からメシ 第110話 夏祭り
車で俺の両親に送って貰った。
西片母「いい?夜はちゃんと高木さんを、家まで送るのよ!」
西片「わかってるよ。いつもそうしてるだろ。...父さん、母さん、ありがとう。」
西片父「高木さんとはぐれたりすんなよ今年は」
西片「わかってるって」
今年は高木さんの手を離さないぞ
しっかり手を繋ぐ
「すごい人混みだね西片。」
「うん...///」
「…...まだ、私の中に西片のが入ってる感じがするや」
「///そ、そういうこと言わないで……///だ、誰かに聞かれたら……///」
「あはははは。誰も聞いてないって。」
夏祭り。一昨年と三年前は高木さんと一緒に行って、2人の大事な想い出がある。去年は雨で行けなかったけど、
高木さんの家で高木さんと、高木さんの家族と夏祭りを開いたから、俺と高木さんからしたら行ったも同然で想い出深い。
こうなると出逢ったばかりの夏は行ってないのが惜しいが、4年半だから...君と5度目の夏の、夏祭りもすでに最高の想い出を作っている。
高木さんとひとつになったんだ。心も身体も。
ここからは新しくなったシン・西片なわけでもう高木さんにはからかわれないぞ。
「西片、西片は私の事抱いたからもうからかわれないって思ってるみたいだけど」
「だから、そ、そういうことは...///」
「あ、これ2回目。すでに私が、まだ西片のが入ってる感じがするやって言った時顔真っ赤にしてたから、既に私にからかわれてるんだよ」
「...///」
「今ので3回目かな...///」にやにや
「高木さんだって顔赤いじゃん///」
「そりゃあ…さっきまで私たち……裸で…抱き合って……西片のを……私のに……///」
「それ以上言っちゃダメ……///」
「あははははは。4回目。私の初めて貰った後でも、シン・西片には程遠いね。」
高木さんめ!シン・西片なんて
そんな事まで俺の考えが読めるとかもう超能力の範囲だぞ?
「ところで、西片。今回はさ、食べ物を先にがーって一気に買って、2人きりになれるとこに行かない?」
「え?今までずっと2人きり……///だったのに?どうせならお祭りの雰囲気楽しみながらふたりでゆっくり廻らない?」
「まあ西片がそうしたいならいいけど。2人きりになりたいなー。って。……それにこれ……西片のために言ってることでもあるんだよ?だって」
俺のため?どういうこと?すると
高尾「おーい西片!」
た、た、高尾だと!?
こ、こんな時に?
高尾は意外と勘が鋭い。特に性のことに関しての嗅覚は…さすが保健体育王と言われていただけあって……
こ、これは非常にまずいぞ。
もし今日高木さんとしたことを察せられた日には……
しかも2年次は高尾と同じクラスなんだぞ
高尾「おーい聞いてんのか西片」
西片「あっ...あっ……その……///」
高尾「おい、様子がおかしいし顔真っ赤だぞ?さては西片」
高木さん「行こう。西片。西片、夏祭り二人で楽しむって張り切ってたじゃん。」
と、高木さんが俺の手を引き駆け出す。
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木村「おいおいあんまちょっかい出すなよ」
高尾「……西片...あいつまさか…...生命38億年の歴史の本懐を……次の世代に繋ぐ儀式を……まさか...」
木村「詮索すんのやめとけって。それよりお前はどうなんだよ。月本さん誘ったんじゃないのか」
高尾「お前と来てる時点で察しろよ!...ミナとユカリと行くし...大体なんであんたと行かなきゃいけないのよって...ゆわれて...」ヒッグ
木村「よしよし」
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「ほらね。言ったでしょ?こっそり食べ物だけ買って2人っきりで花火見れるとこ、行こう」
「……うん……///」
こそこそと(特に見つかったら面倒くさそうな高尾と天川さんに気をつけながら)食べ物を買って、2人っきりになれる場所。2年前2人で花火見た場所。
告白した場所。高木さんに私も好きだよって言ってもらった場所。私も西片を幸せにするよ。って言って貰った場所に行く。
確かにここは人は来にくい。
「ここいいよね。私たちの通ってた中学校もちょっと見えるし、花火も見やすいし、茂みのところ通るから人からは見られにくいし」
「うん。」
「6回戦目、する?」
「しないよっ……///」
「あはははは。人くるかもしれないし私もここではNGかな。西片にだけにしか見せないんだから」
「...///」
「ご飯食べよ?朝から何も食べてないから……今日は朝から夕方まてずっと西片とセックスしてたからお腹ぺこぺこだよー」
「せ、セックスって言わないで……///」
「じゃあ、朝から夕までお互いの体を貪りあって快感に浸っていたからお腹ぺこぺこだよー!」
「言い方の問題じゃないから!///しかも悪化してるじゃんか///」
「あはははは。西片顔真っ赤。」
「じゃあ焼きそばポッキーゲームでもする?」
「……う...ん……///」
焼きそばの両端をお互いにくわえる
そっから食べ進めて行くわけだが
今日...こ、この高木さんの口と…口移しで...飲み物を...
今日の行為がリフレインしてきてついつい焼きそばをかみ切ってしまう
「あっ……」
「あっ...ごめん、」
「うん、大丈夫だよ。」
高木さんに申し訳ないなと思いつつも恥ずかしさが押し寄せてきて…ぎこちない…
せっかく、高木さんとお祭りで食べ物食べてるのに、焼きそばの味にも集中できない。
「西片。あーん」
高木さんがポテトを食べさせてくる
唇が震えてしまいなかなか上手くいかない。
やっと、口でポテトを受け取る。
ごめん。高木さん。すぐ恥ずかしがっちゃってぎこちなくなっちゃうの...高木さんからしたら辛いんじゃないか?
「大丈夫。西片の事ちゃんとわかってるから。……それに私はすぐ照れちゃう西片もかわいくて好きだよ。」
高木さんはそう言ってくれるけどさ。
お腹減ってるはずなのにあまり食べれ無かった。
「残ったのは私食べるから大丈夫だよ。えへへ。西片と間接キスだ~。嬉しいな。」
今日の事は今でも本当に幸せで、嬉しかった。
なのになんで俺はこんな、すぐ恥ずかしがっちゃうんだ。高木さんを不安にさせちゃうだろこんなんじゃ。ドンと構えないと。……もう俺、お父さんになるかもしれないんだぞ。
高木さんだけじゃなく、高木さんとの子供を守っていかなきゃいけなくなるかもしれないんだ。こんな事でどうする。
すると花火が打ち上がる
「見て。西片。花火だよ。」
「綺麗だ。」
「綺麗だね。西片。」
しばらく二人で打ち上げ花火を眺める。
高木さんが俺の手に手を重ねてくる。
触れていたい。そう思ったのだろう。
2人きりで見る花火はすごく綺麗だった。
でも、花火より、時折花火の光に照らされる、高木さん。あなたの方がずっと綺麗です。
……なんて言えないけど。
「ふふふ。西片。」
高木さんが微笑む。そして見つめ合う。
「た、高木さん。花火...見ないの?」
「西片だって私の事見てるよ?」
最後の特大花火が打ち上がる。その時
ちゅっ
唇と唇が重なる。
高木さんにキスをされた。
「最後のでっかい花火。見れなかったや」
「...た、高木さん……///」
「でも、打ち上げ花火見ながら西片とキスするって夢は叶っちゃった。」
「……ありがと。高木さん。」
「どういたしまして。」
花火が終わり、人がぞろぞろ帰っていく気配を感じる。
「ねえ、西片。私ね。まだまだ西片と叶えたい夢が沢山あるんだよ。私こう見えて欲張りだから」
「うん。知ってる。」
「西片と心も身体もひとつになって...西片が私の初めてをもらってくれた直後ですら、西片と花火見ながらキスしたいって夢があって叶えた訳だからね」
「...うん///」
「私たち。これからの道のりのがずっとずっと長いんだよ。
でも...だからね、これからも二人で一緒に、西片と叶えたい夢を全部叶えていこ。ずっとずっと。西片。あなたと同じ道を歩んでいくから。」
「俺も、高木さんと叶えたい夢が沢山あるよ。俺と一緒に、一生...ずっとずっと。同じ道を歩いて...くれる?」
「よろこんで」
高木さんが抱きついてくる
「ちょっ...高木さん……///」
高木さんの感触に、今日、高木さんの初めてを貰った時の記憶、感触が脳内に鮮明に映し出される。
「ま、まずいから今日は特に……///」
「えー。なんで?興奮しちゃうから?……もっと人気のない所行って、する……///」
「し、しないからっ///」
「あはははは。冗談だよ。お祭り会場の近くなんて他の人に見られるリスク高過ぎだし。」
それにしても
全身かゆい。
蚊に刺されまくってる!
「高木さん大変だよ!蚊に刺されまくった!」
「あ、私もだ。かゆいね。」
「虫除けスプレー持ってきてたんだけどするのわすれちゃってたや」
「持ってきた意味ないじゃん!」
「そうだいい事考えた!お互いに蚊に刺されたとこ、かきあおうよ!」
「最初からそれ目当てだったろ!高木さんめ!しないからね!それ!///」
「あはははは。西片私の事よく分かってるね~。さすが四年半も連れ添っただけあるよ。」
帰り道、高木さんの要望で海岸に寄る。
「花火大会の最後の締めはこれでしょ」
高木さんが線香花火をカバンから出す
「初めて夏祭り行った時やったよね」
「またやろうよ」
「夜の浜辺で線香花火ってデートっぽいよってあのとき言ったけどさ」
「デートっぽいっていうより、夫婦っぽいと思わない?西片。」
「...うん……///」
高木さんと線香花火をして行く
「私の線香花火が私で、西片の線香花火が西片ね」
高木さんがよく分からないことを言い出す。
「で、今日、西片としたことが。こう。」
高木さんが自分の線香花火の火を俺の線香花火の日にくっつけ
2人の線香花火の火が、ひとつになる
「た、た、高木さんっ...///」
「照れて動いちゃダメだよ?火、落ちちゃうから」
そうだ、落とさないようにしないと
くっついて一つになった二人の火は
最後まで落ちずに。燃え尽きていった。
花火の後片付けをして、高木さんを家まで送る。
高木さん「ただいまー」
西片「夜遅くなってしまって申し訳ありません。」
高木さん母「いいわよ。西片君が責任もって娘のこと送ってくれたんだから」
高木さん父「……楽しかったか...?」
高木さんが満面の笑みで答える。
高木さん「最高に楽しかったよ。」
高木さん父「そうか」
高木さん「じゃあね、西片。明日も会おうよ。」
西片「うん」
高木さんが家に入る
高木さんのお父さんだけ入らずに残った
……ちょっと緊張するぞ
高木さん父「西片。娘のこと、頼んだぞ。よろしくな。」
西片「はい。絶対、幸せにします。」
俺としてもそれは、絶対だ。
それだけ言って高木さんのお父さんは家に入っていった。
俺は、信頼されて高木さんを託されたんだ。だからそれにこたえないと。人生全部かけて。
第110話 完
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