からメシ 第104話 夢笑顔
朝になって目が覚める。
横には高木さん。今日はまだ寝てるみたいだが
「う~西片っ……西片っ」
うなされてるみたいだ
悪い夢でも見てるようだった
高木さんをゆすって起こす。
「高木さん。高木さん。大丈夫?」
「西片っ。良かった。西片だっ」
高木さんが抱きついてくる
「ちょっ…高木さん。」
「よかった。西片……」
「どうしたの……高木さん。」
「嫌な夢見ちゃって。一番私が見たくない。嫌いな夢」
「どんな夢?」
「西片と…離れ離れになっちゃう夢。必死で抵抗するんだけど…引き離されちゃって……もう、生きてるのも嫌になっちゃって……でも、夢でよかった……。」
高木さんが涙を流している。
夢でもほんとに辛かったんだろうな。
高木さんを抱きしめる。
「高木さん。大丈夫。俺。絶対、なにがあっても高木さんのこと離さないから」
「ほんと?」
「うん。絶対。俺だって…高木さんと離れ離れになるなんて絶対に嫌だから。そんなの…生きてる意味無くなっちゃうよ。だから絶対離さない。……だって…高木さんのこと、大好きだから……だから、安心して。」
「ありがと。西片。…私もね…西片大好きだよ。」
高木さんをより、ぎゅーって抱きしめる
「今日の西片。かっこいいよ。」
「……そんなこと……///」
「そんなことあるよ。」
「……高木さん。チェックアウトギリギリまでこうしてよっか」
「うん。」
ひたすら高木さんを抱きしめながら。頭を撫で続けた。
「なんか固いの当たってるけどね」
「……違っ……これは……朝だから……///」
「いいんだけどな、私は。このまま……」
「そういう事言うともう、抱きついてるの離すよ」
「えー。やだ。だっこしてよ」
高木さんも出逢った頃はこんな甘えてきたりしてなくて
高木さんもちょっとずつ変わってきてるけど
でも、甘えてきてくれるのもなんか嬉しくて。
チェックアウト時間が近づき慌てて支度する。
「高木さん。忘れ物無いよね!」
「うん。大丈夫だと思う」
急いでチェックアウトして。
電車に乗る。結構こっから博多までは長い道のりだ。
電車は空いている。ボックス席だけど。
高木さんが座ろうとしない。
「どうしたの?高木さん。」
「西片の横に座るか、前に座るか。難しいくてさ」
「そ、そんな悩むことかな?」
「前に座れば西片がよく見えるけどひっつけないし、横に座るとひっつけるけど、前に座る方が西片をよく見てられるし……」
「えええええ」
出逢った頃から高木さんは俺のことが好きなのか?と思ったことはあったが
まさかここまで愛されてるなんて思ってなかったな。でも、好きな人からこんなにも愛されて、好きな人をとことん愛せるって。世の中にこんな幸せなことは無いと思う。
だから絶対離さないようにしないと。
「決めた。西片の隣に座って横向いて、西片の方向いてればいいんだ。」
高木さんを感じながら窓の外を眺めてると。高木さんが肩にもたれかかってくる。
「眠くなってきちゃった。……また、嫌な夢見ちゃわないかな?」
「大丈夫だよ。高木さん。次は…きっと……絶対いい夢見るよ」
「うん……」
高木さん。寝ちゃった。
寝顔。かわいいな。
前に高木さんが、西片の寝顔見てるだけでも楽しいとか、ずっと見てられるみたいなこと言ってた気がするけど。
今ならわかる気がする。その気持ち。
そろそろ博多駅につくな。
「えへへ。にーしかた。」
と幸せそうに、寝てるけど笑顔で高木さんが寝言を言った。
今度は、いい夢見てるみたいだ。
ただかわいそうだけど起こさないと。
「高木さん。そろそろ乗り換えだよ。起きて。」
むにゃむにゃ
「へ?のり、……ああ、夢か」
博多駅で降りて新幹線のりばへ
「今度はいい夢だったみたいだね」
「うん。とっても。」
高木さんが満面の笑みをうかべる。
「ただ、起きたタイミングが残念だったな~」
「ごめん。乗り換えだから起こさない訳行かなくて」
「うん、いいの。大丈夫だから。すぐ正夢にするし。」
「……?どんな夢見たの?」
「西片にベッドに押し倒されてさ。で、私がいいよ。っていって。西片が私のシャツのボタン外して、西片が私のおっぱいを舐めようとしたとこで起こされちゃった///」
「あのタイミングで起こしといてほんと良かった~!///」
「西片が赤くなる寝言連発してただろうからね。」
そんなこんなでまた駅弁を買った。
高木さんのは明太子がどどーんと乗ったお弁当で
俺は九州の豚肉や牛肉がご飯に乗ったお弁当を買った
「かえっこだよね」
「うん。かえっこ」
このかえっこというのは高木さんとデートで食事をする度に習慣化してると思う。おいしさも、幸せも二倍になる。
「やっぱり明太子おいしい」
「肉も美味しいよ!高木さん明太子好きだよね。」
「うん。好物だよ。明太子。西片も食べてみて」
「高木さんもお肉どうぞ」
「お肉も美味しい。豚肉と牛肉両方楽しめるのがいいね。」
「うん。明太子も美味しい。なんかとまらなくなるよね。明太子って。」
「そうなんだ。明太子って病みつきになるよね。」
旅行のお礼に今度大量に明太子通販かなんかで買ってご馳走してあげようかな。高木さんに
「ごちそうさまー」
岡山からまた在来線に乗り換え高松経由でフェリーに乗り(岡山土庄便は終わるのが早い。)
小豆島へ帰った。
「あーなんか寂しいな。またしばらく、西片とは寝る時別々なのかー。寝る時と起きた時に西片いないのかー。」
「高木さん。でも、毎日会えるからさ。言ったでしょ?必ず毎日会うって。」
「というかお仕事の時も、西片にお弁当持ってくしね」
「うん。新学期始まれば毎日隣の席だし、それに……夏祭り一緒に行くし」
「うん。今から楽しみ。」
「……あ、あのさ。高木さん。夏祭りの日、……朝から俺の家に来てくれないかな……///」
「……うん。……///」
高木さんの家に着く
高木さん母「おかえり。」
高木さん父「おお、楽しかったか?」
高木さん「うん!すごく楽しかった」
高木さん父「西片君。ありがとうね。娘がこんないい笑顔で帰ってきてくれた」
高木さん母「色々お世話になって。ありがとう。」
西片「いえいえ……こちらもすごく楽しかったですし。……二人で旅行させていただいてありがとうございます。」
高木さん「ありがと、西片。また明日ね。」
高木さんを家まで送り
自宅に帰る。ほんと楽しかったな~
「ただいま!」
104話 完
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