはない特徴がある。

イマドキなフォントやカラーリングの他、着用写真があからさまなのだ。アート的な撮影をしているのでエロみは少なめとはいえ、腰回りが「売り」だとがっつりその写真を見せる。ただ不快感を与えるものではないので、「ニーズをしっかり表現する」という意味では悪くないと思う。

前編で「カッコイイ女」がターゲット層だと書いたのも、このくらいはっきりとした、でもアーティスティックな写真が、そういうカッコよさを全面に出しているようにみえるからだ。

しかし、ここに「ラブタイツの会社」というスティグマを重ねてしまうと、このお洒落効果はなくなってしまう。結局「私が履きたいから履く」はずが「私が男からこう見られるのを選ぶ」という理解が出来上がってしまうからだ。

結局「男性に対するエロを提供する」に行き着くのでは、フェミニズムとは逆行するのだ。

「ラブタイツ」は女性のイラストを起用することが嫌われたのではない。
一般女性にとって健全ではない目線の構図を、目に見えるところに開陳したからだ。

それと合わせて、社外の人達が「アツギはアンフェ」と理解するに十分な状況証拠を揃えに行ってしまった。


広報のもう一つの炎上、薄いタイツとストッキングの二枚履きなどという世迷い事(2023年)はまだマシな方だが、これも他の部署から殴られるべき案件だ。
透けた黒タイツを履いているようにみえるフェイクタイツを売ってるんだぜ、アツギ。

広報が自社製品をロクに知らずに、自分の趣味を押し通すのが横行している。しかもX(旧Twitter)の担当が変わっても何の意味がないということがわかった今、責任者から全担当全とっかえする「禊」でもしないと株主が納得すまい。

本来、アスティーグほど女性の味方になろうというコンセプトを打ち出した商品もないはずなのだ。それをわからずに客の見えるところで恨みをぶつけているようでは、本来のお客さんの「なんとなくキモいから買わない」は今後も続くだろう。


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