からメシ 第73話 バレンタイン(高校1年)

今日はバレンタインデー
高木さんと付き合ってから2回目のバレンタイン

…高木さんに出逢ってからは4回目のバレンタイン
付き合う前の2回から高木さんはくれるのだろうかと内心期待してたので、
付き合って、2回目ともなれば、くれるのだろうかというより、どんな風にチョコをくれるのだろう
となるのだが……

授業が終わる
全く高木さんからのアクションなし……
……いや、下校中に渡すつもりだ!そうに決まってる。

「あ、西片。ごめん。今日大事な大事な用事があるから急いで帰らないといけないんだ。先帰るね、じゃあね!」

猛ダッシュで帰る高木さん
そういえば今日バスで来るとかいってたな
めちゃくちゃ久しぶりに別々に登校した
バレンタインなのに……
猛ダッシュすればバスギリギリ間に合うけど

大事な用事って…なんだよ…
そんな……

とぼとぼと家に向かう
チャリをこぐ足に力が入らない。
……高木さん…どうして…

ため息をしながら玄関を開けようとすると
「わ!」

「ひゃあ!」

「あはははは!ひゃあだって西片。かわいい」

「高木さん!?大事な用事があるって」

「西片にバレンタインチョコ渡すのが大事な用事だよ。私が西片にチョコ渡さないわけないでしょ。家、あがってもいい?」

「……うん」

「それにしても誕生日の時と同じ手に引っかかるとはねー」

そういえば
去年の俺の誕生日も似た感じだったな……
同じ手に引っかかるって……俺……

「色々考えてきたからさ、全部食べてくれたら嬉しいな」

「そりゃあもちろん」

俺の部屋に着く
すると高木さんはおもむろに市販の小分けにされたチョコレートを取り出す
今年は市販なのか……

「手作りもあるよ。でも後でね。市販品で本命っぽい渡し方するよ」

すると高木さんはベッドに寝っ転がり
チョコレートを口にくわえる

「ふちへふへほっへへ」

「な、なにいってるか分からないなあ」

一旦チョコレートを口からはなすと
「口で受け取ってね」

たしかに、市販品をこれ以上無いくらい本命の渡し方にしてるけど
要するにキスしろって話で……///

いかんいかん、キスなら結構しょっちゅうしてるだろ
狼狽えるなこれくらいで

高木さんのくわえたチョコを口でちゅって受け取る
すると高木さん……すかさず……レロって……///

大人のキスはまだ慣れてない…
は、恥ずかしい……///
それにえっちな気持ちになっちゃうからまずいんだよ…またあれが…ああなって…もう……///

「た、高木さん……///」

「西片っ……///そしたら次のチョコね」

そうすると高木さんは胸の所にチョコレートを置いた

「口で取ってね」

「えええええええ!」

それはつまり、服を着ているとはいえ
高木さんの胸に口をつけろという事かい
ま、まずいでしょいろいろ

「どうしたの?あ、分かった!服が邪魔って話かー。西片はえっちだなあ」

「そんなこと言ってないし思ってもないから!」

「西片がそんなに言うなら……ぬ…脱いでもいいけど……///」

「……そ、そんなこと言ってないから!///」

ただでさえいっぱいいっぱいなのに
服という隔たりがなくなったら……
まずすぎる。色々。恥ずかしいだけじゃなく
暴走してしまうかもしれない。色々。

高木さんの胸の所に口を近づける。触れないように……触れないように

「ふふっ。西片かわいい。」

「なっ……///」
ふにっ

突然話しかけられてビックリして
口で触れてしまった。服越しだけど…
なんとかチョコレートは食べれたが
こんなこと続けてたら頭がおかしくなってしまう!

「さ、次はどこに置こうかな。おへそかな?私、腋の下弱いからそこにしようかな~それとも……」

「た、高木さん!俺そろそろ高木さんの手作りチョコが食べたいな!あ、あとトイレも行きたいから!いま!」

「へー。ごゆっくりー」ニヤニヤ

---
ふう…

危ない危ない。
あれ以上やってたら内なる自分を抑えきれなくなるとこだった
危ない危ない。

部屋に戻ると高木さんが手作りチョコケーキを用意してあった

「フォンダンショコラってケーキだよ。」

「初めて食べるかも」

「食べさせてあげよっか?」

「じ、自分で食べられるから……!」

「ちぇー」
ちょっと不貞腐れる高木さんもかわいい

さて、高木さんが作ってくれたフォンダンショコラを食べよう
フォークを入れると…

トロッとチョコレートソースが

「た、高木さんこんなすごいの作ったの!?パティシエじゃんもう」

「うん!食べてみて」

口に入れるとしっとりとした生地とトロンとしたチョコレートソースが心地よい口触りで、チョコレートの風味もよくめちゃくちゃおいしい。これ、お店より美味しんじゃないか!?

「高木さん!すごい美味しいよこれ!」

「ありがと、西片」

「このとろけるチョコレートがたまらな…あ…」

指にたれてしまった

すると高木さんが
指をペロッと

指に高木さんの口内の感触が……こ、こんなの…っていうか
や、ヤバいさっきあんま綺麗に手洗ってないのに。こんなことしてくると思ってなかったし!

「た、高木さんだ、ダメだって!」

「えへへ、つい……なんか西片の指いつもと違う匂いするね」

「ち、チョコレートじゃないかな?」

「チョコレートとは違うなあ…なんて言うかもっと生々しい感じの…でもたまに感じる西片の匂い」

「ご、ごめん……///」

「なにが?私は好きだよ?」

「いや、そうじゃなくて…その……///」

「うん、分かってるよ。西片の匂いは全部好きだし、…全然抵抗とかないから……///」

「……///」

「あはははは。西片顔真っ赤…///」

「高木さんだって今日は赤いよ」

「ケーキ食べよっか。今度は私にあーんさせてよ」

「余計こぼしちゃうだろ!」

「こぼしたら私がペロッとするから大丈夫だよ。」

「高木さん!めっ!」

「高木さんめー、じゃなくめっ!か。ダメかー。ちぇー。」

「「ごちそうさま」」

「でも…西片に手作りチョコケーキ食べてもらって…今日も幸せだよ」

「こっちこそありがと…めちゃくちゃ美味しかったよ!」

「ありがと。あとは…西片が私の事食べてくれたらいいんだけどなあ」

「だからそれはしません!」
「……でも……ホワイトデーにはまたちゃんとお返しさせて欲しい……」

「ありがと。喜んでくれるだけで嬉しいのに、西片からお返しくれるなんてさ。」
「なんでもいいからね。西片が何かしてくれるってだけで、とっても嬉しいんだからさ」

そんなこんなして
高木さんは帰って行った

ホワイトデーか…
何プレゼントしよう。
俺もなにかいっそ手作りしてみるか…

第73話完

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