からメシ 第83話 ひなた

高校2年にあがった俺と高木さんは、また隣の席になった。また、高木さんと隣り。嬉しくて仕方がない。

そんな4月のある土曜日。
春の陽気が、あたたかいお出かけ日和だが
あいにく先日の旅行でお金を使い果たした俺はこんなお出かけ日和でも、お金使ってどっか行くなんてのは到底できない。

高木さんと電話で話したら
「あはは、西片、そんなの気にしなくていいよ。おうちデートは私たちの得意技でしょ?ウチ、来て。今日両親いないしさ」

とお呼ばれしたので高木さんの家を訪ねる
……なんか最近感覚麻痺してないか?
両親不在の女の子の家に遊びに行くって
よくよく考えたらまずいんじゃ…

ピンポーン
「はーい。あ、西片!あがって!あがって」

高木さんの家にあがり、高木さんの部屋に

「ねえ、西片。両親いない女の子の家に遊びに来てさ、部屋に上がるってことはさ…」

高木さんが抱きつき、耳元で囁く
「どういうことか…わかってる?」

ヤバい。ある程度予想はしてたが
部屋に入って5秒でいきなりこれだ。高木さんめ
そんな抱きつかれて耳元でそんなこと囁かれたら…いい匂いもするし…俺の俺が臨戦態勢に……

「あれ?なんか硬いの当たってるよ?西片」

「骨!骨なの!///」

「あはははは。ってことは、西片って何も無いところから急に骨が出てくるんだね」

「た、た、体勢とか変わったからじゃないかな…///」

「さっきから同じ姿勢でいるのに?」

「…そ、それは…///」

「いいんだよ?西片っ……///」

いいのか、俺…このまま……
高木さんも俺も望んでいることじゃないか……
でも……せめて、ゴm…例のあのアレを付
…あれ、今日家に例のあのアレ忘れてるじゃないか!ダメだ、ダメ!
一時離脱しかない!トイレだトイレ!

「ダメだよ!ちょ、ちょっと俺、と、トイレ行ってくる///」

「あはははは。ごゆっくり~」

---

ふぅ…
このやりとりもお約束になってきてしまった…
でもこれで暫くは耐えられるはず…

「ごめん待った…?」

「ううん、大丈夫。西片私と部屋にいる時よくお腹こわすよね」

「う、うん。な、なんでかなーお腹弱いのかな俺っ///」

「顔赤いのとなんか関係ある?」

「ないよ!///」

「まあまあ、西片。おうちデートの続きしようよ」

高木さんがカーテンを開ける
あたたかい日差しがそそぐ

「私のベッドって日当たりがいいからひなたぼっこできるんだよ。今日は一日ひなたぼっこしない?」

「か、カーテン開けたら向かいの家の人にか、勘違いされちゃうよ///」

「勘違いってなにに?」

「……そ、それは……///」

「いいじゃん。そういう事するわけじゃないんだし。ひなたぼっこするだけなんだから」

「そうかもしれないけど……」

「まあ私はそういうこともしたいけど……するならカーテン閉めるけどね、絶対西片以外には見せないんだから」

「いや……しない方向で……お願いします……。」

暖かい日差しが当たる高木さんのベッドに高木さんといっしょに寝っ転がる。高木さんの匂いがいっぱいする。
高木さんのベッドの高木さんの、高木さんの匂い
幸せ感と、ドキドキとそれと…
いかんいかん……変な事考えるな!

「にーしかた」
高木さんが笑う

「な、なんだい?高木さん」

「ふふふ、そういえば西片ワカサギ釣りの時西片が負けた罰ゲーム何にしようかなーって思ってさ」

覚えてたか…

「え、えっちなのはなしで!」

「なるべく善処します」

さて、高木さんはどんな罰ゲーム考えてくるのか。
すると高木さんは服をめくりお腹を出した

「え、えっちなのはなしってさっき言ったじゃん!」

「んー。これはえっちなのには入らないと思うよ?多分」
「私のおなかの音、聴いてみてよ。西片。」

「そ、それが罰ゲーム?」

「うん!」

たしかに、えっちなやつではな……好きな女の子のおなかに直に耳を当てておなかの音聴くってめちゃくちゃえっちなやつじゃないか?これ!?///

しかも、服の隙間から……胸とか……
高木さんの素肌の匂いが……
あああダメだ考えたら……
そっと耳を当てる

くるくる、きゅるるって感じの水の音みたいな
なんとも表現しがたい音。だけど心地いい。
なんか高木さんの中にいるみたいな、高木さんと一体化してるような、そんな錯覚におちいる。
なんか、幸せだな……って変態か俺は!///

「これ、西片しか聴けない音だよ?」

「うん……///」

「もう5ヶ月だよ?西片」

「へ?何を言って…」

「私と西片の赤ちゃん……///❤」

「な、何言ってんの!そ、そんなこと一度もした事無いだろ!!///」

「……と思ったら想像妊娠だったや。残念。」

「想像妊娠ってそんな都合よくからかうための言葉じゃないから!///」

「あはははは、顔真っ赤。西片。///」

「高木さんだって赤いよ」

「次、私の番ね」

「え、高木さんもやるの?」

「当たり前だよー。ほら、西片仰向けになっておなか出して」

「いや……今はちょっと……」

「仰向けになって」

「はい……///」

高木さんにアレがああなってテントみたいになってるところを見られる訳には行かないので、股間を手で隠しながら仰向けになる

「西片。なんでPK防ぐサッカー選手みたいなことしてんの?」にやにや
高木さんめ、絶対意図して言ってる……///

「それじゃおなかの音聴けないよ~」

ええい、ままよ!絶対からかってくるけど、高木さんならそれだけだろう!は、恥ずかしいけど……

そっと手をどける。

「なんか、かっこよくなってるね」
「あ、動いた!強そうな感じだね……///」
惚れ惚れした表情で褒めている
やめてくれ...まだバカにされたり引かれる方が恥ずかしくないのに……///褒められるのが1番恥ずかしいんだよこういうの……///

高木さんが恐る恐る指で撫でようとしたのを俺は見逃さず、すかさずまた手で抑えた

「え、えっちなのは無しって言ったろ///そ、それ以上やったら確実にえっちなやつだからそれ!///」

「ごめんごめん。今日はそういう事しないからさ。おなかの音聴かせてよ」

「……うん……///」

「えへへ。西片の匂い。西片の音が聴こえる……」

「は、恥ずかしいからそういうの……///」

「幸せだな~。西片の中にいるような…いや、西片とひとつになってるみたいで。」

「恥ずかしいから!///」
高木さんめ。お、俺が思ってた事と同じ事を、口に出して言うんだから……///

「西片~」

「ん?」

「すきあり!」

高木さんが俺のへそに口をつけ、ふー!ってあったかい息をふきかける

「ひゃあ!く、くすぐったいからやめて///」

「相変わらずくすぐったがりだね、西片。よし、ここからは西片をくすぐる時間にしよー」

「なっ!そんなのダメだよ!だめっ……ひゃあっ……脇腹弱いんだからさ……!///」
「そっちがその気ならこっちだって」

「いいよ。身体中くすぐって…西片……///くすぐってない所が無いくらい、いっぱいくすぐって?」

そ、それって……む胸も……太ももも……おま……無理だろそれ!
「で、出来るわけないだろ!///」

「ちぇー。もう一押しだったのになー」

「もうじゃれあいは終わり!」

寝っ転がりながら高木さんと反対方向を向く

「こっち向いてよ西片~」

「向かないよ」

「あちゃー、不貞腐れちゃったや。西片の顔が見たいだけなのにな」

そう言われると……
やっぱ高木さんの方を向いてしまう
意外と俺は弱い。
……というか…俺も高木さんをずっと見ていたいからってのが本音かもしれない。

「西片不貞腐れてもすぐこっち向いてくれるよね。」

「べ、別に……///」

「嬉しいんだよ。ありがとね。西片」

まるで俺たちを祝福するかのような
窓から入る春のあたたかい日差しに
高木さんが照らされる
綺麗だ。……いや、綺麗とかいうより
好きだ……大好きだ……
絶対に離さない

気がつくと高木さんを強く抱き締めていた
「西片っ……///」

「ごめん、高木さん……気がついたらだ、抱きしめちゃってて……///」
「でも、離したくなくて……///」

「私もだよ……///西片っ///」

高木さんが俺の背中に手を回し、ぎゅーっと抱きしめ返す。
高木さんも同じ気持ちなのが伝わる。絶対離すもんかっていうくらい力強く抱きしめられている。
これが俺たちの恋の、愛の形なんだろう。二人で、決して離さず、ずっと一緒に幸せに生きていくこと。
絶対に誰にも、何にも邪魔なんてさせない。

おうちデートっていっても、何をする訳でもなく、二人でじゃれあって、抱きしめあって、みたいなことだが
俺と……高木さんにとっては最高に幸せで楽しい時間である。だって、好きな人なんだから。

しかしひなたぼっこというのは眠くなるな

「ふぁあ、眠いね、西片、このまま寝ちゃう?」

「うん…寝ちゃおっか?変な意味じゃないからね!」

「変な意味でもいいのに……ていうか寝れる?ずっと、下の方まだ、かっこいい感じになってるけど」

そういうと高木さんが腰を押し付けてくる
高木さんめ!すぐこれだよ!

結局寝付くまで時間がかかった上に…
見た夢は……なんというかその……///高木さんと……///そういう……///
しかも、起き方が……暴発というか……///

「なんか西片がビクビクってしてたからおきちゃったや。どうしたの?西片」

「……///な、なんでもないよ///」

「なんか西片の濃い匂いするのと……関係ある…///?」

「か、関係ないよ!///ちょっとトイレ行ってくるから!///」

「ごゆっくりー」

バタン

「恥ずかしがっちゃって。相変わらずかわいいな西片は。」

「抱きしめられてた時はカッコよかったな……///」

西片が部屋に戻ってきた

もう夕方、かなり暗くなっている。

「じゃあそろそろ帰るね。高木さん」

「送ってくよ。西片の家まで」

「いや、そうしたら高木さん帰り夜道になっちゃうし。好きな人を夜道一人で歩かせたくない」

「そっか、ありがと。西片。」

「高木さん、明日も明後日も……ずっと俺は高木さんと一緒にいるからさ。」

「うん。ありがと。西片。……大好き。」

「……俺も……た、高木さんのこと……大好きだから」

「うん。」

家路に帰る帰り道。
俺と高木さんは同じ道を歩いて生きていく。明日も明後日も、来月も来年も3年後も5年後も10年後も20年後もずっとずっと
絶対高木さんを幸せにしよう。毎日幸せにし続けよう。改めてそう深く誓った。

第83話 完

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