からメシ 第82話 キセキ

新学期初登校。
今日から高校二年生として学校に通う。
高木さんと手をつなぎながら登校する。

高木さんの手の震えが伝わる。
もしクラスが離れたらとか思うと怖いんだろう。

「高木さん、怖いの?」

「うん…」

「もし、高木さんと違うクラスになっても…休み時間の度に会いにいくから!」

「……うん」

高木さんが泣きそうな顔している
まあ同じコース選択してる時点で5クラスでも確率は1/2だ。でも、それでも1/2
半分の確率で離れてしまう

クラス分けの紙で名前を探す
あった俺の名前…高木さんは……

高木さんが抱きついてきた
「西片!一緒のクラスだよ!やった!西片!西片!」

「ちょ…高木さん…///み、みんなの前だから…み、見られてるから…///」

「ごめん、つい、体が動いちゃった。」
クラス分けの紙に高木さんの名前も見えた。同じクラスだ!

浜口「やった!特進クラスだ!」
浜口は勉強しまくって北条さんと同じ特進クラスになったみたいだ

北条「よく…がんばったわね…」

浜口「ああ!」

さて、高木さんと同じクラス。ついでに今回は高尾と日々野さんも同じクラスみたいだ
でも席がもし遠かったら…こうなったら隣の席がいいな

席の表を見る…なんと
高木さんと俺は隣の席だった。
端、窓際とはいえ1番前だから高木さんにからかわれて先生にしかられたりもするかもだが
高木さんと隣なら…先生に叱られるのもいいかなと思ってしまう

「西片!隣の席だよ!うれしい!隣の席!西片!隣だよ!」
また抱きついてくる

「高木さん、み、みんな見てるから…!///」
高木さんのはしゃぎようったらない
クラスが同じなだけでなく、席まで隣
もちろん俺も嬉しい。

「4年間ずっと隣の席で5年目も隣の席。奇跡みたいなもんかな。」

「奇跡というか…運命だと思うよ。西片。」

そう、奇跡にしては出来すぎてる。でもこれがもし運命なら……来年も…この先も…
そう願わずにはいられない。

高尾「おーい、西片!ちょっと話そうぜ」

西片「…え、でも…」
せっかく高木さんと隣の席なんだし高木さんと話したいなと思ったが

高木さん「私は授業中も放課後も西片との時間あるから平気だよ。いっといで」

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高尾「それでお前らって…ど、どこまでいったの?ヤったの?ヤってるよなお前らの雰囲気もう。」

西片「そんなことしてない!ていうか、その質問絶対答えないから」

高尾「き、気になるんだよ」

西片「絶対言わないから。高木さんに悪いし。それより高尾はどうなんだよ!月本さんも総合コース志望だって言ってたよなこないだ」

高尾「……2分の1の可能性を…外したんだよ…うわぁぁぁ!西片は高木さんといつも隣の席なのに、俺は…神は死んだ!」

ダメだこりゃ

---

ミナ「よろしくね!」

クラスメイトA「よろしく。日々野さんは仲良しの子とかいるの」

ミナ「高木ちゃんとかかな。中学の時ずっとクラス一緒だったよ」

クラスメイトB「ああ…あの、西片夫人ね…」

クラスメイトC「あの子1年の時一緒のクラスだったけど、西片君とばっかり話してて、他の人と全然話さないというか…」

クラスメイトB「打ち解けないよねー。高木さんが西片君以外と喋ってるの見たことある?」

ミナ「それっていけない事なの?」

クラスメイトA「いや、そんなことは無いけど…」

ミナ「高木ちゃんは西片君のこと大好きなんだから西片君といつも一緒に話してるのは当たり前だよ」

クラスメイトA「そ、それはそうだけど…」

ミナ「私ちょっと高木ちゃんと話してくるよ。高木ちゃーん!」

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俺が高尾と話しに行ったせいで高木さんひとりぼっちになっちゃったみたいだし、なんか今さっきちらっと、噂されてるの聞いちゃったし…
高木さんのそばに…

みると高木さんは日比野さんと話をしていた。
そんな心配すること無かったかな。
でも帰りに…フォローというか、元気付けないと。

そんなこんなで
始業式と、短いホームルームを終え、
高校二年生、高木さんと初下校である。

「西片、久しぶりに駄菓子屋で、カップ麺食べてこうよ。」

「うん。」

机に向かい合い座る。お湯を注いで3分。なるとラーメンだ。高木さんとの、思い出の味。

「高木さん、ごめん。俺のせいでなんか噂されちゃったみたいで」

「ううん、気にしてないよー。だって、西片が好きな気持ちは、私の誇りだから。」

「高木さんのこと、俺が…守るから!」

「えへへ、西片やっぱりかっこいいなあ。こんな素敵な人を好きになれて、やっぱり誇らしいよ。」
「…ラーメン、伸びちゃうよ?」

「そうだね、食べよう。」

二人でカップラーメンをたべる

「懐かしいなーこの味。西片との思い出の味」

「俺も好き。」

「ラーメンが?私が…?」

「高木さんが…」

「そっか…///」

「ら、ラーメンも好きだけどね!高木さんとの思い出の味だし」

「このカップ麺が好きな理由も私ってこと?結局私が大好きなのかー」

「そ、そうだよ。悪い?…///」

「んーん、私も同じ気持ちだから。大好きだよ。西片。」

「…俺も」

高校二年、最初の登校日
高木さんと同じクラスで隣の席になれた
本当嬉しい。
昔文化祭のとき、高木さんにポロッとつい言ってしまった、愛の奇跡ってやつなのか
いや、これは運命だと思う。

高木さんが俺の事を大好きな気持ちと
俺が高木さんを大好きな気持ち
お互いに絶対離すもんかって強い気持ちが連れてきた運命、なんだと思う。

そんなことを考えながら高木さんの手をギュッと握りながら、高木さんを家まで送った。

第82話 完

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