からメシ 第117話 進路

文化祭も終わり、中間テストも終わったホームルームでまたもや進路調査票が配られた。
一年次と違い、今回は進学か就職か以外に
進学・就職するならどこを目指すかというのを書く欄まである。
ついでに3年時のコース選択もある。去年は12月に配られたのに二年生になったからか、早いな……。

無論まだ目安の段階で後々変えてもいいのだが、一年次よりはるかに具体的な内容になる。
金曜日なので、持ち帰って土日で考えろって話らしいが。

正直一人では決められない内容だ。
なにしろ、俺の人生は、高木さんのものでもあるんだから。
ずっと一緒に歩いていくということだけは決めているので。それに聞かなきゃいけないこともある。

というわけで学校帰り高木さんが俺の部屋に来る。
制服姿の高木さんが俺のベッドに寝っ転がる

もう俺の部屋は高木さんの部屋、みたいな感じになってきている気がする。
もし、それを言ったら高木さんはじゃあ私の部屋も西片の部屋って思っていいよとか言うんだろうけど。俺はそう思えないんだなあ。

……ていうか制服姿で好きな子が自分のベッドに寝っ転がってるのってなんか……その……俺も男の子なんで……

「西片興奮してるでしょ?」

「……///」

「今日2回目。する?...ほらほら、制服着てるよ?制服えっちだよ」

「……き、今日は進路で大事な話があるって言ったろ!」

声が裏返った。もう俺のあの部分は臨戦状態で大変なことになってる訳だが…
我慢だ、我慢我慢

「いっぱいしてからの方が集中できるんじゃない?」

高木さんがスカートをヒラヒラさせる。
その度に純白のパンツが見える。
勘弁してくれー。

「そっか、西片はパンツくらい脱がないとスイッチ入ってくれないかな?…ぬ…脱ぐね///」

と高木さんが下着に手をかけようとする
そっちがその気なら……その気なら……
エスケープだ!

またトイレ立てこもり作戦を使った。
ふぅ……

ふぅ……

全くこっちは真面目に進路相談しようとおもってんのに!なんで高木さんはこう愛の営みばっかしたがるん……

……そうだよな。好きだから。愛してるからだよな。

とりあえず冷静になり部屋に戻る。
全く高木さんは!俺のベッドで呑気におせんべい(しょうゆあげせん 島の味)なんか食って
まずははっきりさせないといけないことを聞く

「あ、あのさ、高木さん。その、に、妊娠検査薬の検査結果ってどうだったの?」

まずこれによって進路が変わる。俺の一番の夢は高木さんとずっと一緒にいて高木さんを幸せにすること。
また、子供が産まれたらその子もずっと幸せにすること。これに尽きる

初めては何もつけないでして欲しいという高木さんの意志を組み、就職先まで探してから、
初めてを迎え、その時避妊しないで、直に高木さんの中で果ててしまった。
だから、もし赤ちゃん出来てたら絶対に就職だ。全力で働いて高木さんと、高木さんと俺の子供を幸せにする。

「……うん。あのね……陰性だった。赤ちゃん出来なかったみたい。」

高木さんが涙声になっている。

「私、大好きな西片と心も身体も結ばれてさ。うれしくて。色々大変かもしれないけど、赤ちゃん出来てたらいいなとか思っちゃってたから。だからさ。」

「高木さん。俺もわかるよ。その気持ち。……ていうか俺も同じように考えてたりしたし。だから……いつか……また。」

「うん。楽しみにしとくね。」

しばらく高木さんの頭を撫でた。

「……進路だよね。」

「うん。どうしようか悩んでてさ。もし高木さんとの子供が出来てたらって時は就職で固まってたんだけど。」

「出来てなかったもんね。……どうするの?」

「うん。どうしようか悩んでてさ」

「私は西片と同じ道にいくよ。同じ道でいい、じゃなくて同じ道じゃないと嫌だ。だから」

「うん。だから相談したんだ。俺の人生は高木さんのものでも…あるし……///」

「うれしいな。相談してくれて。私の人生も西片のだよ。」

「俺のだなんて」

「二人でひとつの人生だよ。」

「……うん。」

でも将来か。どうしよう。

「一応、漠然と学校の先生になろうかなって思ったことはあったけど……」

「じゃあそれ目指してみたら?」

「軽くない?それ。別に先生ってのは夢でもなんでもないんだよ。というか俺、夢はあるけど仕事とは関係ないし」

高木さんの方を見る。
そう。俺の夢は仕事とは関係ないとこにある。
なにしろ高木さんとずっと一緒にいること。高木さんと、将来生まれてくる子供を幸せにすること。
これが叶えば仕事なんてなんでもいいというのが本音だ。

「私もそうだよ?私も夢あるけど、仕事とは全く関係ないし。……ていうか現在進行形で叶え中だし……。」

高木さんが俺の方を見る。
……高木さんも俺と同じ気持ちなんだな。
それが、うれしい。

「大人はよく夢っていうとすぐ仕事に結び付けがちだけど、仕事なんか夢を補助する手段に過ぎない人も多いと思うな。だからもっと肩の力抜いていいと思うよ?」
「そういえば西片はなんで先生になりたいってふと思ったの?」

「いや、実は先生になりたいって訳じゃなくて、あの中学校って高木さんと...」

高木さんと出逢った場所だからずっと見ていたい
なんて言いかけたけど結構恥ずかしいこと言ってるなと思ってやめた。

「ふーん。それが理由か。うれしいや。」

「...今ので分かっちゃうの?///」

「うん。完璧に」

「……すごいよな。高木さん。でも、本当に心から教師になりたいって訳じゃないんだよ。俺は。あの場所が好きなだけだし。」
「それに、本当に大事なものはその場所じゃなくて...た...」
高木さんだしってまた言いかけてしまった。というか最近恥ずかしいことを普通に言うようになってないか?俺。

「そこはちゃんと言って欲しいな~」

「...///」

「お願い。」

「お、俺にとって、本当に大事なものは高木さんだから……///」

「ありがと。……私も同じ。本当に大事なものは西片だよ。」

と高木さんが言うと高木さんがキスしてくる。
キスして見つめあって。を繰り返す。

「た、高木さん!し、進路の話だから!脱線してるよ///」

「これも大事なことだと思うけどなあ」

「確かに大事だけども///」
「でも、そんな先生自体になりたい訳じゃないのに目指しちゃっていいのかな。……そもそもすぐ働いて、高木さんを養って行けるようにするってのも魅力感じるし...」

「その働く場所が大事な場所だからってのも立派な理由になると思うよ?大事な場所は大事にするでしょ?」
「まあでも迷うよね。……西片と一刻も早く一緒に暮らしたいってのは私にもすごいあるし」

「い、い、一緒に……暮らす...///」

「西片が言ってるのそういうことでしょ?」

「……うん///ま、まあそういうことだけど...///」

そう。まさにそれ。そうするとすぐ働いた方がいいのかなって思ってしまう。

「でもさ、思い入れがある場所で働けた方がいいんじゃない?」

「そうだけどさ...」

「それにさ、西片。西片と私、二人で大学のキャンパスライフってのも楽しいと思うよ。それに...」
「大学、小豆島からだと通いはほとんど難しいとこばっかだよね。通いじゃないならアパートかなんか借りるでしょ?そしたらさ」

高木さんが耳もとで囁く
「大学行っても...一緒に暮らせるよ?」

「そ、それって同棲...!?」

「うん。///」

そうなると、卒業したら...どっちにしろ、高木さんと一緒に、く、暮らせるのか!?
なら高木さんの言うように、思い入れがある場所で働くのを目指す。って方がいいのかな
こんな決め方でいいのかって所はあるけど。

「高木さん。コロコロ変わって申し訳無いけど...大学進学目指そうと思う。教育学部があるとこ...」
「...なんか高木さんの意志聞かないで勝手な気がするけど...というか高木さんがやりたい事も聞きたいし」

「私がやりたいことはね。西片とずっと一緒にいて、西片と同じ道を行くことだよ。それが私の本当にやりたいことなんだ。一緒でいい、じゃなくて、一緒がいいの」
「だから、あなたについて行かせてください。どこまでも。」

「...分かった。一緒の大学で、教育学部に行こっか。」

「うん。…明日さ。図書館行って資料借りようよ。あとネットとかでも調べてさ。二人でどの大学目指すか決めてかない?」

「うん!」

という訳で明日。高木さんと色々大学について調べることにした。

第117話 完

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