からメシ 第112話 特進クラスと発表勝負!?

9月2日
文化祭の出し物決めが始まる

このクラスは就職、専門学校組が多く、よく言えば元気なのだが、悪く言えばまとまりがない。
俺も高木さんも、クラスの中ではめちゃくちゃ大人しい方だ。
(そもそも高校に入り高木さんとばかり、高木さんは俺とばかり話しているので中学よりも、高校の方がほかのクラスメイトからは大人しいと見られるような感じだ)

学級委員長…が文化祭実行委員を兼任してるのだが
あまりうまくまとめられないでいる。そもそも学級委員長は一年の時特進クラスにいたらしいのだが勉強が嫌になって移ってきたらしい。

男子A「はいはーい!サバゲーがいいと思いまーす」

男子B「お前BB弾打ちたいだけだろー。ミリタリーヲタだもんな」

女子A「男子ってどうしてこう野蛮なの?メイク教室とかどう?」

男子C「女子しか入れねえだろそれ」

男子D「めんどくせえから休憩室でよくね。めんどくせえ」

女子B「び、び、BL喫茶とか……」

委員長「...ええ...た、多数決を……」

女子C「私ノーマルなんだけど!価値観押し付けないでよ。」

高尾「げ、ゲーム機持ってきてゲーム大会とかは……」

男子E「高尾氏、それだとテレビもハードもソフトも大量に確保しないといけませんぞ?ここはフィギュアを持ってきて展示をですな。ワテクシの所有するあんな所やこんな所が丸出しのフィギュアも」

委員長「なので…多数決を...」

女子A「そんなキモい展示会誰が来るのよ」

男子E「言葉を慎め3次元風情がっ!キャバ嬢みたいなメイクしやがって」

ミナ「あ、あの、また料理作れたらなって...」

女子A「なんですってー!」

その時。

委員長「シャアラアアアアアップ」
学級委員長がブチ切れた。

委員長「多数決取るといっても、もう、これはワタクシの独断で決めさせていただきます。研究発表。以上です!」

男子B「えー!研究発表とか真面目すぎでしょ」

男子A「それに独断でって。独裁政権を許すなー!民主化しろー!」

男子D「めんどくせえ。教室休憩室にして寝てようぜ」

女子A「そんな地味なやつやるわけ?」

高尾「ゲームできないじゃんかよ!」

委員長「いいや、研究発表だ!誰がなんと言おうと」

ミナ「あの...えっと、委員長はなんでそんな研究発表がしたいの?反対とかじゃなくて」

委員長「それはですね」

委員長がいきさつを語り始めた。
委員長は元々頭が良く特進クラスにいた。
ただ、ただでさえ勉強量が多い特進クラスな上に家でも家庭教師みっちりつけられ休まず詰め込み型教育をされていたらしく
さっきみたくプッツンして勉強量が一番少ない総合コースに入ったらしい。

で、先日特進クラスの時のクラスメイトと合った時
「俺らは文化祭。研究発表って高尚なテーマやるんだぜ。え、お前のとこはおままごとみたいなテーマなんじゃないの?え、クラスバラバラで決まってないって?
頭弱いんだから統率力くらいつけろよw委員長w」
と煽られて悔しかったそうな
(ちなみに特進にいる北条さん浜口はこの件には全く関係ない。名誉のために)

委員長「だから!同じテーマでこっちが勝ってやりたいって思って!悔しくないか!お前ら」

女子A「なにそいつバリムカ~💢」

男子A「明らかなる宣戦布告だー!」

男子C「確かにこれは悔しい」

なんとなくクラスがまとまりかけた、が

高尾「でも、ゲームできないじゃんそれじゃ」

高尾ー!まあ高尾ってこうだよな。

委員長「高尾くん、いや諸君一同に研究発表というのはメリットがあるんだ。なにしろ研究を発表するならテーマはなんでもいいんだから。例えば。高尾くんはゲームについて発表したらいい。」

高尾「そんなんでいいの?」

委員長「ああ。テーマも自由、チーム編成も自由にしよう。一人で書くもよし、大人数で書くもよし...二人で書くもよし」

最後ちらっと委員長がこっちの方見た気がした。

高木さん「西片。もし研究発表になったら一緒にやろ?2人でね」

西片「うん。」

女子B「でも私人前で発表とか……」

委員長「発表といっても紙に研究内容をまとめたものの掲示だ。人前でスピーチとかはない。それに……
準備には時間かかるけど文化祭本番はほとんど放置だぞ。係員交代で1~2人くらい置くだけ。あと内容審査してもらうならその集計もあるけど。それは文化祭終わったあとになるし。どの出し物よりも自由時間が多いぞ」

男子D「つまり...寝れる……!」

女子C「自由時間増えるの魅力的ね」

女子A「彼ピと廻ろっ」

ミナ「私もいいと思う。美味しい料理のレシピとかでもいいんでしょ?……高木ちゃんはどう思う?」

高木さん「え、私。いいんじゃないかな?ちょうど調べて発表したいことあったし」

小声で「あれ、絶対、西片君について調べるんだと思うよ。」とヒソヒソ声が聞こえる。
なんだかな。高木さん気にしてないかな。
ここはガツンと俺が...

ミナ「別に何を調べても自由だと思うな。」

日々野さんがそう言うとみんな黙ってしまった。

委員長「特進クラス...というか研究発表をテーマにしてるクラス全体で連携して、お客さんに審査してもらって、その点数でクラスで競ったり...
最も得点の高かった記事を最優秀記事として表彰したり、とできるように掛け合ってみます。」

こうして高校二年の文化祭の出し物が決まった。

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放課後。高木さんと一緒に帰る。

「高木さんの調べて発表したかったことって何?」

「んー?大好きな西片についてのあれこれ。かわいい所とかかっこいい所とか性感帯とか。あと学術的にするために汗や唾液のpHとかはかって~」

「わー!わー///やめて!そんなの発表しないで!///」

「ってのは西片の前だけで発表するよ。私もほかの人に西片の性感帯なんて知られたくないし」

「……文化祭の、研究発表の方はさ...こないだ長崎の原爆資料館、一緒に行ったよね。」
「あの時にさ。思ったんだよ。大好きな人と一緒に過ごしたいだけなのに、無理やりそれを引き離されてさ、
そして...一生会えなくなる人たちも沢山いる。自分が死んでも...好きな人に死ぬより辛い思いさせるし...好きな人が死んでも...死ぬより辛い思いするんだよ。」
「そんな残酷なことは絶対しちゃいけないんだ。って伝えることができないかなって思ってたから...戦争に限らず。」
「もしそれが...西片だったらとか思ったら...もう...私……」

高木さんがまた泣き出してしまった。

高木さんの頭を撫でる。

「そうだね。俺もあの旅行で、原爆資料館見た時、同じこと思ったよ。」
「絶対に高木さんを人生の…最後の最後まで幸せでいさせ続けるためには、戦争なんて出来事は起こっちゃいけないんだ。……俺たちだけじゃなく誰の身にもそう。…高木さんの研究発表のテーマ…凄く大事なことだと思う。だからそれで一緒に研究発表考えていこう。」

「うん。ありがと。西片。」

「まず、身近な小豆島について、そういう戦争の悲しい歴史がないか調べて、それでそれについて書いてみるってのはどうかな」

「そうだね。身近なこの島の話ならみんな関心持って真剣に考えてくれるかもしれないし」
「それに、この島でもそういう場所に心当たり、ひとつあるんだ。」

「じゃあ、そこに週末にでも行ってみようか。高木さん。」

「うん」

かくして
研究発表のための取材に、週末に高木さんと行くことになった。

第112話 完

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